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事件

ご覧いただきありがとうございます!


渚から何としても真相を聞きたい光太。


渚の元へ急ぎます。

渚の所へ行かなければ。


渚から直接聞かなければ真相が分からない。


いつの間にか俺は走り出していた。


(…?)


道の反対側で誰かが男の人に腕を掴まれている。


「やめてっ…!離してっ!」


(…渚?)


「やっ…!」


「おとなしくしろっ!」


渚だ。


「誰か…たすけ…て!」


…っ!


俺は無我夢中で渚の所へ駆け出していた。


「やめろ!」


「……?!こう…ちゃん?」


「このガキっ!」


「渚、早く逃げろ!」


「こうちゃん…」


渚の目から涙が溢れている。


顔を殴られて口の中は血の味がする。


(ここで負けたら、渚が連れて行かれる)


だが力は遥かに相手の方が強く、勝機はない。


少しでもいいから足止めしなければ。


(お願いだから早く逃げてくれ…)


そう願いながら何とか抵抗し続ける。


渚は恐怖で体が震えて動けなかった。


(…もう、ダメだ…)


強烈な拳が振りかざされたその時。


「お巡りさん、あっちでーす!」


そんな声が聞こえた。


近所の人が騒ぎを聞きつけて通報してくれたようだ。


「ちっ!」


男は逃げた。


俺に追う力はもう無かった。


………バタッ。


緊張の糸が切れて思わずその場にしゃがみこんだ。


「こうちゃん…」


渚はまだ泣いている。


「お前…何やってんだよ…」


「ごめんね…私のせいで、こんなになっちゃって…」


そこへ警察が来た。


「お2人が被害者の方ですか?あなたの方は怪我をされてますね。あなたは大丈夫でしたか?」


「…。」


「…こいつは男に腕を掴まれていました。」


「そうですか。怖かったね。もう大丈夫だよ。…念のため2人とも病院へ行きましょう。その後ここで起こった事を教えてもらえますか?」


「「はい。」」


俺たちは救急車で運ばれ手当を受けた。


幸い俺は軽症で済み、渚に怪我はなかった。


警察での事情聴取では、


『私が知らない男の人に道を聞かれ、説明しようとしたところ、いきなり腕を掴まれて連れて行かれそうになった。その時に山口光太くんが来てくれた』


と渚が説明し、


警察の人は『全力を出して犯人を捕まえます』と言い、俺には、


『あまり無茶をしちゃダメだよ。でも守ってくれてありがとう』


と言った。


全てが終わり帰ろうとした時、渚の両親と俺の両親が走ってきた。


「渚っ!!」


渚の両親は渚を強く抱きしめた。


「こうちゃんが助けてくれたの」


「光太くん…っ!本当にありがとう。なんとお礼を言ったらいいか…!」


渚のお父さんは俺に何度も頭を下げた。


「やめてください!みんな無事だったし、もういいじゃないですか」


「そうね、本当に無事で良かった。今日は2人とも疲れているし帰りましょう。光太、今日は大変だったから、もし体がキツければ明日の学校は休んでいいからね」


「わかった、明日は休むよ」


「渚も辛かったら休みなさい」


「うん、お休みする」


「「じゃあ、学校には連絡しておくわ。明日はゆっくり休みなさい」」








ーーーーー



次の日。


(渚、大丈夫か?かなりショック受けてたからな。様子を見に行ってみるか)





ピンポーン。


「はーい」


「光太です」


「光太くん?今開けるわねっ。ちょっと待ってて!」


渚のお母さんは渚を心配して休みを取ったらしい。


ガチャッ


「お邪魔しまーす」


「うちに来るなんて久しぶりねっ!なんだか嬉しいわ!…渚、朝から部屋に閉じこもって出てこないのよ。光太くん様子見てきてくれる?」


「わかりました」








コンコンコン。


「渚?俺だけど」


「…こうちゃん?どうしたの?」


「…お見舞い。って言っても何も持ってこなかったけど。とりあえず開けてくんない?」


ガチャッ


部屋のドアが開いたと思ったら渚がすぐに飛び出して行ってしまった。


(?!)


「ちょっと待っててー!まだ顔も洗ってないし着替えてくるっ!部屋にいて〜!」


「お、おう…」


部屋に入ると昔と何も変わっていなくて懐かしい気持ちになった。


(昔はよくここで遊んでたな。)


思い出にふけりながらベッドに座る。


「おまたせ〜。ママがジュースどうぞだって!」


渚が戻り、俺の隣へちょこんと座った。


「おう。サンキュー。」



「「…。」」










「「…あのっ!」」


「あっ…えっ、と。こうちゃん、先にどうぞ?」


「あ、あぁ…。渚、具合どうだ?怖かっただろ?昨日眠れなかったんじゃないか?」


「あ、うん…。あんまり眠れなかったけど、大丈夫だよ!すごい怖かったけど、こうちゃんが来てくれたから…。来てくれてありがとうね。こうちゃんこそ、怪我はどう?まだ痛む?」


「俺は大丈夫だ。心配すんな」


「こうちゃん…ごめんね…」


渚の方を見ると涙目でこちらを見ていた。


いつの間に俺の身長が伸びたのか、渚は俺を見上げ、上目遣いのようになっている。


ドキンッ


…こんなに渚って小さかったか?


…この顔、反則だろっ



「……っ!?」


気づけば渚を抱きしめていた。


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