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好きな人

ご覧いただきありがとうございます!


新学期、新たな出来事が…!



新学期。


早々にテストがあった。


「テストは明日返却しますので、返却されたらよく復習しましょう。それでは今日はこれで終了です。お疲れ様でした」


「「ありがとうございました」」


「あぁ〜終わった!」


「帰ろうぜ〜」


「今日の放課後残る?」


クラスメイト達は元気だ。


…疲れた。


俺は机の上に突っ伏した。


テストはまあまあできた。はず。


ここ最近の出来事を思い出さないため毎日勉強だけに集中していたのだが、少しやり過ぎた。


いや、勉強にやり過ぎはないのだろうけど。


疲れて立ち上がる気が起きない。




(…帰ろう)


いつまでもここにいても仕方ない。


ゆっくり顔だけを上げると、奏太と秋山が目の前にいた。


「わっ!」


「…大丈夫?」


「あぁ、疲れたなぁと思って」


「お前がそんな事言うなんて珍しいな〜」


「目の下にクマがいるよ?飼い始めたの?笑」


「うっさい。まじめに勉強してるだけだよ」


「ふ〜ん。無理しないといけない時期だけどさ、あんまり無理しちゃダメだよ?」


「…さんきゅーな。」


「…うん、じゃあねっ!また明日〜」


「また明日」


「俺も帰るわ〜、じゃあな〜」


「おう。じゃあな」


(俺も今日は帰ろう。)


ゆっくりと支度をして外へ出た。






(…あれは、小西?)


校門の前で小西が立っている。


誰かと待ち合わせだろうか。


(あんまり見たくないな。)


わざとらしくないように小西を絶妙な距離で避け早足で去ろうとした。


「山口。」


(!!)


呼び止められた。


「…何か用?」


「あぁ。今から時間あるか?」


「…いいけど。」


「すぐ終わるから。そこの公園でいいだろ?」


「あぁ」








「それで?何の用だ?」


俺は公園のベンチに腰を下ろした。


少し離れて小西も座った。


「お前、渚ちゃんの事どう思ってんの?」


「…は?」


「好きなのかって聞いてんだよ」


「なんでそんな事答えないといけないんだよ」


「いいから答えろよ」


「…。好きだけど」


「なら何故伝えない?正月も渚ちゃんの家にいたんだろ?伝えるタイミング、山ほどあるだろ」


「…は?何言ってんの?彼氏がいるやつに告白なんかしたら迷惑だろ。しかも相手は渚だぞ?」


「…お前、まだそれ信じてんの?まぁいいや。伝えないなら、俺は本気で渚ちゃんを奪いに行く。俺は渚ちゃんが好きだから」


「!?」


光太はパニックになった頭を整理した。


(落ち着け、俺。小西の言い方からして、付き合っていないのか…?)


「ちょっと待ってくれ。付き合ってないのか?」


「あぁ」


「いつから?」


「最初から」


…俺は今まで何をしていたんだ。


「正月に渚の家に来たのは?」


「あぁ、お守りを渡しに。今流行りの友達にお守りあげるってやつ?俺は興味なかったけど、好きな人には渡したかったから流行りに便乗してさ」


(そうだったのか。渚…ごめん)


「俺は渚ちゃんの事本気だから。一度振られて、渚ちゃんの気持ちがこっちに傾くまで友達でいようと思ってたし、お前らが両想いになるなら、渚ちゃんが幸せになるならしょうがないと思ってた。けど。お前ら、なんなの?すれ違ってばっかり。なら俺はもう我慢しない。」


「俺は渚の幸せを邪魔したくなかっただけだ」


「俺だったら好きな人に彼氏がいても想いは伝えるけど」


「…それじゃ渚が困るだろ」


「?」


「渚は人一倍優しくて、人の為に悲しむんだよ。自分だけが幸せになって喜ぶやつじゃないんだよ。だから、渚を困らせる事はできなかった」


「…やっぱ、幼馴染さんの考えてる事は違うな。でも俺が渚ちゃんを好きだって気持ちは負けないから」


「…俺も負けない。渚の隣は俺だけで十分だ」


「…へぇ。なんかやる気出てきたじゃん。じゃ、帰るわ」


そう言うと小西は去って行った。


(もう、誰にも渡さない。)


そう誓うと俺は渚の家に向かった。


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