出発準備
「ふぅ...疲れたぁぁぁぁぁぁ...」
「おつかれさん。」
ダンスパーティが終わり、部屋に戻ってくる。
ちなみに、部屋というかリビング的なところなんだけど。
6人全員に個室が分け与えられて、その上近くに手頃な部屋があったから、そこを私達の集合場所として扱わせてもらっている。
「...これでようやく、普通に街を歩けるようになるね。」
「まぁ、暫くの間は表を歩いた瞬間にいろんな人に捕まるだろうけどな。」
「うぐっ...でも、少しずつ対応してけばいつかはそういう人も減るでしょ。」
「まぁ、いつかは...な。」
うん、まぁそういう事で。
「で、旅に出る前にやる事があるよね?」
「あぁ、俺達の本当の武器をまずは手元に返してもらわないとな。」
「そうだね、でもみんなはこことザーラ公国だからいいね。私はルドリアル神聖国とかいう面倒臭い宗教国にアレがあるみたいだし。」
「ルドリアル神聖国か...俺が調べた感じだとやべぇ国ってあったがな。俺達の存在―――主にリンカを盾に国民に税を課したり、恫喝まがいの事したり...」
「そんな事が書いてある本があった事に驚きなんだけど。」
「一年前にかかれたとある冒険者の日記があってな。その冒険者は魔物にやられちまったらしいが、書いてあったことが書いてあったことなだけに、国に没収されたらしい。」
「へぇ...聞かなければ良かった...」
行きたくなくなるじゃん。
いや、もともとそんな行きたくはなかったんだけど。
「ま、ともあれ行くしかないわな。どうする?手分けして行くか?
それとも全員で1人ずつ回ってくか?」
「うーん...私がガンドとシアンをザーラ公国まで運んで2人はザーラ公国で武器を回収して来なよ。
で、アレン達の武器はこの国にあるんでしょ?
じゃあ、私はルドリアル神聖国までちょっと走ってくるから...」
「ちょっと走ってくるってお前なぁ...」
「大丈夫、大丈夫。レティウスとの『合体』で飛べるようになったから。」
「ああ、あれか。飛べるようになったんだな。」
「最初は苦労したんだけどね。今なら翼も自由自在だよ!」
空中戦闘もできるようになったから鳥型の魔物とかが飛んできても大丈夫。
本当に合体スキル便利。
「へぇーそりゃすごいな。」
「うわー、すごい棒読み。」
「んじゃそれでいいんじゃないか。どうせ危険な目には合わないだろうしな。それに、チャットもあるし、リンカの場合は転移で離脱できるしな。」
「そうだね。更にいえば、毎晩寝る為にここに帰ってくるし。」
「転移ってせけぇな...」
せこいんじゃない!便利なだけ!
「とりあえず、今からバルマ王に挨拶に行って、明日は孤児院に行って癒されてきて、午後から行こうかな。」
「随分と早いな?」
「出来るなら早いとこ行きたいしね。どうせだったら早く行こうと。」
「まぁ、いいがな。シアン。」
「はい。」
「俺達も準備しておこう。俺達も明日中にザーラ公国に行くぞ。」
「了解です、リンカの転移で...ですよね?」
「あぁ。どうやら孤児院に行くらしいからな。それのついでに行っちまおう。アレン達もいいな?」
あれ?サラリとタクシー扱いですか?
まぁ今更だけど。
「あぁ、問題ないぜ。」
「俺も。」
「私もです。」
「それじゃ、私は行ってくるよ。」
「あぁ、待て。どうせなら全員で行こう。どの道全員武器を探しに行くんだからな。」
「あー、そっか。そうだね。」
「という訳で武器を回収しに行こうと思います。」
「そうですか...分かりました。直ぐにでも手配致します。あ、そうそう。リンカ様の武器については記念式典の日にルドリアル神聖国王に許可を取って起きましたので。」
「え、ほんと!?」
「はい。ですが、不自然な程にすんなり話が済んだので少々不気味ですね。」
「んー、まぁ何も言ってこなかったのならいい事だよね。」
「そうだな。そんで、俺達もザーラ公国に行く事になったんでそこんとこ宜しくお願いします。」
「俺達も武器を回収するからこの城はしばらく離れるけど、国内にはあるらしいから。」
「ええ、存じております。かしこまりました、こちらの方で処理をしておきます。」
「ありがとう。何もかも任せちゃってごめんね。」
「いえいえ、いつかはやらねばいけない事ですので。早めに済ませて置けるならいい事です。」
「そう言ってくれると助かるよ。
...それじゃ、私達はこれで。今日はもう疲れたから休むね。」
「ええ、お疲れ様でした。」
私はその後、お風呂に入ったりしたあと布団に潜ると一瞬で眠りについた。
やっぱり凄く疲れてたらしいけど、朝起きたら全回復してた。元の体なら二度寝必須ぐらい疲れてたんだけどなー。
やっぱりこの体のスペックはチートらしい。
そんな訳で、朝食を食べた後ガンドとシアンを連れザーラ公国に転移した。
「という訳で2人のことはよろしく、イズールさん。」
「どういう訳なのか分かりませんが...」
「あー、すいません。おい、後は俺達が説明するからリンカはもう行って良いぞ。」
「あ、そう?じゃあお言葉に甘えさせてもらうね、それじゃ。」
さーて、エーリに会いに行かなくちゃ。
そんな事を考えつつ孤児院に転移する。
孤児院の庭ではちょうどアルジーネさんが出てきた所だった。
いやー、あいかわらず凄い孤児院だよね。見た目完全にギルドホームなんだけどさ。
「おはよう、アルジーネさん。」
「お、おはようございます、リンさん。」
「あ、そう言えば私の事はこれからはリンカでいいよ。もう公的に発表されたしね。」
「あれ、そうなんですか。おめでとうございます。」
「ありがとう、でも疲れちゃったよ。挨拶とか色々大変で。」
「それはまぁ...」
ガチャ
「あ、おねーちゃん!!」
「エーリ、おはよう。」
「おはよう!」
「今日からルドリアル神聖国って所に行くことになったからその前に挨拶と、あとお願いをしようと思ってね。」
「おねーちゃん、るどりあるしんせいこく?って所にいくの?」
「そうなんだけどね。ここから普通なら2週間くらいかかるんだって。まぁ、そこはちょっと特殊な方法で移動するから良いんだけど。
アルジーネさん。」
「はい、なんでしょうか。」
「私が転移魔法使えるのは知ってるよね?」
「ええ、1度来たことのある場所なら...でしたよね?」
「一応道具を使えば行ったことの無い場所とかも行けるんだけどね。まぁ、それはさておき、私がルドリアル神聖国に行く時に毎晩ここに戻ってきて泊まってもいいかな?」
「......えっと...?」
「あ、転移で戻ってこれるからっていう話なんだけど。」
「ああ!なるほど、そういう事ですか。全然構いませんよ、この子達もきっと喜びますから。それに、ガンドさんのお陰でこの孤児院も随分広くなりましたしね。」
「ガンドいわく、無駄な空間を減らしただけ。らしいけどね。」
そうそう、この孤児院とギルドホームは外から見た大きさは全く同じだった。
「それでも、あれは反則というか...」
「あぁ...私も同意見なんだけど。」
あと、ガンドは現実では建築士らしい。
ギルドホームのデザインとかもガンドが考えたものだし。
いつか和風建築の俺等の家を建てるとか言ってたけど...なんか近いうちに建ちそう。というか、私が戻ってきた時には建ってそうで怖いね。
「あ、話がそれちゃったけど。そんな訳で、今日のお昼すぎに出ようと思ってるんだけど。」
「わかりました。それまでは...」
「うん、みんなと遊んでいくよ。」
「わーい、おねーちゃんとあそぶー!」
さーて、癒されるぞー。
旅に出るのは次回になってしまいました。
まぁ、旅って言うほどのものではないんですけどね。




