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1・3

1,3


 考えようとした時点でその手が読まれる。だからこそ思考をゼロに等しい時間で行動に移し尚且つ読まれた上でも回避が不可能な逆転の一手が3にとって必要だった。彼はそのために周囲の建物、その構造、今見えるもの聞こえる音全てを脳に一瞬だけでも記憶させる。今の彼には一瞬しかいらない。その一瞬に逆転の一手の行動に出る。


 それを理解した一条は回避行動に移る。しかし、彼は間に合わないと察していた。3は無数の刃物を作っては上空に飛ばし一条の頭上、その周辺に一時静止させる。その中の一部は止まらずに建物の窓に向かって突っ込んでいく。


3「凶器の雨を降らせてやる!!」

一条(逃げ場がない!)


 空中にあった無数の刃物は一条がいる真下に向かって降り落ちた。一条は死を覚悟し頭部を守りながら耐え抜いた。しかし、全身は傷だらけで立つことができず倒れてしまった。意識だけは紙一重で持ち続けた。


3「ここまでやっても死なないとはたいしたものだ。次が読めるなら分かるだろ?仮にお前が起きてもあの建物の中にいる人間を人質にとった。下手な真似をすれば俺が飛ばした凶器が人質を切り裂く!」

一条「右の建物の中……止めろ……他の転移者の情報はわたすから。」

3「分かった。早く教えろ。そうしたら人質は助けてやる。お前は俺が殺すけどな。」


 一条はこの世界に来た経緯からゆっくりと順に話始めた。肝心な情報のところまでは長くなりそうだったが3は文句言わずにしっかりと聞いていた。


一条「……ということでここの宿で生活していくことになった。少し休んでいいか?傷のせいで疲れた。まだ俺は死なないから安心しろ。」

3(さすがに傷を負わせすぎたか。話を長引かせるのは情を抱かせるため?それとも命を伸ばすために?)


 3はここでようやく一条の言動の意味を理解した。


3(違う、この話は時間稼ぎ!ということは他に仲間がいる!)


 一条はそんな3の心を聞いて少しだけ笑った。3は一条の思い通りに動かされていた。もう人質は意味を成さなくなっていた。


3「こうなったらトドメを!!」


 3は一条に引導を渡そうとした。ところが背後から来たセロに切りかかられる。反応が遅れ3は右肩をやられた。


セロ「大丈夫か!一条!!」

一条「それよりはやく奴を!」


 3は動かなくなった右腕を庇いながら走って逃げた。今の彼は片腕しか使えないため能力が半減していた。その上に負傷しているとはいえ二対一は分が悪すぎた。


3(かろうじで逃げることかできた。今回も俺の完敗だな。情報もほとんど手に入ってない上に右腕が駄目になった。もう勝ち目は薄いな。)



 一方、セロは一条を急いで病院に連れて治療をしてもらっていた。幸い一条は一命をとり止めたがしばらくは手足が自由に動けない体になった。


セロ「無茶しすぎだ、一条。」

一条「そういうセロもだろ?」

セロ「ふふっ、そうだな。」


 セロは一条の言葉に思わず少し笑ってしまった。彼にとっては何年ぶりかの笑顔だった。

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