男は降り立つ2
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男は目を覚ます。
「良かった。目は覚めましたか?」
目の前には、少女の顔が目に入る。
少女の顔は、男が見に覚えがある顔
「こ、琴…?なぜお前がここに……!」
男の目は見開く。
「コト、人の名前ですか?それなら人違いだと思いますよ。私は【キン】と言います」
男は、ゼアラの言葉を思い出す。
『昔のお仲間に会えるかもしれません。ですが、その方達は別人であり、本人です。』
(っということは、この琴はこっちの世界の琴ということか…それにしても15~7才ぐらいか?琴の若い頃に瓜二つだな)
「悪い。悪い。人違いのようだ」
「いえ、気にしないでください。それより、お身体は大丈夫ですか?」
「ああ、全く問題ない」
男は、スッと起き上がる。
「すごいですね!ゴアグリズリーの血の毒を口にして、回復魔法をかけてから、わずか一時間で目を覚ますんですから!」
「そうなのか?」
男は、ゆっくりと辺りを見渡す。
ここは、どうやら河辺のようだ。
「あの場所にいたら、血の臭いで外のみ魔獣が寄ってくる可能性がありますから、とりあえず非難しました」
「それは、助かった。ありがとう」
「私こそ、ありがとうございました」
少女は、頭を下げる。
「確か、キンさんだっけ」
「はい!えっ…と…」
「ああ、俺の名は…【ヨミ】。ちょっと遠い場所からさっきここに来たばかりなんだ」
「そうみたいですね。この辺りに住んでいてゴアグリズリーを知らないなんてありえませんからね」
「あれ、そういえば、俺の刀は?」
腰に差していた刀がない。
「はい、こちらに」
刀は、河辺の大きな岩にかけられていた。
下には刀を引きずった後が残っている。
「あの武器は凄く重くてどうしても引きずって運ぶことがしかできませんでした」
「よく、引きずってでも運ぶことができたな」
「はい。【肉体強化】の魔法を使いましたので」
「肉体強化の魔法?」
「肉体強化魔法知らないんですか?」
「まず、魔法とはなんだ?」
(そういえば、ゼアラの奴も魔法がどうやら~って言っていたな)
「ええ!魔法知らないんですか?」
キンは信じられないような顔でヨミを見る。
「俺が住んでいた所には無かったんだよ」
ヨミは、誰が「違う世界から来ました」なんて信じる人はいないと思い、転生のことは言わない。
キン曰わく
魔法とは、身体の中にある血液のように流れる【魔力】を操り、【魔法】を使うことができる。
魔力には、【火】【水】【雷】【土】【光】【闇】と6つの属性とに別れていて、多い人では三種類・四種類の属性を持っている。
先ほどの【肉体強化】の魔法は【無】属性の魔法で基本的に誰にでも使える魔法である。
「因みに、私は【水】と【光】二種類の魔力を持っています。先ほどヨミさんにかけた【回復魔法】は光属性の魔法ということです」
「便利なもんだな。魔法っていうのは」
「でも、魔法も使わずに、こんな重い武器をよく持つことができますね。肉体強化魔法をかけた私でも、引きずって運ぶのが精一杯だったのに。【固有能力】とかかもですか?」
「固有能力、それも魔法の一つ?」
「それは、ちょっと違います。【固有能力】とは、その人が持っている特別な能力のことです」
固有能力とは、稀に【特別な能力】を持つ者が生まれることであり、人それぞれに様々な種類の【固有能力】があり、魔力を使うモノもあれば、魔力を使わず使うことができるモノがある。
めったに固有能力を持つ者はいない為に、持ってる者は優遇されることが多い。
「私は、【観察】という。固有能力をもっています。この能力は相手の様々な能力を見ることができる固有能力です。これは戦いなどで使用すると敵の能力などを見ることができるので有利になるんですよ」
「確かに戦いのなかでは情報っていうのは、とても大事なものだからな」