恋人とは
ご覧いただきありがとうございます!
初めて恋人ができた時、何をするにもドキドキしたり、少しの事で落ち込んだり、逆に嬉しかったり、考えすぎたり、余計な事をしてしまったりしましたよね。
光太は今どんな状況なのでしょうか。
(渚、いつ起きるんだ?)
しばらく寝ている渚を見つめていたが、なかなか起きない。
家に来てもう1時間半は経っている。
今日は1時間で帰ると言っていたが、ここで寝ていていいのだろうか。
起こした方がいいのだろうけど、起こしたくない。
(もう少しだけ…)
渚の頬を指でなぞってみた。
(起きないな…)
…。
(キス…してみようかな)
心臓がドキドキする。
俺はゆっくりと渚の頬に顔を近づけ、軽いキスをした。
(俺、何やってるんだ)
急に恥ずかしくなった。
急いで起こして帰ってもらおう。
「渚、なぎさっ!起きろ!帰らなくていいのか?」
渚の肩を揺らす。
「ん〜。もうちょっとだけ。」
「だめだ!風邪引くからちゃんと家のベッドで寝ろ!」
「…わかった。今何時?…えっ?もうこんな時間?!ショック〜」
「分かったなら早く帰れ。ちゃんと布団被って寝ろよ!おやすみ」
「何それっ!パパみたい。あ、明日は一緒に登校しようねっ!じゃあおやすみ」
手を振りながら渚が帰って行った。
(…ふぅ。)
最近の俺は俺じゃないみたいだ。
今までどうやって接してきたんだろう。
平静を装ってはいるが、いつボロが出てもおかしくない。
渚は俺のどこが好きになったのだろうか。
ボロが出たら幻滅してしまわないだろうか。
考えだしたらキリがない。
頭がパンクしそうだ。
なかなか寝付けず、朝方にやっと眠りについた。
「こうちゃーん。起きてー。朝ですよー。」
耳元で囁かれた。
くすぐったい。
「…ん。…なんだよ。なんでいるんだよ。…まだ目覚まし鳴ってなかったのに。」
手元の時計を確認する。
(…あと5分寝れたのに。)
「こうちゃんが寝坊したらいけないと思って、様子見にきたの。こうちゃんのママ、もう行っちゃたよ?」
「あぁ。それはいつもの事だろ」
「早く起きなよ〜遅刻するよ?」
「なぎさ。おはようのキスは?」
「えっ!な、何言ってんのよ!」
「いいじゃん。付き合ってんだろ?」
「…!こうちゃんのばかっ!先に行ってるからね!!」
バタンッ
(…うまくいったな)
困った時の対処法を考えておいて良かった。
今、布団をめくられたら渚は訳も分からずパニックになってしまうだろう。
(男って大変だよな)
ふぅと落ち着いて支度をしてからリビングへ行くと、渚が朝食の用意をしてくれていた。
「さんきゅー。」
「あ、うん。」
朝食を運んでくれている渚の動きがぎこちなく見えた。
「どうした?」
「こうちゃんが変な事言うから…。」
(あぁ、そういうことか)
「冗談に決まってるだろ?本気にするなよ」
「冗談…!そ、そうだよね、冗談だよね。」
渚は慌てて背を向けた。
…なんだか空気が重くなった気がする。
俺は黙って朝食を掻き込んだ。




