雨漏り
こちらは百物語三十二話になります。
山ン本怪談百物語↓
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安いボロアパートに住んでるけど、最近雨漏りが酷くてヤバい。
雨の日に布団で眠っていると、必ず天井から雨水が滴り落ちてくる。水滴が身体に当たると冷たいし、音もうるさいので大変なんだ。
「あぁ…また雨漏りだ…」
その日の天気は記録的な大雨。俺は部屋の至る所に雨漏り用のバケツを置きながら、いつも通り眠りについた。
ピシャッ!ピシャッ!ピシャッ!
俺は水滴が顔に落ちてくる不快感で目が覚めた。時間は夜中の3時過ぎだったと思う。
「くそ…あぁ…!こっちも雨漏りかよ!めんどくせぇなぁ…」
俺は顔を拭くために洗面台へタオルを取りに行くことにした。外はまだ激しい雨が降っているらしく、風で窓がガタガタと揺れている。
「タオルタオル…電気つけないとわかんねぇなぁ…」
水滴でビショビショになった顔を手で拭きながら、手探りで洗面台の照明スイッチを探す。
カチッ!
指先が照明スイッチにぶつかり、真っ暗な洗面台を薄暗い光が照らし始めた。
「うぁあああああああああっ!?」
俺は鏡に映し出された自分の顔を見て悲鳴をあげた。俺の顔は真っ赤に染まっていたのだ。
慌てた俺は、急いで部屋へ戻って電灯を点けてみる。そこで見たものは、真っ赤に染まった布団と天井から滴り落ちてくる大量の「血液」だった。
俺は自分の部屋を飛び出ると、すぐに大家さんの部屋へ駈け込んだ。警察を呼んで天井裏を調べてもらったところ、中から「白骨死体」が発見された。
その後、遺体は数年前に行方不明になっていた「前の住民」であることがわかった。
しかし、あの血液については警察もお手上げの状態で、どうして白骨死体から血液が流れ出してきたのか未だにわかっていない。