自力脱出と謎の3人
前話のビルヘルマの喋り方がなんかおかしいので修正...したけどまだなんかおかしいのでまた修正いれるかもです。
目を覚ます
懐かしい夢を見た。
皆と初めて出会った時。
私が自分を認めてあげられた時。
こんな時にみんながいてくれたら...そう思っても仕方が無い。
この国に来た時点でチャットで時間がかかると連絡をしてしまった。
いや、ビルヘルマに助言をされてその通りにしてしまった。多分あの男からしたら全部予想通りだったことだろう。
悔しい。ただただ自分の不甲斐なさが悔しい。
...悔やんでいても仕方がない。
なんとか脱出する方法を考えないと。
私のステータスは下がってると言っていた。
あの門をくぐった時から結界の範囲内に入っていたんだろう。
本当だったらこんな鎖ぐらい引きちぎれそうだけど、思いっきり引っ張っても鎖はギリギリと音を立てるだけでちぎれる様子など無い。
「メニューオープン」
そう唱えてもメニュー画面は表れない。
無幻影剣はそもそも剣を持ってないから使えない。
魔法はさっき言われた通り発動しない。
武技は...そもそも倒れてる状態じゃ無理か。
となると、何か使えるものがないかスキルを一つ一つ試していくしかない。
ネタで習得したものから本気で使おうと思ったものまで。私が持っているスキルの量は莫大だ。
スキルポイントだけじゃなく、イベントや称号の報酬のスキル等で得たスキルを一つ一つ確認していこう。
そう考えて、頭の中でスキルリストを思い浮かべてふと気付く。ステータスup系を除く身体能力強化スキルは正常に機能していた。
例えば、エレン達を冒険者ギルドに連れていった時に獲得した"視覚強化"。
首が動く範囲で部屋を見渡してみても、視力が下がったようには思えないし、そもそもその他の五感強化系も全部正常に機能してる。
他にも無効化されていないスキルが無いかと考える。頭の中でスキルを一つ一つ発動させるように意識する。
そこから更に百を超えるスキルの使用を試して、漸く一つだけ反応のあったスキルが出てきた。
そのスキル名は『覚醒』
かっこいいという理由だけで獲得したスキルだったけど何も起きなかったスキル。
しかし、それを使おうと意識した瞬間、それは起きた。
突然頭の中にメッセージが表示されたのだ。
『システムメッセージ︰ワールドシステムと━━━━━の接続を確認.........接続完了しました。
システムの一部制限が解除されました。
━━━━━に連なる生命体も一部制限が解除されます。』
一部聞き取れない所があったし、気になるワードが色々出てたけど、間違いなく今の音声はゲーム内でのシステム音声だ!
制限解除ってことはもしかしたらとおもってゲーム時代のメニュー画面を思い浮かべる。
案の定、目の前にゲームの時と同じ画面が表示された。更には、アイテムボックスも使えるようになっていた。
こんな時に昔とった倉庫番スキルが役に立つなんて、やっぱり私は運がいい。
そう考えると同時に白黄金を鎖の上に召喚して、落下の衝撃で鎖を切る。
片方の手さえ自由になっちゃえばこっちのもんだ。
白黄金を手に取り両手足の鎖を断ち切る。
鎖を断ち切り、ベッドから立ち上がった瞬間に部屋にビルヘルマが入ってくる。
「なにか大きい音が...なっ!?何故拘束が溶けている!?」
「覚悟はできてるよね?ビルヘルマ。」
白黄金をビルヘルマに向けるとビルヘルマはその顔を青白く染め、後ろへと下がっていく。
「お、おゆ、お許しを...」
「すると思う?あんなことをしておいて?」
自分でも思っていた以上に低い声が出た。
私が意識していないだけで、割と怒っているらしい。そう思った瞬間にどんどん怒りのボルテージが高まっていく。
「ち、畜生っ!何が伝説級の封印アイテムだ!欠陥品ではないか!クソクソクソクソ!!」
「ま、こんな事をしようとしたのは貴方だから、それじゃ...」
私が白黄金を冗談に構え、振り下ろそうとしたその時だった。
「オラァァァアアアア!!!!」
「グベブォッ!?」
ドォォォォオオオン!!
と物凄い音を立てて壁が崩れ、そこから飛び出してきた人の形をした赤い何かがビルヘルマを殴り飛ばした。
その衝撃でビルヘルマは反対側の壁にめり込んだ。
「へ?」
「おう、リンカ。怪我はないか?む、怪我は見えないがダメージを負っているな。しばし待たれよ。」
「え、いや、誰?」
明らかに私を知っている様子で話しかけてくる人形の赤い何か。一見すると細マッチョの赤鬼と言った感じだ。
「おお、そうか。我の名も忘れているのだったな。我が名は...む?我が名は...!何故だ!?何故声が出なくなるのだ!?」
「え?」
「これは...まさかあの方の!?むぅ...ならば仕方が無い。リンカよ済まない。我が名を今伝える事はできん。何はともあれ、今我が兄弟を呼んだ。あいつが来るまで...」
「もう来てるけどね。」
「ぬおっ!?いつの間に!?」
「僕はイジと違って転移アイテムを持っているからね。おっと、はいリンカ。回復薬。」
「え、えっと?ありがとう...?」
いきなり現れた人形の青い鬼の様な生物(?)は赤鬼の方の名前を言ったようだが、今度は聞き取れた。赤鬼の方がイジという名前らしい。
彼から受け取った回復薬を一応鑑定する。
鑑定結果はフルポーションだった。
あの...ほんとに少しダメージを負った程度なんですがね?
そう思いつつもポーションを飲む。
「僕のヘマでアレを使われたみたいだし、それはお詫びって事で。
じゃあね、リンカ。今度会った時には君を奪えたら良いな。」
「それではな、リンカ。迷惑をかけたようですまんな!それと、割の本当の名前はイジではない。真名はまた今度名乗ることにしよう!ハッハッハッ!」
そう言い残して2人は消える。奪うってどういう事...?
そういえば転移アイテムがどうとか...
まぁゲーム内にもあった訳だし、この世界にあっても不思議じゃないか。
とりあえずこの場の後始末を、と思い壁に埋まったビルヘルマに近寄った瞬間にまたもや横槍が入る。
ビルヘルマの前に、人形の光る何かが現れた。
「ごめんねぇ、流石に僕としてはそれは見逃せないんだ。」
白黄金を構えた瞬間にその声が聞こえて、頭がスッと覚める。
あれ?私今この人を殺そうと...
「怒りに飲まれちゃだめだよ、リンカ。いつだって慈悲の心を忘れたら駄目だって━━━様に教わったでしょ?」
「その...貴方誰?それになんとかって人の名前が聞き取れないんだけど。」
「んんん、ありゃ。記憶にロックが掛かってるのかぁ...ま、いつか分かるよ。
この国に封印されてる武器を回収したら次はエリフィアに行く事をオススメするよ。彼処にも過去のリンカ達の足跡が残ってるしね。」
「過去の私...」
「そそ、それじゃまた何処かで会おうね。」
そういって人形の光る何かは消えた。
いつの間にか怒りの感情が薄くなっている上に魔法もスキルも使えるようになっていた。
何だったんだあの3人。みんな私を知っているようだった。
それにあのシステム音声。
帰ったらみんなを交えて話し合いをしなきゃ行けないな。でも、その前に武器も回収しておかなきゃ。
「とりあえずバルマさんに報告かな。」
そう考えて、私はアルツ王国に転移した。
ーーーー
洞窟の中で、3人の人形をした何かが話し合っていた。
内2人は男で、1人は女のようだ女の方が男の方に話しかける。
「リード、ちゃんと回収したの?アレ。」
「したとも。まぁ、自力で抜け出せはしたみたいだけどね。」
「あら、それなら回収の必要は...いや、何でもないわ。」
回収の必要は無いと女の方が言おうとした瞬間、リードと呼ばれた男から殺気が飛ぶ。
それを間に受けて言葉を濁すが、それほど重苦しい雰囲気では無いようで、冗談。と言った感じだ。
「それで、貴方達からみてあの子は...リンカはどう見えた?」
「記憶が無いのは間違いあるまい。それに、相対して分かったが、我らにも呪いがかけられている。解除方法は分からぬが、真名を名乗ることが出来ぬ様だ。」
「真名を?それはまた奇妙な...いえ、どうせあの方の考えなんて私達には読めやしないわね。」
「そうだな。でも真名ではない略名なら聞き取れていた様だったよ。僕がコイツのことをイジと読んだ時は僅かに反応を見せたよ。」
「残念な事に天使の姿は見れなかったが、まぁ両手足を手錠で縛られた姿というのもなかなか...」
「な、何よそれ!あんたそんな姿を見たっていうの!?」
「うむ、あれは我の趣味にピッタリだな!ハッハッハッ!」
「ぐぅぅ...いいわよ!いつかリンカが私達のものになった暁には...」
そこから先は聞くに耐えない...いや、人前では聞かせられないような話が飛び交った。
暫く2人が騒ぎ合うものの、リードと呼ばれた男はその様子をただ見ているだけだった。
「まぁ、とりあえず次仕掛けるのはエリフィアを出てから...かな。」
「そうね、エリフィアで闘うのは嫌...っていうか絶対にやらないし。」
「うむ、待っているが良いぞ。リンカよ。」
そして何時かのようにまた3人の姿は闇に消えていった。
次か次の次くらいで短いですが2章終わりです。




