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作戦決行 

ランさんとチェルシーさんの作戦はすぐに決行された。


私は師匠に手紙を書いて工房に置いたが、面倒臭がって読まない可能性も考え、カウンターの上で寝ていたジルちゃんにお願いをして手紙を運んで貰った。



「師匠へ 


私は暫く薬局に引き籠る事になりました。細かい話は工房に手紙を置いていますのでちゃんと読んで下さいね。面倒だって思わないで下さいよ?最近の私の噂、師匠も聞いた事ありますか?サレ女じゃないです。男を誑かす、とか悪女、とかそんなのです。褒められてないですからね、悪女とか言われて喜ぶのは師匠だけですからね。で、噂を無くす為に、私が噂で傷ついていると言う噂を流します。私自身は少しモヤモヤはしていますが元気です。以上です。師匠、飲みすぎに気をつけて下さい。  ロゼッタ」



ジルちゃんが消えてすぐに師匠から返信が届いた。魔蝶で飛ばしてくるのが師匠らしい。



「よー、ロゼッタ、楽しそうだなア。やるからにはトコトン潰せ。ヒヒヒ。魔女が売られた喧嘩はしっかり買えよ?ランにも宜しくな。新しい煙草、工房に置いといてくれ。あと、お前の使い魔は私の魔力を追えるようにしてやろう。ジルに伝えてあるから、三匹をジルと一度話をさせろ。今度からウェルに手紙を持たせられるだろう。これでいつでも酒と煙草をロゼッタに頼めるなア」



おお、流石師匠。


ウェルちゃんを専用お使い便にする気だわ。


私は魔力を飛ばし、皆に師匠の言葉を伝えると、皆は早速ジルちゃんに師匠の魔力を教えて貰ったようだった。



それからは、ランさんが以前注文していた小さな錬金釜をアルちゃんに二階に運んで貰って、引き籠り中も薬が作れる環境を整えた。


少し前にこの錬金釜が届いたようなので、ランさんはこの釜を待って引き籠り計画を実行したと思う。


私が何もしないで引き籠るなんて、ランさんが許すはずないもの。


二階にドンドン注文書と材料を運ばれてくるのを見ながら、私はランさんに話し掛けた。



「ランさん、店に出ないだけじゃ駄目ですかね?お客さんはキッチン迄くらいしか見えないのだから、二階に引き籠らなくても大丈夫だと思うのですけど・・・」


「ロゼッター、何処でバレるか分からないわ。やるならとことん徹底的によ。まあ、師匠の工房と、裏庭に少し出るくらいならいいかしらー」


「あ、師匠には連絡しましたよ。売られた喧嘩は買え、ですって」


「うふふーん。了解よー」



せっかく筋肉痛が治ったのに、また運動不足になりそうだ。



私が引き籠りの間はアルちゃん達が店に出て過剰に護衛をする。変な人やじろじろ店を見る人には魔力を飛ばして威嚇するらしい。皆やる気十分だ。


ホーキンス隊長にはランさんが緊急魔蝶を飛ばした。



「ホーキンス隊長ー。緊急よー。とにかく早く来てー。この魔蝶の意味は分かるわよねー?」



ランさんからの圧力マシマシ緊急魔蝶が飛んで行くと、近くに偶々いたのか驚く程に早くホーキンス隊長は薬局に飛び込んで来た。



「ラン嬢、ジェーン様、緊急魔蝶を受け取りました。どうされましたか?」


「早いわねー。ホーキンス隊長、緊急の内緒のお願いがあるのよー」


「こんにちは、ホーキンス隊長。急に呼び出してすみません。アルちゃん、ドアの札を休憩にして鍵を閉めてくれる?」



慌ててやって来たホーキンス隊長をキッチンに通すとランさんは噂作戦の事を説明した。



「ロゼッタの噂をどうにかしちゃいましょうって作戦よー。なんだかねー、噂だけじゃない感じもするのよねー。証拠はないんだけど、王都の様子や最近の女の子達や男の人達もちょっと異常な感じでしょう?ホーキンス隊長から見て最近の王都はどんな感じー?」


「成程、確かに、薬局周辺で見かける女性達は少し変わっている方が多い気がしますね。王都では小さな喧嘩が多くなりました。これはお披露目で人が集まれば喧嘩やいざこざは増えるので、自然とまた収まるかもしれませんが、今の所大きな事件まではありません。また猫やカラスが貴族街にも増えたと聞きましたが、魔法使い様の使い魔でしょうか?」


「あー、ゼンさんのオトモダチよー。ほら、暗緑の魔法使い様よー。うーん、使い魔とはちょっと違うのかしら。眷属って感じなのかしら?この間、大勢うちの店で呼び出していたから、魔法使い様達も動き出したって事だと思うわー」



ランさんが頷き、私は二人にお茶を出す。


本当、私はお茶出し係よね。


ランさんにお茶を出させたら美味しくないから、私が淹れるのに文句はないんだけど。



「魔法使い様も動かれていますか。王都に流れるジェーン様の噂ですが、以前の噂とは別の物と言う事ですね?これから被害を抑える為の極秘の作戦と言う事ですね。分かりました。この辺のパトロールを強化致しましょう」


「話が早いわねー。第二軍団を使って、ロゼッタの噂を新しく流して欲しいのよー。可愛くて強い宵闇の魔女のロゼッタが、心無い噂を流されて薬局に引きこもってしまってるって。薬も中々作れないほどに心を痛めてるから、王宮の注文も滞ってしまうかも知れない。大変だって流してねー」


「かしこまりました。取り締まりも強化して、噂が流れている場所も調べておきましょう。貴族街が怪しいと魔法使い様は思われているのでしょうか?」


「そうねー。何か怪しいと思っているのかも・・・。私にはまだ分からないわ。沢山色んなオトモダチを呼んでいたのよ。ネズミもいたと思うわー。ホーキンス隊長も、動物達が怪しい動きしていたら目印にしていいんじゃないかしら?」



ホーキンス隊長は頷き、私の方を見た。



「ラン嬢、ジェーン様、ハヤシ大隊長とブルワー法務大臣にはこの事を説明しても宜しいでしょうか?ジェーン様の事を心配してあの二人は薬局に突撃してくると思いますが?魔法使い様が動かれている事も話しても?」


「ランさん、二人が突撃してきたら大変ですよ」


「あー、そうねー。軍団使うなら説明しといた方がいいわよねー。ホーキンス隊長も、ハヤシ大隊長には報告しないといけないわよねー。いいわよ、ホーキンス隊長からハヤシ大隊長に報告をお願いねー、私がお手紙書くからそれも渡しといてくれるかしら?ロゼッター、レオナルド王子様と王太子殿下にも説明してくれるー?国王陛下にも言っといてって手紙出してねー。そろそろ魔法使い様達が動いているって噂も出るんじゃないかしら?」


「もう・・・。ランさん、順番がバラバラですよ・・・。国王陛下に伝言でいいのかな・・・。王太子殿下に国王陛下へ伝言頼むのは申し訳ないんですけどね・・・、まあ、お願いしてみますけど。クリスさん達にも手紙が必要ですね」


「そうねー。そこは王太子殿下に任せましょー。ホーキンス隊長ー、この作戦を知ってるのは、師匠と、パーティーに来ていた、ポッポ屋のチェルシー、獣人のサミュエル君と、そこの店主のチェンさんよ、サミュエル君はフラワーコットンって店に勤めているわー。何かの時は連絡を取ってあげてー」


「了解致しました」



ランさんが頷き、ホーキンス隊長を見た。



「あの、ラン嬢、軍団で知っているのはハヤシ大隊長と自分だけと言う事ですか?他の軍団隊員は?」


「あ、副隊長には言っていいわよ。ウー副隊長だったわよねー?第二軍団の中でもロゼッタは引き籠りを通して欲しいわ。なーにー?、第四と第五に内緒なのか気になるのかしらー?」


「は。ハワード隊長やジロウ隊長も噂を聞けば突撃してくるかと」


「ふふ、あの二人であれば突撃されても追い出せるものー。それにね、噂の原因の一端はあの二人にもあるのよー。ホーキンス隊長は事件が起きた時に、事件に係わった隊員をその任務につけたりするー?わざと外したりしないかしらー?」


「係わり方にもよりますが、被害者の方に係わる時は敢えて外す時もありますね。成程、了解致しました」


「あの二人も、ある意味、被害者って言われたらそうなんだけどー。でも、私はロゼッタしか守らないわー。もし、ジロウ隊長とハワード隊長に何か聞かれたらホーキンス隊長は私からのお願いでパトロール強化したって言ってー、で、詳しい事はハヤシ大隊長に聞いてくれって丸投げしちゃっていいわよー」


「は、かしこまりました」



私はホーキンス隊長にペコリと頭を下げる。



「ホーキンス隊長、ご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いします」


「いえ、王都の事は第二軍団で取り締まる事です。第二軍団一丸となって噂をばらまきましょう。ウーにも話しておくので今後は私かウーに連絡を下さい。使い魔殿での連絡でも魔蝶でも結構です」



ニヤリとホーキンス隊長も笑い、ランさんもゆっくりと脚を組んでお茶を飲んだ。


おお、悪役のボスっぽい。



「頼んだわねー。ホーキンス隊長」


「は、お任せ下さい」



アルちゃん達もニヤリと笑い、私の噂を払拭する作戦会議は終わった。



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