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心のキズ

ご覧いただきありがとうございます!


渚を笑顔にできなかった光太。

何もできないまま失恋し、新学期を迎えます。

俺の中学最後の夏休みは何もできないまま失恋で終わった。


「おはよー」


「おはよー!」


挨拶が行き交っている。


二学期が始まった。


二学期は勉強に運動会にテストに大忙しだ。


忙しいのは良いことだ。


失恋の痛みを感じている時間が無い。




…嘘だ。


渚は同じクラス。


どうしても渚に目がいってしまう。


俺は渚を気にしないようにする為、色々な友達に話しかけた。


(こういう時、友達がいて良かった)


「光太くん」


秋山だ。


「さっきのここの問題解けた?私分からなくて…」


「あぁ、ここか。難しいよな、ここ。これがこうなって……」


「あーなるほどね!やっと分かったよ〜ありがとう!」


秋山は最近やたらと前の授業の問題を聞きに来る。


こっちとしては気が紛れるからいい。


「ねぇ、光太くん。今日の放課後時間あるかな?もしよかったら一緒に勉強しない?」


「…あぁ、いいけど」


家に帰って自分の部屋に戻ったら渚の事を思い出してしまう。


とにかく気を紛らわせたかった。



ーーー放課後


「光太〜1人で帰るなら一緒に帰ろうぜ〜」


奏太が来た。


「悪い、今日は用事があるんだ」


「へぇ〜、渚ちゃんか?最近忙しくて一緒にいる時間ないもんな〜!」


「違う!……あいつ彼氏できたんだ。だから俺が一緒にいれるわけないだろ…」


「え!!?そうなのか?!知らなかった。てかお前それでいいの?随分未練タラタラな口ぶりだけど」


「ごめーん!遅くなっちゃった!…あれ?大事な話してるとこ来ちゃった?」


「秋山さん、いいのいいの!渚ちゃんに彼氏ができたって話してただけだからっ!なっ光太!……っておい!お前、秋山さんとデートか?」


「「ちがう!」」


「一緒に勉強しに行くだけだ」


「そうそう!」


「へぇ〜まぁいいや。俺は1人寂しく帰りますよぉ〜!じゃあな、光太、秋山さん」


「おう、また明日」


「また明日ね」








「…渚ちゃん、彼氏できたの?」


「あぁ。」


「そっか。…とりあえず教室出よっか!図書館でいいかな?」


「あぁ、そうだな」



教室を出るとき、渚と一瞬目が合った。


一瞬だったがなぜだか泣きそうな顔をしてるような気がした。


(辛いのはこっちだっつーの)



感情を隠すように足早に歩いた。



ーーーーー




図書館で2時間程勉強をしているといつの間にか空が真っ暗になっていた。


そろそろ帰らなくてはいけない。


隣で勉強をしている秋山にそっと声を掛けた。


「あっ本当だ!もうこんなに真っ暗になってる。帰らないとね」


「暗いし、家まで送るよ」


「ありがとっ」





暗い夜道を2人は歩いていた。


「ねぇ、光太くん」


「ん?」


「私ね、光太くんに言いたいことあるんだ」


「光太くん、渚ちゃんの事好きでしょ。」


「…え、どうした急に」


「しってるんだから〜!私ね、光太くんの事好きだからずっと光太くんの事見てたんだ。」


「…そっ…か…」


「ね〜え!何その返事!らしくないなあ!女の子が勇気を出して告白してるんだよっ?笑」


秋山はおどけてみせた。


「悪い…」


(悪い秋山…お前とは付き合えないんだ…)


「あっでも!付き合ってほしいわけじゃないの。渚ちゃんの事を好きな光太くんが私に振り向くわけないから。でも側にいたいの。…うーん、なんて言うのかな?友達以上恋人未満みたいな?そんな感じでいたいの。」


「俺は今、誰とも付き合う気はない。秋山を異性として好きだとも言えない。…でも、今日みたいに俺を連れ出してくれて、いつも気分転換させてくれて本当に感謝してる。」


「…うん。」


「えーっと…、だからっ…、俺なんかの側にいたいなら…どうぞ…?」


「…ぷっ!笑 何その返事!笑」


「なっ…!なんだよ!」


「なんでもないっ。じゃあこれから何でも頼って?いつも1番近くにいるからねっ。あっ、実際の距離じゃなくて心の距離の話ねっ!」


「…あぁ。サンキュ」


「…話してる間におうち着いちゃった!送ってくれてありがとう、また明日ね」


「おう、また明日」


(…いつか、私に振り向いてくれますように)


秋山はそっと願いを込めて光太を見送った。

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