【詩集】空の軌跡 海の軌跡

畑だったところが家になる

畑だったところが家になる

白菜の植わっていたところが家になる

農家のおじいさんはもういない

かわりに若い家族がやってきた

川だったところが道になる

魚が棲んでいたところが道になる

船頭さんはもういない

かわりに自動車が走ってる

どんどん人がやってくる

どんどん人がやってくる

家だったところが空き地になる

人の住んでいたところが空き地になる

子供たちはもういない

みんなどこかへ行ってしまった

村だったところがダムになる

祭りをしていたところがダムになる

笑っていた人たちはもういない

今はみんな水の底

どんどん人がいなくなる

どんどん人がいなくなる

畑だったところが

家だったところが

どんどん　どんどん　変わっていく

どんどん　どんどん　変わっていく

【補足】

　いつもどこかしら工事しています。その変化を見るたびにこういう思いにとらわれるのです。