表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

piece1 「魔女狩り」

 一人の魔女が箒にまたがり、広大な砂漠を低空で飛行していた。しかし、その飛行速度は通過した砂漠の砂を巻き上げるほどの爆速だった。


 魔女である私は今狙われている。魔女は世界各国で指名手配されている。かつていた同僚の魔女も捕まって死んだ。同僚の持っていたペンダントを身につけ、死ぬわけにはいかないと身を潜め生活していた。


 人間の姿に変装していたある日、隣町に行くことにした。同じ街にいると勘が鋭い者に気付かれてしまう。そのため、街を転々と移る。いつもなら何事も無く移ることに成功した。


 しかし、今回は違った。隣町に行くためには砂漠を超えなければいけない。箒を使えばすぐに砂漠を越えることができるが、飛ぶということは魔女であることを自ら公表することになる。見つかれば地獄の底まで追いかけてくるため、密かに動かなければいけない。


 魔女を捕らえた者には莫大な賞金が貰える。それを聞いた冒険者は魔獣よりも魔女を探すことを優先した。


 捕まった魔女は問答無用で殺される。大衆の面前で十字架に架せられ、火あぶりとなる。魔女狩りと呼ばれる処刑方法らしい。


 砂漠の上を歩いていた。暑いという感覚はなかった。いや、感覚が麻痺しているのかもしれない。そう思いながら歩いていたら、前方に人影があった。


その人影は明らかに私の方に向かって来ている。そして私の目の前で人影は足を止める。


「……」


 その人も私と同様にローブを来ていた。私はその人を無視して通り過ぎようとした。


「……っ!」


 腹部が熱い。そこを見るとナイフが刺さっていた。これが人間であれば致命傷を負っていただろう。これは敵襲だ。


「……全軍。用意!!!」


 その人が声を荒げそう叫ぶと、私を囲むように兵士や魔道士が続々と集まり、各々武器を構えた。


 これはまずいと変装を解き、箒を召喚して箒に乗り、飛ばした。


 そして現在に至る。兵士より魔道士の方が数が多い。そのためか無数の魔弾が私を襲う。私は避けながら、人がいないところに走る。


 避けながら遠く遠く離れると、遺跡があったのだろう石壁があった。私は逃げるように壁の陰に隠れる。ここでやり過ごす事ができるだろうかと思ったがまるで私の動きが全て見えているかのように敵はいた。


「……終了」


「……ぁ」


 女性の声が背後から聞こえる。振り向こうとしたが、その前に背中に剣が刺さる。意識がぐるぐるとして歩く事も出来ずに砂漠に崩れ落ちる。魔法も使わせてくれないほどに隙がない。


「……」


 私は抵抗するのをやめた。背中が痛い。もう諦めることにした。砂漠ではどこに行っても見つかる。人々は最初からわかっていたのか。あえて捕らえずに泳がせることにより魔女を油断させる。そして砂漠で仕留める。私はその策略に気付く事ができなかった。


「12……年、短い……人生……」


 そんな独り言を最後に私の意識は途絶えた。


「……。大丈夫ですよ。私は貴方を殺さない。貴方を殺すのは聖なる炎……」


 白い甲胄を身に纏った少女はそう呟いた。



 私は目を覚ます。両手は鉄輪で固定されていて痛い。そして目の前には大勢の民衆が私に『殺せ』と狂気の怒号が飛んでいた。


 今まさに死のうとしている私はこの光景を見た。しかし、何故か心に傷一つ入らない。平常心のままで十字架に架せられている。この状態でさえ平然としている時点で私はやっぱり魔女である。寧ろ心の奥底から好奇心が湧いてくる。私は余裕の表情を浮かべた。


 私の前で神官らしき装いをした男性が立った。民衆の怒号が一層強くなった。神官はその怒号を超える大声で言う。


「魔女を憎みし民達よ!今まさに魔女がこの世からまた一人、消し去ろうとしている!魔女はこの世に生まれた災厄!魔女は我々人間を脅かす存在!さぁ……我々の平和に一つ近付こうではないか!!」


『ううぉおおおおおお!!』『殺せえええええ!!』


 狂っている。


 確かに魔女はこの世の災厄とされている。実際、初期の魔女達はその能力に惚れ、自我を忘れて好き放題に村や町を襲った過去がある。それから現在まで魔女は忌まわしき存在とされた。しかし現在の魔女は初期の魔女に比べて襲うことは激減している。寧ろ貢献する魔女だっている。でも過去の起こしたことは今まで根深く残っている。


 私はこの世界に生まれて今までのうのうと生きて来たが、なぜか殺されるらしい。私を殺そうとしても意味が無いというのに……。


 私の目の前に先ほど演説をしていた神官がこちらを見ると。迷いなく、


「火を灯せえぇぇぇぇ!」


 と言い放った。


 辺りはこれまでに無い程に大きな歓声が響く。


 神官の付添人だろう二人の男性が、松明の火を私の足元にある焚き木に灯す。


 徐々に迫り来る炎はすぐに私の足へと到達する。


 その炎は私の体を包み込む。


 さようなら。この町(・・・)


 今回の勝負も私の勝ち。


 その炎で私を焼くことは逆効果である。


「私は炎……炎は私……私は炎帝の魔女を受け継ぐもの!!聞け!私は炎罰の魔女である!魔女を愚弄する人間よ……魔女の裁きを受けるがいい!!」


 魔法を唱える時、民衆の中に白い甲胄を見に纏う少女がいた。私を見て驚いているようだ。少女には刺激が強すぎるか?……そんな事はどうでもいい。


『アリド』


 私は炎となり、町ひとつを炎の海に染め上げる。ただし、人間を殺さないように燃やす。家を、木々を、水を。人間以外のものを全て燃やし尽くした。砂漠の町は人間を残し、姿を消した。そして私もこの町から自然消滅した。今度は何処から出るだろうか。



「……。」


 白い甲胄の少女は鎮火した十字架の前に立っていた。鎮火した町は、周りは石でできた家はあるものの、燃えるものは全て無くなった。民衆は先程まで拍手喝采だったものが阿鼻叫喚へと変貌していた。この町はもう町とは言えないだろう。


「炎帝の……魔女……っ……」


 少女は涙を流した。座り込み、泣いた。復讐しようにも、魔女の姿はもう無かった。



 私はやはり魔女だった。町を襲っているではないか。しかし私は死ぬわけにはいかない。同僚のため、自分のため。そうして今日も何処かを歩いている。

 ファンタジーノイズを読んで頂き有難うございます。

 さて、もうわかる方もいると思いますが、ファンタジーノイズは現在、私自身が以前より投稿しております、「ファンタジーアーカイブ」の番外編となっております。

 内容としてはまぁ、幻想世界の短編集みたいな感じです。

 この小説上では一枚絵は出てきませんが、TwitterやPixivで、一枚絵を投稿します。描くならみてみんに投稿して挿絵とするのもありですが、この作品では敢えてこの形で行こうと思うます。

 グダグダと投稿していくつもりですのでごゆるりと日常生活を過ごしてください。気づいたら投稿しています。

最後に、異世界(恋愛)とありますが、実際そんなの無いです。やりたい放題やります。(投稿後修正していると思います。)

 それでは次の世界でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ