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師匠の工房

みんな、むしゃむしゃ、ごくごく、優雅に飲み食いしながら話を進める。



王太子殿下は携帯食料を食べ終えた後に注文をされた。



「ジェーン嬢、私は甘い携帯食料が好きだな。この甘い物にナッツも入れれるかな?注文したら作ってくれる?忙しい時なんか夜に食べたいね。執務室に置いておきたいな」



私は希望の個数をメモした。



「後日、姉弟子のランが王宮に持ってきます」



ランさんに注文入った事褒められるかな。と思いながらマジックバッグにノートをしまった。

携帯食料も戦い限定で考えなくてもいいのか。

保存食として広く浸透させればもっと売り上げ上がるかしら?



ふっふっふ、と考えていると、陛下が口を開かれた。



「よし。ホグマイヤー様にたまには褒めて貰わねば。情けない姿ばかり見せられんからな。無駄に年食ったジジイと言う言葉に甘えてはいかんな」



陛下は王太子殿下の方へ向かれた。



「ジョージ、儂の運の良さはホグマイヤー様のお墨付きだ。完膚なまでに叩きのめすぞ。膿は出し切らなければな。お前も安心して王になれん。儂の代で終わらせよう」



「御意」と、王太子殿下が答えられ、皆も頭を下げたので私も慌てて頭を下げた。



そこでドアの向こうからハヤシ大隊長が到着され、入室の許可を求める声がした。




ハヤシ大隊長が来られると大隊長は陛下に礼をした。



皆が話をしてる間に私が再びお茶の準備し、大隊長にもお茶と携帯食料を渡すと大隊長は私の方をむかれた。



「ジェーン嬢、我が軍団隊員が迷惑をかけたが、平穏に過ごされているだろうか?何か困った事があれば、軍団隊員にいつでも相談して欲しい。私に直接魔鳩を飛ばしても良い。今後も宜しく頼む」と、頭を下げられた。



大隊長と魔鳩友達なんて嫌だ。

いや、大隊長は嫌いじゃないけど。



「お心遣い有難うございます。もう、大丈夫です。私達薬屋は支える側です。ハヤシ大隊長、今後も良い薬作りますからどうぞ御贔屓に」



私が新しい携帯食料の感想もお願いします。と言うと、大きな傷がある頬を撫でられた。



「ジェーン嬢はホグマイヤー様に似ているな。いや、姿形ではないがな。今後も薬を買わせて頂こう」



皆で地図を出したり、説明を受けたりしながらお茶を飲んでいると師匠のマントがもぞもぞ動いた。



「師匠、待って下さい」と、私が師匠に声をかけるとマントの中の師匠が「うー-ん」と伸びをしていて、ギルちゃんがメイスン事務官をぺっと吐き出していた。


ピクリとも動かないけど、大丈夫よね。


ちょっとツンツン突いた方がいいかな?


師匠は国王陛下の方を向いた。



「んー。ヘンリー。終わったぞ。ライアン、そいつは生きてるからな。しばらくすると動き出すだろ。ただ、どうするかなあ。地下牢に入れてもなあ。お、ダン来たか、今度お前の軍団シメとけ、鍛え直した方がいいぞ。平和も考えもんだな」



ハヤシ大隊長が師匠に礼をし、「ホグマイヤー様、申し訳ございません。ホグマイヤー様の期待に添えられるように鍛え直します」と言った。



師匠は考え顎に手を置き、杖でコツコツ床を叩いた。



「黒幕は魔術大臣ショーン・マイネンで間違いない。ファン草はコロン伯爵も一枚噛んでる可能性があるぞ、まあ、場所だけ提供して内容把握してない可能性は高いがな。頭緩い奴なんだな。コロンは能無しだな。マイネン、コロンとも、今の所他国との繋がりはない。他国が様子見てる可能性までは知らんがな。証拠はコロンの屋敷にもあるだろう。こいつの頭じゃ場所までは見えなかったが、書類のやり取りをしているらしい。証拠になりそうな物は、こいつがマイネンから頼まれて預かった書類がある。こいつの自宅のキッチンの床が一部外れる。そこに一つ。もう一つは法務局の事務員の保存箱の中に書類を入れてるな。底が二重になってる。見てみろ。内容は封がしてあって、こいつも知らん。あとな、こいつのバッグの中にマイネンから貰った指輪がある。それはマイネン家のエンブレムが入った物だ。買い物の時に使ってるぞ。マイネンとこいつの繋がりはそんなもんだな」



師匠が私に「ロゼッタ、茶」と言う。



「ヘンリー、こいつがマイネンから聞いた情報でな、お前が学園にいた頃に粉かけてきた趣味の悪い女いたろ。もうずいぶん昔の話だなあ。あれはマイネンの従妹になっているが実の妹だ。生まれてすぐに養女に出たが、届け出は実子にしたんだな。マイネンの末娘がジョージ、お前の婚約者候補に挙がった事もあったな。でも候補で終わり、結婚出来なかった。母は治癒魔法が得意で教会で力を持っていたが、第一王女が教会に行きその座を奪われたと思っている。ま、積もり積もった逆恨みだな。王族に憧れ、自分の妹、娘を入れたかった、でも裏切られた。母に対しても王族に全て奪われたと思っている。マイネンはグチグチ言ってる奴だなあ。こいつもめんどくさそうに聞いてたな。マイネンはな、結局金に走ったんだな。それが今回のファン草だ」



師匠にぬるめのお茶を出すと、師匠はぐびっと飲んだ。



「王族になりたかった金の亡者の内乱だな。ヘンリー、小者から舐められるなよ?まあいい。どうしてやろうかなア。ジョージ、楽しみだなア。派手に行こうな。ロゼッタに手エ出したしな。色々手を回して魔術大臣になったはいいが、魔女が目障りになったかねエ。思ったように人事も動かなかったんだろうなア。ヒヒヒ。久しぶりに暴れるかねエ」



悪い顔の師匠は、トンと杖で床を叩く。

ニヤニヤ笑う師匠は陛下の方をむいた。



「ヘンリー。今回の魔物湧き、偶然だったがな。運が良かったな。もし、これが湧かなかったら、ファン草気づかなかったろう?魔術局のアホ共にも気づかなかったかもな。平和ボケすんなよ。こいつが知ってるマイネンの駒の名前は書きだしてやろう。マイネンと仲の良かった旧大臣も書いてやろう。魔術局が殆どみたいだが、教会にも駒は一部いるようだなあ。ジョージもしっかりしろよ」



と、師匠は言った後、杖でコツンと床を叩いた。



「ああ、誘拐はこのグルグル巻きの単独だ。王宮が騒がしくなって、気になったんだろうな。ロブん所に伝令蝶来たの盗み聞きしたんだなあ。自分が切られる前の手土産にマイネンが欲しがってたロゼッタを攫おうとしたようだ。ロゼッタ呼び出して、一緒にマイネンの所に行き、メリアに逃亡するつもりだった。マイネンの別荘の方に向かう予定だったぞ。マイネンの奴が逃げてるなら、そこにいるかもな。地図だせ、印付けてやる。マイネンの領地の端っこだ。ジョージ、兵の準備が出来次第、場所と時間知らせろ。私は転移で直接行く。ちょっと準備があるからな。あ、お前にギル付けとくぞ、転移しやすいからな、ギルに伝えたら私に伝わるからな」



ああ、ニヤリと笑う師匠の顔が裏通りの人に見える。



「「は」」



国王陛下と王太子は師匠に礼をする。



んじゃ、一回帰るか。と言うと師匠は立ち上がった。



「ヘンリー。もう、ここから帰るぞ。ロゼッタも連れて行く。私は転移で直接法務局に来たがな、ロゼッタの分はまた門番に知らせとけよ。あいつら真面目だから、知らせないと可哀そうなんだよ。門番の給料上げてやれ。どうする?誰か店に一緒に来るか?」



と、師匠が聞くと陛下が、



「大叔母様、お力添え、有難うございます。あとの事はこちらで。すぐに証拠を押さえます。軍団、騎士団には話がまだありますので。教会ともなると第一軍団と共にハヤシをむかわせねばなりません。ホグマイヤー様の店には軍団隊員を明日の朝、むかわせますが宜しいですか?」



「おう、分かった。あ、教会にも多分証拠あるぞ。清貧って言葉を教えてやらんといかんな。よく探せよ。じゃあな。今の時間外手当も振り込んどけよ。ロゼッタの分はサービスしてやる。ケチんなよ」と、師匠は言われ指を鳴らした。



私達が店に着くと師匠はすたすたの奥の工房に入って行った。



「ロゼッタ、来い」と言われ「はい師匠」と返事をし、師匠の後を付いて行く。


奥の工房のさらに奥、魔術の本が沢山並んでいる場所に来た。


奥の工房の本棚を師匠がコンコンと叩くと、高い所にある魔術本が浮かびあがる。


私の手元に本がふわりと来ると、師匠が、



「よしロゼッタ、魔女なるか」と言った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 師匠さんは「大魔女になるかはロゼッタ次第。でもロゼッタがなれなきゃ大魔女は自分の代で終いだ」と言っていましたけど、魔女になるのは確定事項なんですね σ( ̄∇ ̄;) 頑…
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