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ライバル

ご覧いただきありがとうございます!


秋山に側にいたいと言われ、了承はしてみたものの、これでいいのかと考える光太。

しかし、側にいてもらうことで心が救われているのも事実だった。


そんな時、秋山と渚が…

(俺は何をやってるんだ…。秋山は何を考えているんだ…。)


秋山に側にいたいと言われた。


でも付き合ってほしいわけじゃないと。


その場の勢いで側にいてもいいと言ってしまったが、それで本当に良かったのか。


(秋山が辛い思いをするだけじゃないのか…?)


もう分からない。


でも側にいたいと言われて、傷ついた心がほんの少しだけ癒された気がした。


(…このまま流れに身を任せてみるか)


考える事が面倒になり、そのまま眠りについた。




ーーーーー


ある日の学校。


「放課後、リレーの練習しよ!」


「おっけー!じゃあ時計の下集合で!」


クラスメイト達の声が行き交っている。


もうすぐ運動会なのだ。


俺もリレーに出場する。


「光太も時計の下なっ!」


「おう!準備できたらすぐ行く!」


俺は元気を取り戻していた。


準備をしていると秋山がやってきた。


「光太くん、今日はリレーの練習?よくやりますねぇ〜!頑張ってねっ」


「おぅ、サンキュー!行ってくる!」


「いってらっしゃい」





秋山が手を振りながら光太を見送ると後ろから声を掛けられた。


…渚だ。


「秋山さん。今時間ある…かな?」


「なーに?」


「ここだとちょっと。」


「えー?ここじゃ話せない内容?じゃあ空き教室行こっか」


「…うん、ありがとう」


空き教室にやってきた。


窓際へ行くと光太が練習しているのが見える。


2人は窓際に座り外を見ながら話し始めた。


「あのっ、こうちゃんの事なんだけど…付き合ってるの…?」


「付き合ってるわよ」


「!!…やっぱり…」




「…ぷっ。嘘よっ!そんな顔しないでよ!」


渚の顔は固まっていた。

今にも泣きそうな顔だ。


「でも…いつも一緒にいるし…」


「それは、ね。こっちにも色々あるから。そんな事より渚ちゃん、光太くんの事なんて気にしてていいの?彼氏さんに怒られちゃうよ?」


「………ぃ。」


「え?なに?」






「彼氏なんて、いない…」


「…え?でも…光太くんは渚ちゃんに彼氏ができたって…。どういう事?」


「今から話すこと、こうちゃんには内緒にしてくれる?」


「…分かった。」






「私…こうちゃんの事試したの。」


「…?」


「ずっとこうちゃんの事が好きで、一緒にいられることが毎日楽しくて。」


「うん。」


(私と同じ…)


「でも、それまでの好きはlikeだったの。それが違う好きに変わったの。今年の春休みに。こうちゃんを起こしに、こうちゃんの部屋に行った時、こうちゃんの寝顔を見ていたらものすごく愛おしく感じて。ドキドキして。」


「うん…」


「でもこうちゃんは私の事をいつまでも幼馴染以上には見てくれなくて。私、耐えられなくて。そんな時、小西くんが協力してくれるって言ってくれたの」


「どんな?」


「『小西くんと花火大会に行く事になっている』と言って反応を見て、それでも何も無かったら『小西くんに告白された。…今日、告白の返事をする事になっている。』こう言えば流石のこうちゃんも動くだろうって。」


「でも、逆効果だった。…こうちゃんは私の事何とも思っていなかった。ただの幼馴染だった…!」


渚は泣いている。


(そんな訳ないじゃない。光太くんがどれだけ苦しんでいると思ってるのよ…今だって…)


「…で?その小西くんとはどうなってるの?」


「何もないよ…。花火大会の日は確かに一緒にいたけど。結果を報告しただけ。その日は私が泣かないように一生懸命冗談言ってくれて、なぐさめてくれて優しかったけど。今は大切な友達。」


「…そっか」


確かに渚と小西が2人でいるところを1度も見たことがない。


「…うん。ごめんね、こんな話して。」


「いいのいいの!気にしないで!それでこれからどうするの?」


「どうするって?」


「光太くんの事」


「もう近くにはいられないよ…。幼馴染だけど私は自分の気持ちに気付いて、勝手に試して、勝手に失恋して…。今はただ辛いだけなの。」


「でもさ、せっかくの幼馴染なんだから、ずっと一緒にいたんだから、仲直りできると思うよ」


「…そう…かな…?」


「最初から2人きりで話す、とかはキツイかもしれないから、友達もたくさんいる時に少し話してみてさ…あっ!今度の運動会とかさ!」


「…うん、頑張ってみる。ありがとう、秋山さん!」


「うん、応援してるよ!私にできることがあったら言ってね!」


「ありがとう!」


渚は笑顔でまた来週と言って去って行った。


(……なーんでライバルの応援してるんだ私は。どんだけお人好しなんだ。)


そんな事を考える秋山だったが渚の事は何故か腹立たしく思えず、むしろ清々しい気持ちだった。


久しぶりに渚の可愛い笑顔が見れた。


(正々堂々と勝負しよう。私も光太くんが好きって気持ちは負けない。)


そう誓うと何も知らずにリレーの練習をしている光太を見た。

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