黒いアスファルト風土器クッキー
樋山さんは素晴らしい土器を出土させ、その斜面の上の方にも土器の塊を出していた。
欠片じゃなくて塊だよ、凄すぎ。
そちらは同じ年代ではなくて、もっと古いものらしい。上の方にあるのに古いって何やねんって思わなくもないけどそう言うものらしい。
調査員さんが喜んで語ってくれたが、私には理解できなかった。
元々あった穴に竪穴を作ったから邪魔なゴミを外に捨てたって事なのかも?
まあ、どうでも良いか。
トレンチを移って掘る。
やっぱり何も出ない。
出るのは壁の跡。
壁を知るのは住居の大きさを測るのに重要ですよねー。
何も出ないけど、掘り方だけは上達していった。
草の髭根を1本1本切るのに頭が沸騰しそうだったけど、写真撮影の為のオッケーが出ると達成感があった。
身体も慣れたのか、さほど痛まなくなってるし。
道端の小石を見てもザル上げしたくなったのは笑えるが。
随分と遺跡発掘に頭が毒されて来た頃、土器の欠片風クッキーの作り方を知った。
丁度休みの日だったので、明日のおやつにと作ってみる。
材料が揃わなかったので、ブラックココアを使ったら黒いアスファルト風土器になった。
味は良いからまあ完成としよう。
サツモン土器とは、擦紋土器のことで、尖った棒等で擦って模様を付けたから、らしい。
縄じゃないのか。
何でそんな模様を付けるのかは、どうやら土器を焼く時に火の通りが良いとか、自分の持ち物だってアピールだったとか、そんな感じらしい。
千年も前の事を調べてる人、凄いな。
午前の休憩時間にクッキーを出してみた。
土器、美味しいって好評だ。
もっと土器らしく作れれば良かったのだけれど、皆喜んでくれてるからよしとしよう。
「じょうちゃん、飴食べなー」
オジサンはいつも飴を配ってくれる。
幼稚園児にでもなった気がするが、お礼を言ってありがたくいただく。
「兄ちゃんは何歳だ?」
樋山さんに兄ちゃんって言ってるって事は、私はやっぱり嬢ちゃんって呼ばれているんだろう。
「26歳ですね。
今度大学院出て、遺跡発掘センターでお世話になるって決まっているんですよ。」
おっと、調査員さんたちのお仲間確定でした。
しかも、まさかの26歳。
30歳に見えててごめんなさい。
いやあ、しっかりしてて頼りがいがありそうで、あと、その、ゴニョゴニョ、、、。
「城野さん、クッキーもっと食べても良いかな?
美味しいよ。」
「はい、どうぞ。
沢山食べて下さい。」
30歳に間違ったお詫びじゃ無いですけどね。
陽に焼けた樋山さんに黒いアスファルトクッキーは大好評だった。
その後も私は土器を発掘出来なかった。
土器に嫌われてる女。
私にはアスファルトクッキーがあるから良いもんね!
雨天の為に早く終了した日、又アスファルトクッキーを量産しておいた。
「城野さん、こっち手伝って下さい。」
調査員さんに呼ばれて行く。
とうとう、あの丸ごと土器を取り上げるらしい。
発見した樋山さんが取り上げなくても良いのかな?
俺の土器、無くなったって怒らないかな?
「土器はこの袋に全部取り上げて、周りとか下にある土をこちらの袋に入れて下さい。」
あー、ドキドキする、土器だけに!
「この壺の中にある土を調べれば食べていた物とか分かるかも知れないんですよ。」
調査員さんもワクワクしているようだ。
土器の下にあった大きめの石も取り上げる。
「焼けた土が出てきましたねー。
やっぱり竃だね。
この辺の土も入れて下さい。」
千年前の住民はこの住居の竃で、どうやってご飯を作っていたんだろうか。
ナイフ代わりの黒曜石で魚や獣を捌いて、この壺に入れて煮炊きしていたんだろうか?
服は獣の毛皮や、草の繊維を織物にしたものだったのだろうか?
ひとつも土器を発見出来なくてやさぐれている私の為にこの取り上げ作業をさせてくれたのかも知れないと思いながら、千年の昔を想っていた。
黒いアスファルト風土器クッキー
材料:ホットケーキミックス200グラム
卵1個
砂糖30グラム
バター30グラム
サラダ油30グラム
ブラックココア適宜
作り方:軽く溶かしたバターと砂糖を混ぜる
サラダ油も入れ混ざったらとき卵を少しずつ混ぜる
5回位に分けると分離しずらい
ホットケーキミックスとブラックココアを入れ混ぜる
パサパサする位で大丈夫
ひとかたまりにまとめてラップで包んで冷蔵庫で冷やす
まとまらない程パサつくなら、牛乳を少量混ぜる
一時間以上冷やしたらラップで上下を挟み、のし棒でのばす
割りばしを両側に置くとのばしやすい
フォークなどで模様を付け、土器の欠片のように切り分ける
生地があたたまると扱い難いので、冷やして素早くするのがコツ
オーブンシートに乗せ、オーブンで焼く
180℃25分位
材料や手順は割りと適当で大丈夫!
バター無ければマーガリンやサラダ油で良いじゃないの
ブラックココア入れなきゃ色と味が変わるだけ
さあ、レッツクッキング♪
城野:ハッ?!
夢の中でクッキー作っていた!!






