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火トカゲを狩りと援軍 

「あ。あそこ辺りが火トカゲがいるのかな?」



ぽわぽわと煙が上がっているのが見え、大きな影が見えだした。目線の先には長い尾を持った、大きなトカゲが見えている。


ゴツゴツした岩山に隠れる事も無く、火トカゲは寝ていたり、のろのろと歩いていたりと、簡単に見つかった。


「さて、皮も欲しいし、薬の材料には油よね。という事は・・・。風魔法と水魔法。それか・・・。物理攻撃か」


火トカゲの良質な保存の仕方を考えながら、すーっと地面に降り立つと、後ろから「シャアーーー!」という声と同時に火が飛んできた。


「土壁・水矢」


杖を振って振り向くと、大きな火トカゲで、土壁にぶつかり、しっぽを切り落とされても平気なようで、火を再び吐きながら襲い掛かってきた。切り落とした尻尾は、ビタンビタンと、動いていた。


「防御膜・水の玉・闇夜」


杖を振って、魔法陣と共に魔法を発動させると、飛び掛かって来た火トカゲは空中でビタっと止まり、水の玉に包まれて黒いモヤで覆った。


「んー。傷つけずにと思ったけれど。まあ、綺麗にしっぽは切れたからいいかな」


空中に玉を浮かせたまま、辺りを見回すと、こちらを窺っている火トカゲをすぐに見つける事が出来た。



「丁度二匹見つけた」



ニヤッと笑って私が杖を向けると、ビクッとした火トカゲだったが、一匹は火を噴いて飛び掛かって来て、もう一匹は毒性のある液を吐き出してきた。


「こっちはランさんにプレゼント。こっちは師匠にもおすそ分け。さっきの尻尾は薬師長にあげよう」


そう言いながら火トカゲを狩っていると、フォルちゃんとアルちゃんが側にきた。



「ロゼッタ。ウェルは残って、隊員達の相手をしている。殆ど、やっつけたよ」


「ふむ。殆どとは?」


「ベンさんとレイはやっつけてない」


「ああ、成程ね。良く出来たわね。アルちゃん、私が狩ったのは食べて頂戴」


私達がのんびりと鉱石を採取していると、ウェルちゃんが「ピピピ」っと鳴いて飛んで来た。


「ロゼッタ。大分、遊んであげたわ。カモメから連絡が来たから、私は船に戻るわ。ベンさんはレイ君と一緒にアンデット狩りをしながら、隊員達の回復をしてくれているわよ」


「了解ウェルちゃん」


「復活した隊長達はここに向かっているわ」


「あら。そうなの」



私は、のんびりしながら隊長達を待ってると、ボロボロのクルマス隊長が数人の隊員を連れてやって来た。


「あ、やってきましたね。んー。じゃあ、どうしようかなあ。雷よりも、無詠唱の練習をさせて貰おうかな」


イメージ。イメージが大事。


魔力を身体の中に感じながら、ゆっくりと、隊長達に向けて杖を振った。


すると、隊長達の前に土壁が途中まで出来て、すぐに崩れた。



「!?」



私の様子に剣を構えて少しずつ間合いを詰めて来るが、私は特大の魔法陣を自分の上に浮かせている。


隊長達には汗が出て、隊員は動けずにいた。



「んー。崩れたのはイメージが弱いのか。言葉一つを考えるのではなくて、どんな魔法を作りたいかを考えないと駄目ね」


それからも、水矢、火球と、考えながら杖を振ったが、中々上手く行かなかった。


「んー。簡単に避けれるわね。そっか、竜巻や、濁流、業火、と激しい方がイメージが湧きやすいな」



ポン、っと手を打ち魔力を大きく出しながら、頭の中で、激しい竜巻を思い描きながら思い切り杖を振った。


すると、竜巻が隊長達の前に現れ、隊長達は海の方へと吹き飛んでいった。



「ふふふん。成功。あ。今更だけど、ぶっ飛ばして大丈夫だったかな、えっと、防御膜、浮遊!!!」


急いで、海に向かって飛んで行った隊長達に向けて、防御膜と浮遊を掛けた。離れた相手に魔法を掛ける事は難しい。


「上手く掛かっているといいけど。コレで地面に激突しても、ちょっと痛いくらいでしょ。浮遊魔法が上手く掛かってれば、ふわっと着陸できるはず。遠くの相手に向けて魔法を掛けるのは難しいなあ。矢の様に上手く飛ばしながら魔法を掛けるって出来れば・・・」



やっぱり実践経験は大事だ。


そう思いながら、アルちゃんに乗って、ベンさん達の所まで戻った。



「ベンさーん、無事に火トカゲ狩れましたよ」


「おかえり、ロゼッタちゃん」



ふっふっふ。これで財布もホクホクになるわ。


私はニコニコしてベンさん達が待つ、海岸に戻ると、ぐったりとしたレイ君と、回復魔法を掛けて貰っている隊員達がいた。



「お疲れ様。うちのレイもまあまあだったかな。成果と課題が見れたよ。満足だよ。あ、ねえ。隊長達が空を飛んで行ったけど、防御魔法掛かってたから、僕、無視して海に落としたよ?よかったんだよね?」


「ちゃんと掛かってましたよね?防御魔法は上手く掛かったのは分かったんですけど、浮遊魔法の重ね掛けは上手くできたかどうか。あと、離れた相手に魔法を掛けるって難しいですね。ベンさんはどうしていますか?」


「二重の膜が見えたから多分出来てるよ。離れた相手ねえ・・・。距離にもよるけど、あんまり考えた事も試した事もないなあ。目で見える距離なら、ロゼッタちゃんなら僕にした、釣りの魔法が使えるんじゃない?」


「成程!!そうか!探知!分かりました!そうか!そうか!当たるぞ!ふっふっふ」


「いや。普通は出来ないよね」


うんうん、と頷くベンさんと、ぐったりとしたレイ君を杖で突きながら「レイ、回復したのなら、隊員達に回復魔法を掛けなさい」と、言い、隊員達の方に向かわせた。


レイ君は「はい・・・」と言いながら、治療師に交じって隊員達に回復魔法を掛けていた。


「使い魔達もすごいね。隊長達はもうすぐ帰ってくるんじゃない?」


「訓練、楽しかったですね」


「うん。僕も楽しかったよ。あとね、遅いけど、援軍がやってきたよ」


「援軍?」


ベンさんと話していると、ウェルちゃんを先頭に、クルマス隊長とそれに何人かの隊員達が飛竜と一緒に戻ってきた。



「ジェーン嬢!!」


「あ。ハワード隊長」



飛竜は三体下り、私を見付けるとタタタっとハワード隊長は駆け寄ってきた。パアっと笑顔を咲かせながら、ハワード隊長は顔を少し赤くさせて私の前に来ると礼をしてから顔をゆっくりと上げた。








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