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最終回

ご覧いただきありがとうございます!


ついに最終回です。

最後までお付き合いください。

「ただいま」


家に帰ると母さんが夕食を作っていた。


「あら、おかえり。早かったのね」


「あぁ。」


「光太、ホワイトデーのお返し何にするか決めたの?」


母さんがテレビを指を差している。


テレビを見るとホワイトデー関連のCMが流れていた。


「…忘れてた。」


「やだ〜!ちゃんとお返ししなさいね」


「分かってるよ。明日、買いに行くよ」


「それがいいわ。明日は父さんも母さんも仕事だから、朝食は作っていくけど、昼食と夕食は適当にご飯食べてね。」


「分かった。」




ーーーーー


次の日。


(何がいいんだろう)


俺は商店街でホワイトデーのお返しを探している。


色々見て回っているが、ピンとくるものがない。


ふと、ポスターに目がいった。


きれいな女優さんが写っている。


口紅の宣伝のポスターらしい。


(高校生になるし、化粧品でもいいか…?)


とりあえず、化粧品店に入ってみることにした。


「いらっしゃいませ」


…なんか、完全に場違いだ。


女性多数、男性はいても何組かのカップルの付き添い程度だ。


俺のような年齢の人は見当たらない。


(で、でようか)


そう思った時、きれいな模様が施してある口紅のケースが目に入った。


(…これ)


手に取ろうとすると、店員さんに声をかけられた。


「彼女さんにプレゼントですか?」


「は、はい…。でも、化粧品の事全然分からないし、場違いなので出ます!」


「ふふっ。そんな事言わないで。勇気を出してお店に入って来てくださりありがとうございます。彼女さんの為に一緒に探しましょう?お手伝いさせてください。」


「あ、ありがとうございます!」


そうして俺は渚の事を店員さんに話し、一緒に探してもらった。


俺が最終的に選んだのはリップグロスというらしい。


俺は満足だ。


「一緒に選んでくれてありがとうございます」


「こちらこそ、ありがとうございます。彼女さん、喜ぶといいですね」


「はい」



俺は化粧品店を後にし、食料を調達し家へ戻ろうとした。


(あれは小西?)


前に小西が歩いている。


(…声、掛けなくてもいいか。どうせ途中で違う道に行くだろ)


そう思いながら進んでいくが、小西は俺の家の方へ歩いていく。


小西が止まった。


ピンポーン。


俺は思わず隠れた。


(なんで小西が俺の家に?)


理解不能だった。


ピンポーン。


俺の家は今、誰もいない。


すると小西は渚の家へ向かった。


ピンポーン。


「はーい」


「小西ですけど、渚さんいますか?」


「ちょ、ちょっと待ってね」


ガチャッ


「小西くん、どうしたの?」


「渚ちゃん、ちょっと話があるんだけどいいかな?」


「え、う、うん。」


「俺、やっぱり渚ちゃんの事が好きだ。何度も諦めようとしたけど、無理だった。山口と付き合ってるのは知ってる。だけど…!俺じゃ、ダメかな?俺なら渚ちゃんがしたい事叶えてあげられるけど…?」


そう言って小西は渚に迫っていった。


「や、やめて!」


「やめろよ、嫌がってるだろ」


俺は気づけば小西の腕を掴み、睨みつけていた。


「…っ!いってーなっ、離せよ!」


小西は俺の手を振りほどいた。


「告白するのは自由だから構わないが、人の彼女に手を出すのは許せないな。」


俺は渚を庇うように立った。


「渚、大丈夫か?」


「う、うん。ありがとう、こうちゃん」


「俺は渚ちゃんが好きなんだ。山口よりも幸せにしてみせる!だから、、」


「小西くん、ごめんなさい。私はこうちゃんが好きなの。だからこうちゃん以外見れないの。」


「…山口…、渚ちゃんをちゃんと幸せにできるのか?」


「してみせる」


「…分かったよ。今までごめん。もう付きまとわない。これで終わりにするよ。」


「おう。そうしてくれ。」


小西は帰っていった。


「渚、大丈夫か?」


「うん。…こうちゃん、話があるの。」


「?」


そう言われ渚の部屋に通された。


「てきとうに座って?」


「おう。」


俺は床に座った。


すると渚は向かいに正座で座った。


「…どうした?」


「…こうちゃん。私の事、好き?」


「…急にどうした?」


「答えてくれないの?好きじゃないって…こと?」


渚の目に涙が溜まっている。


今にも溢れ出しそうだ。


「…好きだよ」


「じゃあどうして何もないの?」


「え?」


「みんなに言われたの。付き合ってるのに手も繋がないなんて幼馴染の頃と変わらないって。」


「…。」


「こうちゃんの事だから、受験で大事な時期だから支障をきたさないようにしてるのかなって思ってた。だけど昨日、奏太君達を見て、思ったの。『私達、ずっとただの幼馴染のままなのかな』って」


「ごめんね…。こうちゃんの事大好きだから焦っちゃって。こうちゃんが私の事、大事にしてくれてるの分かってるの。」


渚が涙を堪えている。


俺は好きな人を不安にさせてしまっていた。


俺は渚の両手をぎゅっと握り、ごめんと言った。


そして、ゆっくりと優しく抱きしめた。


渚の顔は見えないが肩が震えている。


きっと泣いているのだろう。


「渚。顔、上げて?」


「いま、むり…顔ぐちゃぐちゃだもん…。」


「大丈夫だって、ほら」


俺は少し離れ両手で渚の顔を上げた。


そして指で涙を拭った。


「どんな顔の渚も俺は好きだ。今までもこれからもずっと。」


「こうちゃん…」


「目、つぶって」


「ん…。」


俺はゆっくりと顔を近づけ、軽いキスをした。


「「…。」」


俺は恥ずかしくなりすぐに離れた。


「こうちゃん」


「ん?」


「ありがとっ!」


渚は照れくさそうに微笑んだ。


(その顔、反則だろ…!)


俺はもう一度渚を抱きしめた。


今度は強く。


「こうちゃん、苦しい…!」


「離さないからな。」


「ふふっ。私も!」


渚もぎゅっと抱きしめ返してくれた。


俺、幸せだ。




ーーーーー


俺たちは空が暗くなるまで手を繋いでいた。


何も話さなくても隣にいるだけで心地よかった。


「…俺、先に言っとくわ。また不安になられたら嫌だし。」


「なに?」


「俺、キス以上はしないって決めてるから」


「え?」


渚はポカンとしている。


「とりあえず18歳になるまではな。そのあとは渚の心の準備ができるまで待つから」


「ふふっ。」


「なんだよ」


「ありがとう、こうちゃん」


「…離れるなよ。離さないけどな」


「うんっ」


「あと、これ。ちょっと早いけど、ホワイトデーのお返し」


「わぁ、かわいい〜!ありがとう!開けてみてもいい?」


「おう。」


「グロスだっ!ちょっとだけ塗ってみるねっ」


そう言って渚はリップグロスを付けた。


「どう、かな?」


「…!」


リップグロス一つでこんなにも変わるものなのか。


さっきとは別人のようだ。


色っぽい。


「似合ってない…?」


「…!似合ってる!きれいだよ」


「そう…?」


「ほんとにきれいだ」


そう言いながら俺は渚をまた抱きしめた。


「それ、塗るの俺の前だけな」


「え〜?せっかく貰ったのにもったいないよ〜」


「いいんだよ」


(他の奴には見られたくない)


これからも渚はどんどん可愛く、綺麗になっていくだろう。


その隣にいるのはいつだって俺がいい。


歳を取っても、どんな事があってもずっと隣にいる。


俺はそう心の中で誓った。



皆様のおかげで最後まで書き切ることができました。


本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] きゅんとさせていただきました!ありがとうございます。 セリフ多めで個人的には読みやすかったです!一年後しコメントですが続編は書く予定はありますか?ぜひご検討ください、 [気になる点] 続編…
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