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ラスト

一条「今のうちに逃げましょう。」

五氏「でも二葉が……。」

一条「彼女なら大丈夫です。ここにいたら彼女の邪魔になります。」

五氏「……そうね。」


 五氏はあまり納得していなかったが一条に従うことにした。


一条(すまない、二葉さん。)


 一条は二葉を見捨てるという選択を取るしかなかった。


二葉(この場所に行けってどこからか声が聞こえた。この前もそうだった。本当はもう死んでいるはずなのに私は今ここにいる。奇跡としかいいようがない。これが神の望み?

変な話ね。実際に神に会っているのに信じたフリをしたり信じたり。矛盾していてぶれていて愚かで醜くて嫌になる。でも、それが私なのかな?)


 二葉は自身の揺らぎそのものを自分と考える。


二葉「私は私のために……戦う!」

3「ああ!俺も同じだ!自らのために殺し自らのためにこのデスゲームを生き残る!お前もそいつらもあいつもみんな殺さなきゃダメなんだよ!!決着をつけるぞ!!!」


 3はさっきまで持っていた武器を投げ捨て新たな武器を作り直す。彼は二葉が力尽きる寸前の状態であることは見抜いていた。だからといって彼が勝てるということではない。体は限界でも心はまだ朽ちてはいない。


3(一見、相手は死にぞこない。しかし、それは見かけの話だ。奴はまだ戦える。おそらく以前よりも強くなっている。なら俺も死ぬ気でいくか!)


 3は複数の武器を二葉に向け投げ飛ばす。それは彼女に通じないのは分かっている。


3(確実に破壊される。そのために投げた!)


 それらが彼女に当たり破片が宙に舞う。複数だったため破片の量は多く、少しだが彼女の視界を遮った。その機会を3は逃さず接近戦に持ち込む。飛び道具での距離のある攻撃では一条や五氏に攻撃をくらう可能性があった。何より接近戦は彼の領域。


3「さあ!!ここからだああ!!」


 近距離で片手のみ。それでも刃物を振り下ろし壊れては作り攻撃し続けた。破片は周囲を舞い二葉に当たったものはその破片すら破壊され微塵も残らない。それを繰り返したところで二葉の動きを封じることさえままならない。


そんなことを気にせず二葉は3に破壊しようと触れようとする。それをぎりぎりで3はかわし続けた。いつまでもこれが続けられるとは両者ともに思ってはいない。


二葉「!?」


 先に異変が現れたのは二葉のほうだった。能力を使い続けたため疲労が蓄積し彼女の体が先に悲鳴を上げた。3はそれを狙って攻撃をしていた。


3(ようやくか。)


 普通に能力を使うだけでは身体に異常は出ない。しかし、連続して使い続ければ当然体力はなくなる。二葉は攻撃の武器の破壊だけでなく触れる破片すらも無意識に破壊し能力を使い続けていた。能力を使用させ続けやがては使えなくする、それが3が考えた単純な戦い方だった。

 それでも二葉の方が先に限界が来る確信は3にはなかったがそれしか手がなかった。


 そして、その時がくる。二葉が一歩後ろに下がるしかなかった。これだけの動作でも全身に衝撃が走る。


二葉「まさか、これを狙っていたの!?」

3「お前には攻撃が効かない。だったら能力が使えなくなるくらいに追い詰める。」


 二葉の能力はおろか体がほとんど動かない。それでも諦めようとはしない。壊れそうな体が崩れ落ちる。まだ彼女は死んでない。


二葉「まだ!まだ!生きている!!」


 倒れたままでも必死に叫ぶ。これが最期と分かっていても納得なんてしない。


3「もう動けないだろ?」




3「さようならだ!」


 彼はその手を振り下ろし二葉を沈黙させた。


3「まだだ! 残っている転移者を殺さなければならない。あと三人か。」


四家「ちがうな! あと二人だ。」


 疲労した3に向けて銃の引き金を引いた。弾は3の腹部に的中し彼は倒れこむ。


3「まさか奥の手があったとはな。」

四家「お前ごときが予想なんてできるわけがないだろう?」


 さっきの仕返しとばかりに必要以上に銃を撃ち続ける。痛がる3を見て四家は楽しむ。


四家「あとこのふざけた女にも生きているうちにいたぶりたかったが仕方ないか。」


 四家はもう動かない彼女の体を踏み潰す。


四家「さて遊びはこれくらいにして……」


 そういって3にとどめを刺そうと動きだしたとき何かが彼の足を掴んだ。


四家「何!?」


 彼が驚いたときは既に遅く二葉に足を取られていた。


四家「まさか、生きていたのか!?」

二葉「これで壊せる!」


 四家の能力では二葉の破壊には勝てない。体は一瞬で崩れ去り四家は敗北した。しかし、彼女も動けない。


3「まさか、お前と手を組むことになろうとはな。……ありがとう。」

二葉「あなたのためじゃない。でも、これで私は完全に終わりね。」


 彼女は目を閉じ覚悟を決める。3は最大の敬意を込めて一撃で二葉の命を破壊した。


3「今度こそ……さよならだ。」


 3は別れを告げた後、一条たちを追った。もう長くはない瀕死の体で彼の望んだデスゲームの最終局面に挑む。



 セロと一条と五氏はようやく合流を果たした。


セロ「一条、無事……みたいだな。その人が五氏さんか。」

一条「でも、まともに動けない。俺たちであの四家を止められるとは思えない。」


 その直後、一条の表情が一変した。かつてない危機を能力と本能の両方で感じた。


一条「二人とも逃げ」


 一条の言葉が遮られるように


3「お前たちで最後だ。これでデスゲームの勝者が決まる!」


 ここにいる全員が3の言葉で覚悟が決まった。少しでも体力を回復させるため一条は問いかけた。


一条「四家と彼女はどこにいる?」

 

 読心で答えは分かっていた。それでも時間とわずかな希望が欲しかった。


3「二人とも相打ちのようなものだ。時間稼ぎはそれだけか?」

一条「ああ、罠の準備は終わった!」


 3は咄嗟に周囲を警戒してしまう。しかし、罠なんて発動しない。ハッタリだった。

その隙に煙幕を巻き五氏からもらった銃で狙いを定める。一条だけは能力で3の居場所がはっきりと分かる。平行してセロも3を襲った。


3(ちぃ、これでは不利か。しかし!)


 3はガラスを刃物と定義し細かいガラスの破片をいくつも作り上げた。雑だが複数当たれば致命傷にもなる。破片を周囲に全体に一条たちに向けてとび散らした。見えなくてもこれなら少なからず当たる。たとえこれが読めていてもすべて避けることは不可能。


一条「しまった! 二人とも、逃げろ。」


 一条は咄嗟の受け身で軽傷で済んだ。他の二人が深手を負った。3はまだ煙幕で見えていない中、音と刃物の操った感覚を頼りに五氏を狙う。3に気づいても反撃できない。でも


3「これで終わりだ!」


 五氏は3に命を刈り取られた。もう煙は巻き、煙幕もない。銃も狙撃銃でこの距離では当てられるか分からない。セロは半ば諦めかけだった。その諦めは一条も感じてはいた。

 それでも3を倒せるのはこの場にいる者のみ。


一条「セロ! お前は能力を使え!」

3(あいつは能力を使えないし転移者ではない。)


 一条は後退しながら3を撃つ。向こうも手負いで動きも読める。距離と時間の問題さえ解決すれば勝てる。

 一発目は3に体をかすっただけに終わった。セロは後回しでそのまま3は接近する。


3(破片ではガードは不可能だが、)


 一条が二発目を放つ頃には至近距離まで来ていた。


一条「距離を詰めれば!」


 3は殺すときは必ず自らの手で殺す。そのために必ず近づいてくる。



 彼ら二人の上からセロが投げた爆弾が降ってきた。これこそが一条の狙いだった。自らを囮にすることで死に際に五氏が呼び出した爆弾を拾い使う。


3「やらせるか!」


 爆弾に向かって武器を投げたがなぜか手前で妨害された。一条は3の腕を掴み勝利を確信する。


一条「これでゲームクリアだ!」

3「そういうことか! さすがだな、ここで初めて気づいたよ。ろ……」


 爆発によって二人は死んだ。生き残ったセロはこの光景をただ見つめていた。



一年後


セロ「一条、父さん、母さん久しぶり。」


 セロは墓に大きな花束を添えた。かつて失われた命を忘れないために、そして自らが奪った命と向き合うために墓の前で再び誓った。


セロ「俺はこの世界で生き抜いてみせる。どんなことがあろうとも必ず。それが俺の償いで人生と思うから。」


 いつもと変わらぬはずの空は復讐を終えた後のセロにとって綺麗な空に見えた。





神たち


神7「参加者は全滅で終わった。」


 他の神たちも意外そうな顔だった。まさか能力を持つ転移者が現地の一般人にやられるとは誰も考えていなかったからである。


神7「本来ならこの場に生き残った者が現れる。しかし、いないのなら今回はドロー。各自解散!」


 一番偉い神7が解散を告げ神たちは別の場所に移動した。だが、神6はビリになったためこの場の掃除をさせられていた。


神6「やっぱりビリか。6にも二度死なせて悪いことしたな。私は神様失格かな?」


 そんなことを一人呟いていた。


こうして神の都合で始まった異世界デスゲームは終わりを告げた……























6「そんなことないYO!」

神6「え?」


 突然掃除中に6が現れた。ここに死んだ者はこれないはず。


神6「死んだはずじゃ?」

6「あれは死んだふりですよ。腹に鉄板を仕込んでいました。狙われるようにあえて派手に動いていました。あなたにもらった透明人間になれる能力で今まで過ごしていました。」


 神6は初めて6とあった時より驚いていた。まさかこんな人が生き残るとは思ってもいなかった。一切期待していなかったため神6も含めどの神も序盤で本当に死んだと思っていた。

6は言葉通り誰一人殺していない。さすがは伝説の変態と呼ばれることもあると理解した。


神6「それだけじゃないでしょ?」

6「さっきのことと下着泥棒以外、他は何もしていませんよ?」


 今となってはその言葉が本当か神であったとしても分からなかった。それは本人以外知りえない永遠の謎。


神6「この世界に残りますか?それとも元の世界に?」

6「元に戻ります。あの世界に私は不要ですから。」

神6「最後に、叶えたい願いは?」


 まるであらかじめ決めていたかのように6は即答した。


6「あなた様の下着が欲しいですYO!!」

神6「……」

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