19プレイ 廃人というチーター。
1
前回のあらすじ。
「そういえば、VR版はパーティ4人からだったなぁ」
「だったら、一人心当たりが!」
「どうも、ゲーム廃人です!!」
あらすじだけだと全く意味不明だけど。
今日は、そんな廃人さんとクエストに出かけています。
2
「このクエスト、もう5回くらいクリアしてるんだよね!」
『語り部:いや、早すぎだろ。今日配信されたばっかりなのに』
「1日中、チェックしてるからね!」
「やっぱり、本格的にヤバイやつなんじゃ...」
そう言って、ため息をつくのは元ヤバイやつのジン。
「そういえば、このクエストって何が特殊なんだ?」
「そうだね!まぁ、会ったらその時にわかるよ」
「?」
どういう意味だろうか...。
そういえば、なんか一人足りない気が...。
「俺だ」
『語り部:サトウか』
「いや、いつものポジションに廃人が入っちゃったから、指咥えて見てるしかなくて」
『語り部:負けるな、サトウ』
「果たして、俺に勝てるかな!!」
一人称が同じ『俺』だから、若干区別つきづらいかも。
「おっと!そろそろ、イベントの発生ポイントだよ!」
「イベント?何だ、そ…――――」
『語り部:あ、サトウが』
突然、消えた。
「ここら辺は、盗賊が現れる地点なんだ!」
よく見ると、サトウは深さ5メートルほどの穴に落ちていた。
『へっへっへ...命が惜しければ、お前の所持金の103,490円を置いて行きな!』
えらく、具体的な金額を提示してくる盗賊。
「ま、これからの本イベントへの肩慣らしみたいなものだよ!気楽に行こう!」
さっきから、落ちたサトウを完全スルーする廃人。
『おら行くぞ!』
盗賊との戦闘がはじまる。
『語り部:じゃあ、廃人と中三はそっち頼む』
「了解した」
「あい、しー!!」
さてと。
『語り部:サトウ、生きてる?』
「さっきから、無視し続けられて精神的に死んでるよ...」
あぁ、サトウが穴の中で体育座りでわかりやすく落ち込んでる。
『語り部:いいから、はやくここ出ろ。ほら、ロープ』
「わかった」
『語り部:行くぞ!ほい!』
僕の手から穴の中に向かってロープが放られる。
ペチ。
あれ?
「長さ足りないんだけど?」
今のは、ロープの先が壁についた音らしい。
『語り部:すまん。長さ2メートルしかなかった』
「いや、投げる前に気付けよ」
どうしようか?
助ける方法がない。
「そんなお困りのテレビの前のあなた!」
うわ!?びっくりした!
『語り部:急に、僕の股の下から顔を出すんじゃない。うっかり、顔踏むところだっただろ』
「ふむ、見下されているのも、また!」
『語り部:おや、うっかり』
「痛ったい!目がーーー!!」
またってなんだ、またって。
股とかけてるのか?
「それだと、二股かけてるみたいだな!!」
それは、ここら辺に置いといて。
『語り部:お困りの私ですが、助けてくれんの?』
「そう!日常でこんな状況ってよくありますよね!」
『語り部:ねえよ』
「そんな時はこちら!!」
取り出したのは、ホース。
「こんな時は、このホースで!」
そういうと、廃人は穴に向かって放水し始めた。
「水位を上げて、助ければよいのです!」
『語り部:なるほど!あったま良い!』
「そうでしょう!しょうでそう!」
「ちょっといい?」
お、サトウが穴からぬけだせたようだ。
無論、びしょびしょだが。
『語り部:どうした、サトウ』
「その、ホースどこにつながってるの?」
「え?」
「......え?」
「まぁ、そんなこと些細なことじゃないか!今は命が助かったことを喜ぼう!」
「いや、話のそらし方下手か。明らかに、ホースの先っぽしか、持ってないよね?」
『語り部:いや、サトウ...』
「なんだよ。それらしい理由じゃないと納得しないぞ」
『語り部:フィクションって、こういうもんだから』
「上手く丸め込まれた感がすごい」
「いいだろ!別に!」
『語り部:いや、もうその件は良いんだけどさ。中三どこ行った?お前と一緒に戦ってただろ』
「あぁ、あの子なら、そこだ!」
視線の先には落とし穴のへりに懸命につかまって、耐えるジンの姿があった。
「すみません...助けてもらえませんか」
『語り部:・・・。』
黙って手を差し伸べる。
普通こういう場面は、ロマンチックな感じで描かれるのかもしれないが。
ただただ、僕は憐憫の眼差しをジンに向けるのであった。
『語り部:いや、廃人も気付いたなら助けてやれよ』
盗賊とかの戦闘中なら、キルされるかもしれないだろ。
動けないんだから。
「いや、しかし。戦闘後に落ちたからな」
「・・・てへ!」
『語り部:この手を放してもいいんだぞ?』
「いや、ほんとすみません。私のような存在が」
卑屈になり過ぎ。
「おいおい。もう、無駄な話が続きすぎて、本編に入るのに時間が押してるぞ」
『語り部:やばいな。そろそろ、本編行かないと』
「そうだな!じゃあ、ショートカットで」
廃人は地図を取り出し、ショートカット用の道を提示した。
いや、そういうの作ってるんだったら、初めから出してほしかったんだが。
「ん?あれか?」
目的地につくと、巨大なモンスターと何かが戦っているのが見えた。
「あれもプレイヤーさ!」
『語り部:別のって事か?』
「そゆこと!」
これは、パーティではなくとも、いろんなプレイヤーさんと同時に協力しながらするクエストらしい。
それが特殊クエストの特殊な部分ってことか。
「おぉ!別のパーティの人か!助かる。ちょっと、治癒師はいないかな?」
「あぁ、俺です」
そこにいた、パーティのリーダーらしき人から声をかけられ、近寄っていくサトウ。
あれ、見覚えが。
『語り部:お前、ロリコンじゃん』
「あれ、毒舌さんじゃないか!奇遇だな」
変なあだ名を付けるな。
そこにいたのは勇者。
そして、その勇者が引き連れる50名程度のパーティメンバーであった。
てか、メンバー多っ!
「そうだ、まず治癒の薬くれないかい?もう後衛職がいなくて、前衛が突っ込めないんだ」
「いいですy...」
『語り部:2,400円のお買い上げになります』
「え、何?金とるの?」
『語り部:お買い上げになりまーす』
「えぇ...これ協力クエストなのに...」
『語り部:だったら、そこでおとなしく殺されるのを見てるんだな!』
「この場合殺されるのは、モンスター...だよね?」
「てか、無理だよ。50人でかかっても、まだあんなピンピンしてるのに...たった4人でなんて」
『語り部:誰が、「4人で」なんて言った?』
「え?もしかして増援がくるのかい?」
『語り部:いや』
「じゃあ、どうするんだい?」
『語り部:たった1人で倒す』
「君が?無理だよ、それは」
『語り部:僕じゃない。そこにおられるお方だ』
「え...あぁ、俺?」
視線を向けると、完全に不意を突かれた形になった廃人が中三とUNOをしていた。
いや、UNOしてんじゃねえよ。
カメラ回ってんだから。
しまえ、しまえ。
「そう!俺が、このモンスターを倒してしんぜよう!」
「ふむ。装備は一級品だ...。あなたのランクは?」
「もちろんカンストだ」
この世界のランクは100がMAXではない。
どこぞの狩りゲ―のように999がMAXだ。
「なるほど...ガチ勢か。なら、一回くらい試してもいいか。では、頼みます」
「よかろう!!」
そう言って、剣を腰から抜く廃人。
「さて、と。お手並み拝見といきますか...」
おい、勇者よ。
お前、強者っぽいセリフ吐いてるけど、お前のランク100まだ超えてないって知ってんだからな?
どうやって、勇者になれたんだよ、お前...。
廃人の前にそびえたつのは、山岳を思い起こさせるような巨躯のモンスター。
ゆうに、30メートルは超えている。
ベースは、たぶんヤマタノオロチだと思う。
「さて、6回目はどう料理してやろうか!!」
か、かっこいい!
僕たちに、出来ない事を平然とやってのけるッ!
そこに痺れる!憧れ...はしないけど。
これは......20話に続く模様です。




