いやだいやだいやだ
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光太の気持ち、自分の気持ちって難しいですよね。
「俺、やっぱり寄るとこあるから先帰るわ」
そう言って渚から逃げるように去ったのは二週間前。
本当はどこにも行く予定はなかった。
ただ一緒にいたくなかった。
胸が苦しかったんだ。
大事なおもちゃを取られた気分だ。
…俺は渚の事を何も知らなかった。
「こうちゃーん!学校行くよ〜!」
外で俺を呼ぶ声が聞こえる。
あれから俺がわざと避けているのを知っているのか知らないのかわからないが、毎朝ちゃんと迎えに来てくれる。
だが部屋に来ることはなくなった。
渚なりの配慮だろうか。
(まぁ好きな人がいるんだし、こないよな。普通)
ちくん。
また胸が痛い。苦しい。顔を合わせたくない。
「まだ準備終わってないから、先行っててくれー!」
俺は叫んだ。
ーーーある日の昼休み
「高山渚さんいますか?」
「はーい!私です!」
渚は男子に呼ばれて出て行った。
珍しくはないが、最近呼ばれる回数が増えた気がする。
「おい、最近渚ちゃんと何かあったのか?」
奏太が弁当を頬張りながらこちらを見つめる。
「別に?」
「でもさ、最近呼び出し多くない?てか渚ちゃん寂しそうだぞ?」
「俺には分からないなぁ」
てきとうに返事をしておけばいいだろう。
「渚ちゃんってさ、あんなに可愛いのに彼氏いないの不思議だよなぁ〜。男子達、最近のあの寂しそうな表情見て守ってやりたい〜!って騒いでるらしいぜ?」
「…へぇ、そうなんだ。てかあいつのどこが可愛いの?ぼけっとしてるだけじゃね?」
「…お前、全校の男子生徒を敵に回したぞ」
そんなに可愛いのか?
そんなに人気があるのか?
…そんなに寂しそうな顔をしているのか…?
渚の事が分からない俺が嫌で嫌でたまらなかった。