事後報告をしよう。
その後魔王には回復魔法を掛けまくり、体力を全回復させた上で、ポーションを渡しておいた。
今回の魔王の怪我は100%私が悪いからね。
...ってあれ?契約の効果で魔王には危害を加えられないんじゃ?
「浄化は敵対行動にはならないのかな?」
「どうやらそのようだな...これで私は君を信頼する事が出来なくなった訳だが...」
「ほんとごめん...」
悪気はなかったんだよー。
魔物を纏めて倒せそうだったから...
「冗談だ。それより、それは解除しないのか?」
「あ、忘れてた。レティウスー。」
『やだー』
「え?」
『もうちょっとだけー』
「え、えっと...」
どうしよう。レティウスが思っている以上に我儘だ。
「どうした?」
「レティウスがまだ解除したくないらしくてね。」
「よほどあの光天馬に好かれているのだな。」
「あはは。嬉しい事なんだけどね。」
うーん...あ、とりあえず他の皆は送還させてしまおう。
「キリアス、シルヴィ、スタリー、ありがとう。また宜しくね。」
そう言ってから3匹の魔物を送還してしまう。
あとはレティウスなんだけど...
「レティウスー、あとちょっとってどのくらい?」
『12時間!』
「長っ!?」
今は会議の時間からして大体12時頃か...
それなら
「じゃあ、今日1日は良いって事にして上げる。私が寝る時にちゃんと戻るんだよ?」
『わかったー。』
レティウスがこんな我儘な子だったとは。
まぁいいや。あれ?そういえばこの状態ってなんもデメリットが無いんだ。
合体時に魔力消費したぐらいで、継続的に魔力が削れてくわけでもないのに、ステータスは爆上がり。
...これ、なんてチート?
「それにしても、見事に天使だな。」
「天使?」
「気付いていないのか?後ろを見てみろ。」
そう言われて後ろを見てみる。
ん?今、視界になんか翼みたいなのが見えた気が。
それに、髪も金色になっている。
「気付いていなかったのか。」
「戦闘中にそんな事気にしてなかったからね。ただ、ステータスは爆上がりだよ。」
ドンッ!
という音を上げて高く跳び上がる。
わー、魔王がちっちゃーい。
『魔王ちっちゃーい。』
...レティウスも同じ事考えてたみたい。
なんか恥ずかしい。
ってああ!
今絶賛落下中だよ!ちょっ!
バサッ
え?翼が開いた?
あれ?なんか翼に感覚がある!
もしかして飛べるんじゃないか?
ぐぐぐぐぅ...
ドンッ!
「リンカッ!?」
「いてて...」
飛べるか試そうとしたけど滞空時間が足りなかった...でも、防御力が高かったおかげで多少痛い程度で済んだ。良かったぁ。
「飛ぶ練習はまた今度にしよう...」
「飛ぼうとしてたのか。だが、光天馬は飛べない種族では無かったか?」
「うん、でもなんか飛べそうな気がするんだよね。ほら、ちょっと動くし。」
翼が少しだけパタパタと動く。
最初のようにバサッとした動きではなくパタパタと...頑張ればもっと動かせそうな気がする。
「ふむ、なかなか面白いスキルだ。合体した魔物の特徴は引き継ぐが、完全に同じではないと。
恐らく本人の適性や相性なども関係しているのだろうな。」
「ほえー、なんか詳しげだね。」
「あぁ、私の種族『魔王族』は代々魔国の運営だけではなく、魔法やスキルの研究も行っているからな。」
「王様自ら?」
「あぁ、なんせ魔族に知力の...賢さのステータスが高いやつは殆ど居ない。」
「でも、魔族は魔法が得意だよね?」
「あれは種族特性とそれぞれの魔法才能が遺伝しているだけだ。人間のいう魔法が得意というのは、魔法を覚え、研鑽を重ねて得るものだろう。」
「へぇ、そう考えるとちょっとせこく感じるね。」
「まぁ、そういうものだと納得する他ないだろう。」
「そうなんだけどさ...お、あっちも終わったみたいだよ。」
ガンドからチャットが飛んでくる。
『こっちも終わった。』と、簡単な一言だ。
「どうする?私はあっちに戻るけど。」
「そうだな...いや、私はこのまま城へ戻ろう。何かあったならばリンカが直接伝えてくれればいいしな。」
これはさっき言った信頼出来ないっていう発言を取り消してくれたって事でいいのかな?
そういう風に受け取っておこう。
「わかったよ。それじゃ、お城まで送るよ。」
「あぁ、助かる。」
「転移。」
光が収まり、城の中に来ている事を確認する。
うん、ちゃんと魔王城の中だ。
「それじゃ、私は行くよ。なにかあったらあの指輪で連絡をお願い。」
「あぁ、何から何まですまんな。」
「いいよ、この世界に来た時にお世話になったからね。それじゃー」
「ああ、またな。」
「転移。」
ーーーー
「お、来た...か...」
「お、おお??」
「リンカ...だよな?」
おおー、いい反応するねー。
「イエス!新しいスキルで従魔と合体出来るようになったんだよ。」
「それで、何と合体したら天使になるんだ?」
「レティウスって光天馬がいたでしょ?」
「あぁ、あの残念馬か...「バシッ!」...痛っ!?」
あれ?手が勝手に動いた!?
『残念じゃないもん!』
「ぷはっ!レティウス、怒ったの?」
『ガンドが悪口言った!』
「そうだねー、今の悪いのはガンドだねー。」
「ぐ...お前の攻撃力で殴られると洒落にならん。」
「残念とかいうから、レティウスが怒ったんだよ。」
「事実だろ...「ブンッ!」っ!危ねぇ!」
また、手が勝手に動いた。
私が力を抜いてる時ならレティウスが体を動かせるみたい。
新発見だね。
「ほらほら、そこまでにして。」
「やってるのはお前の体だけどな??」
「悪いのはガンドだよ。とりあえず戻ろうか。たぶん、さっきの部屋に戻ればいいよね?」
「良いんじゃないか?領主の館も近いしな。」
領主と言えばゼルヴァさん面白かったなぁ。
いきなり転移で来たらすごく驚いてた。
仕方ないんだよ。ゼルヴァさんには連絡用の指輪を渡してなかったから。
もう渡したけど。
「とりあえず、イズールさんに渡した魔道具で信号を送ったからたぶん、既にスタンピードを止めれた事は伝わってると思う。」
「そうか、それじゃ転移頼む。」
ガンドがそう言って、肩に手を置く。
「すげー、本物の翼が生えてるなぁ。」
「ひゃっ!?」
「おぉっ、すまん。」
思わず、変な声を出してしまった。
なんだろう、この翼を触られると結構くすぐったい。
「できるなら翼以外のところでお願い。」
そういって手を差し出す。
こうでもしないと、くすぐったくて堪らない。
「よし、みんな捕まったね?転移。」
ーーーー
「おお!お待ちしておりま...した?」
「あー、すいません。姿が多少変わってますがリンカです。」
「新しいスキルでちょっと今姿が変わってるけど、今日が終わったら元に戻るから安心してね。」
「そ、そうでこざいますか。それで、スタンピードの方は...」
あれ?そんな驚いてない?なんか残念...
「ええ、無事終わりました。ジグの街、魔国アルスター共に被害0です。」
「おお!流石は六英雄の皆様方です!」
「流石に25000の魔物の大軍を相手にするのは疲れましたがね。」
「何言ってんだよ、実際は俺が魔法で頑張ったんだろうが。お前等も範囲攻撃の手段を手に入れろよ!」
「お前こそ何言ってんだ。ここにいるだろ、範囲攻撃も出来るやつが。」
「そのリンカが今回いなかったから俺が苦労したんだろーが!」
「まぁまぁ...」
アレンが怒鳴るけど、気にしない。
どうせいつもの事だし...
そんな風に報告をして、結局1時間ほど先程の会議室で時間を潰してしまった。
節分ネタもやりたかったけど、話が纏まらず断念。
1年後にまだ続いてたらやろうかな。




