#9.0 離陸!
「よう、新入!初実戦、頑張れよ!」
「はい!」
肩を叩きながら声をかけてきたのは2期先輩の発令所担当士官、代田雄吉だった。
ちなみに俺たちが配属になったのは戦線攻撃担当だった。
つまり、一番危ないが一番神能力を発揮できる場所であった。
代田はこの課ではかなり愛想の良い先輩だった。(他の先輩は目をギラつかせて滅多に話してこない)
今回目標が出現した場所まで専用輸送機で5、6分といったところだろうか。
話すのを忘れていたが、俺たちは巨神に装甲板をつけた兵器に乗り込み、操縦する。
たまに暴走すると巨神が本性を表す。何かとこっちの方が強い。
この兵器は通称『ポット』と呼ばれていて、世界中にその基地がある。
現在、本部は日本に移転してひっそり活動している。
ポットには大きな欠点が二つある。
まず先述の暴走だが、書いた通り制御不能になる。しかも完全に野生化しているから敵を倒さぬ限り戦い続ける。
次に活動時間だ。
いくら神とはいえ、暴走しない限りは意思を持って動くことはない。
だから代わりに電気を使ってその肉体を動かしているのだが、バッテリー容量で活動するのは10分が限界。
だから普段はケーブルを接続して電源供給を行いながら戦闘を行う。
しかしこのケーブルは結構足手まといになる。
しかもケーブルをビームで切られたら一巻の終わりだ。
でもやっぱりケーブルはいる。
それで今はケーブルをつけた想定で訓練をしてきた。
ハズなんだけどネ……
「今回は水中作戦ということで凍結解除された潜航特化型ポット4で攻撃を行う。よってケーブルは降下と同時に分離する必要がある。その分活動時間は1.5倍の15分だ。15分でケリをつけろ!では、パイロットはポットに搭乗、援護支援部隊はC2輸送機二機に分乗!急げ!」
「ハッ!」
俺はパイロット。他のみんなとはここでお別れ。
「パイロット、準備はいいか!」
「機体状態良好、オールグリーン!」
『専用輸送機パイロット、聞こえるか。A滑走路へ移動、離陸せよ!』
「了解。管制の指示も同じだ。」
「エンジン始動、滑走開始」
「専用輸送機及びポット4、テイク・オフ!」