勇者side 話し合い
アレン視点
「さて、こうして何の縁か異世界に来たわけだが。」
そう、俺達ギルド『六盟の絆』メンバーは異世界に勇者として召喚されたようだ。
「まず、情報を整理しようと思う。気付いた事とかはどんどん言ってくれ。」
「はい、この国の名前はアルツ王国。」
「見た目やステータス、スキルとかはゲームのまんま。」
「何故か、過去に存在した英雄という扱いを受けている。」
「魔王と戦争するっぽい。」
「ふむ、そんな所か。」
「あ、あとユニークスキルとやらが増えてる。」
「そういえば...」
ゲームにはユニークスキルというのは存在しなかった。
これはこの世界特有のものだろう。
所謂、勇者特典というやつだ。
「性能を見た感じではかなりのチートっぷりだね。
あ、そういえば鑑定スキルはどうやら誰も持ってなかったな。
俺達同士での鑑定もできなくなってるし、そこら辺はゲームとの互換性がある。」
「あとは...そういえば、アイテムは?」
「......ゲームと同じ動作をしてもウインドウはでない。消えたのか...?」
「うーん、それっぽいのだったら、アイテムボックス!...お、出た。どうやらこれはシステム的なものらしいな。スキルには無かったし。」
「うん、無くなってるものとかは...あれ?」
「どうした?」
「私のメインで使ってた弓がありませんよ!!?」
「は?よく探してみろって。...って、俺のも無ぇぞ!」
「...俺もだ、もしかして全員か?」
全員が頷く。もちろん俺もだ。
「...もしかして、なんだが。」
「どうした?」
「俺達は過去に存在した英雄と同一人物である可能性が高い。」
「あぁ。」
「そうなると、俺らが使ってた武器とかって封印されてたり、保管されてたりするんじゃねぇのか?」
「なるほど...可能性はあるな、後で聞いてみよう。」
「次に、これからの行動方針だが、基本的には冒険者の様な生活をしつつ、今まで通り、レベル上げや装備の育成。
あとは王様に頼まれた事なんかをしていく感じにしていこうと思う。
異論はあるか?」
「「「「無い。」」」」
「よし、それじゃ今日は解散としよう。
あぁ、あと元の世界に帰る方法は俺が探しておく。みんなも暇があれば個人で調べるなり、情報共有なんかを、しっかりしていこう。」
「「「「おっす」」」」
「よし、それじゃ解さ「ちょっといいか?」...どうした?」
「一応言っておこうと思ったんだが...」
「何をだ?」
「リンカの事だ。」
「...」
ルスタがそう言うとみんなが沈黙する。それはそうだろう。なるべく口に出さないようにしてたのだ。
このギルドを裏から支え、最も臆病にもかかわらず、最も強い副ギルド長。
待ち合わせに遅れたためという理由で一緒に来ることが叶わなかった。
それを今、何故?
「ギルドホームに俺らがいた時にいきなり地震が起きたのは覚えてると思う。
そして、その後に転移の時と同じ光が発生した。」
その言葉にみんなが頷く。
「その時に見たんだ。俺の目の前で光が人の形になったかと思ったら、すぐに霧散してその直後に俺達は転移した。」
「!!」
ま、まさか。
「地震が起きる直前にリンカはゲームにログインしてきた。
もし、リンカがギルドホームに転移すると同時に俺達が異世界に飛ばされたとしたら...」
「リンカもそれに巻きこまれた...?」
「その可能性が高い、と俺は思う。それと、なによりこの国に伝わっている伝説にもリンカの名前はあった。」
「ちょ、ちょっと待て。ならなんでリンカは此処にいないんだ?」
「言っただろ?巻きこまれたって。」
「...?」
「リンカはギルドホームに転移しようとした。
でも、ギルドホームでは異世界へ転移しようとする力が働いた。
結果、ギルドホームに転移しようとしたリンカは行き先をねじ曲げられた。とかそんな感じだろう。」
「じゃ、じゃあリンカはこの世界に来てるってのか?」
「あくまで推論だ。だが、一応伝えておくべきだと思ったから言った。
一応、リンカの捜索も目的の内の一つに入れておこうと思ったんでな。」
「な、なるほど。」
「ともかく、これから忙しくなるぞ...」
ルスタはそう言い終わるとため息をついた。
正直まだ、頭の中がこんがらがっているが、大体の行動方針は決まった。
待ってろよ、直ぐに見つけてやるからな...