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再召喚された英雄の過去めぐり  作者: Pinekey
1章 魔王国家スタートってマジですか
38/54

殲滅戦

まずは、MPポーションを飲む。混戦になった時に魔力切れとかシャレにならないからね。

口の中に広がる栄養ドリンクのような味...ではなく、神薬調合によって後から味付けされている為リンゴ味だ。

...凄くどうでもいいです。


さて、とりあえず2人じゃきついからみんなを呼ぼうか。


「『召喚』"レティウス"」


まずはレティウス。

続いてこの世界での初のお披露目。


「『召喚』"キリアス"」


魔法陣から出てきたのは金色の狐。文字通り金狐と呼ばれる魔物だ。成長すると9尾の狐になるらしい。

続きまして...


「『召喚』シルヴィ」


出てきたのはキリアスの別カラーのような銀色の狐。銀狐と呼ばれる魔物で普通は金狐と仲が悪い。キリアスとシルヴィは仲いいけど。


「『召喚』スタリー」


最後に出てきたのは星導龍と呼ばれる5mほどのドラゴンだ。イベントの時に運良くテイムできた。


元はキリアス、シルヴィ、スタリーが私のトップ3を争う従魔だったけど、そこにレティウスが入り込んだんだよね。


「伝説の魔物が3匹も...」

「伝説なの?」

「あ、ああ。金狐と銀狐は種族間の争いが絶えず絶滅したと言われている。それに、星導龍に至っては目撃例が殆どない程だ。」


このサイズで目撃例が殆ど無いってことは本当に珍しいんだ。なんか嬉しいね。

...というか、レティウスは別段珍しくないのかな?


「よし、それじゃ行くよ。キリアス、シルヴィは左右から。

スタリーは空を飛んで後ろから挟み込む形に。

レティウスは私と魔王と一緒に。

それじゃ、ゴー!」

「応っ!」


私が指示を出すと、それぞれが言われた通りに動き出す。

暫くして、キリアスとシルヴィが突っ込んでいった魔物の群れは魔物通しで殺し合いを始めた。

あれは、幻影魔法と呼ばれる金狐、銀狐の固有のスキルだ。

魔物通しが人に見えるようにしてるんだと思う。


そして、魔物の群れの後方では何かが光り輝いている。そして、何かが宙を舞っている。

...なんか魔物が可哀想になってくるね。

かくいう私もそんなふうに観察しながら魔物をどんど狩って行ってる訳なんだけど。


「光刺さぬ冥界よ、その力を我がもとに示せ。『断光』」


魔王が使ってるのは暗黒魔法Lv.1で使える魔法武技だ。その名の通り光を通さない純粋な闇のエネルギーをぶつける魔法だ。

シンプルに威力が高くて使い勝手がいい。


「『澄流閃』、『真・サークルスラッシュ』、『バーストエッジ』」


武技のチェインをどんどん繋げていく。

ゲームではコンボを繋げることで威力が上昇してたけどそれはこの世界でも同じみたい。

どこまでがゲームのようなんだか。


「っ!レティウス!」


レティウスが魔物に囲まれる。囲んでる奴を排除しようにも私自身も囲まれてるせいで、抜け出せない。

サークルスラッシュはクールタイムか...!

仕方ない...


「『無幻影剣』」

「!?」


空中に揺らめく刀が大量に出現する。

それをみて魔王が目を見開いてるけど気にしない。

魔王...拳で魔物と戦ってるけど、凄く脳筋に見えてくる。

イケメンなのに...


「邪魔っ!」


そんな事を考えながらも体は勝手に動いてくれる。

レティウスは確実に一体ずつ敵を潰していたみたいだけど、流石に敵が多すぎて怪我を負っている。


「『ヒール』」


回復魔法でレティウスの傷が塞がっていく。


「もうちょっとだけ頑張ってレティウス!」

「ブルゥ!」


その瞬間、頭にメッセージが流れる。

それは、ゲームと同じ音声だった。


ースキル『合体(フュージョン)』を獲得しました。

ー称号『魔と歩む者』を獲得しました。


...スキルを獲得!?

このタイミングで!?

しかも合体って...やるっきゃないね!


「レティウス!『合体』!」


その瞬間、レティウスと私の体が光に飲まれた。




ーーーー




「ゴアアアア!!」

「はっ!」


目の前で吠える魔物を一体ずつ確実に仕留めていく。

魔物の数は最初に比べたら大分減った。

それでもまだ、1万は残っているだろう。最初は魔法で敵を撃ち抜いていたのだが、魔力の消費が激しいので、接近戦に切り替えた。


直接攻撃に魔力を纏わせるだけならば、大した魔力を消費しない。それに、攻撃の瞬間に、敵から魔力を吸収する魔法を掛ければ魔力はむしろ増えていく。

魔力を吸収する魔法は直接触らないと発動しないのが難点だな。


「はぁっ!せいっ!」


一体、また一体と敵を屠る。

周りには魔物の死骸が積まれていく。

にしても...何故いきなりスタンピードが?今回のスタンピードはなんの前触れもなく起きた。明らかに人為的な思惑を感じる。

...だが、何のために?

考えられるのはリンカ達六英雄に関してだが...それならば魔国にまで向ける理由がない気もする。

分からない...


と、そんなことを考えていたら、リンカの召喚した"レティウス"という光天馬が魔物に囲まれている。

人間の冒険者で言うところの銀ランクの魔物ならば多少は知恵が回る。

先に一番弱いと思われる光天馬を狙ったと言うところだろう。


「『無幻影剣』」


リンカがそう口にした瞬間、リンカの周りに大量の()が浮かぶ。

それは、リンカが手に持っているものと同じ形をしている。だが、ぼんやりと透けていて薄く発光している。


そして、リンカが持っている刀を振るうと同時に浮かんでいたその刀達は意志を持っているかのように動き始めた。

たぶん、ユニークスキルだろう。以前、リンカのステータスを私は『王眼』の『鑑定眼』で見ようとしたが、ステータスが表示出来なかった。

おそらくリンカとの実力が離れすぎていて、表示されなかったのだろう。


それさておき、リンカは無事"レティウス"を救出できたようだ。

あの光天馬もなかなかに強い魔物だ。他の3体に比べれば種族としての強さは劣るものの、リンカから直接魔物を摂取していたらしく、身体能力が高い。

だが、それだけだ。ステータスの高さは認めるが、実に惜しい。


と、その時だった。

"レティウス"に付いていたリンカの動きが急に止まり、何かを考える素振りをする。

その間にも魔物は集まっていく。

だが、近寄ろうにも周りの奴らが邪魔だ!

そう思った瞬間


「レティウス!『合体(フュージョン)』!」

「なっ!」


リンカとレティウスが急に強い光を放った。

一瞬だった。

その一瞬で、光に当てられた近くの魔物は浄化されてしまった。

かくいう私も、目をやられた上に少しダメージを負ったのだが...

おっと。


周りの魔物は目が見えているのか、襲いかかってくるのが気配で分かる。

それを、慎重に捌きながら一体ずつ倒していく。


その瞬間、響く爆音。

そして、見えていないので閉じている目に明らかに先程の光を超える光が私の体に突き刺さる。

ぐぁぁぁぁぁぁ...

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


なんとか激痛に耐え終わると、視界がだんだんと元に戻っていく。

視界が元通りになり、そこに居たのはリンカの姿をした金髪金眼の『天使』だった。




ーーーー




光に包まれる。暖かい光だ。

そんな風に感じた後、目を開くと近くの魔物はいなくなっていた。

あれ?いなくなった?


『僕の光で浄化したんだよ〜。』

「えっ!」


コイツ、直接脳内に...

じゃなくて、頭の中に少年?の声が響く。もしかして...


「レティウス?」

『そうだよ〜。』

「話せるの?」

『合体してる時なら話せるよ〜。』


おおー、これはすごい発見。

というかさっきスルーしたけど、合体時の眩しかった光は浄化の魔法だったらしい。

それで周りの魔物は全滅したと。これは凄い能力じゃないか?銀ランクの魔物が相手にならないよ。


『後ろ!』

「っ!」


気付いたら遠くにいた筈の魔物が近付いていた。

ナイス、レティウス!

そう思いつつ、バックステップをしようとして...


「おわぁぁぁ!!?」


思いっ切りうしろに跳んだ。

軽く地面を蹴ったつもりが、かなりの距離を移動している。

...どう考えてもステータスが上がってるね。

見てみると、ステータスが爆上がりしていた。しかも素早さの値だけは足し算じゃなくて掛け算したかのような上昇量だ。

...なんでやねん。


「っとと...ふっ!!」


移動した先にいた魔物を持っている白黄金で切る。

合体前に出していた"無幻影剣"による白黄金は全部消えていた。

多分、合体に魔力を使ったからだと思う。

ステータス見た時もMP減ってたし。

という訳でアイテムボックスからMPポーションを取り出したいんだけど...


「そんな余裕ないよね...」


レティウスの光で多少は纏めて吹き飛んでくれたけどまだ5000体くらいの魔物がのこってる。

キリアス達もよく戦ってくれてるみたいで、三方向で魔物が吹き飛んでるのが見える。

...ん?そうか。レティウスのさっきのやつがまだ使えるならあれでいける。

そんなことを考えながら、近寄ってくる魔物を白黄金でいなし、切る。


「レティウス、さっきのやつ行ける?」

『あと1回なら〜。』

「合図したらお願い!『無幻影剣』!」


もういちど無幻影剣を展開する。

周りには大量の白黄金。その全てで武技を放つ。


「『真・サークルスラッシュ』!」


一瞬だけ、近くの魔物がいなくなる。

その一瞬で、魔物が固まっている上まで跳ぶ。

そして、魔物達の上で空間を固定する。


「レティウス、お願い!」

『うん!』


体から極光と呼べるほどの光が溢れ出す。

その光は目下の魔物達を飲み込んでいく。

魔物は光に飲まれた瞬間に跡形も残さず消えて行く。


「っ...はぁ、はぁ...」


魔力切れ...ゲームでは何ともなかったけど、リアルだとこんなにもきついのか...

そう思いながらMPポーションをアイテムボックスから取り出して飲む。

ふぅ、少し楽になった。

回復量は私の魔力総量の25%ってとこだけど、MPの回復速度を上げてくれる特殊能力が付与してある。

10分もすればMPが満タンになるだろう。


そこでようやく気づいた。

目の前にボロボロになった魔王がいた。

...もしかしてレティウスの浄化の光が効いたの?


「...リン、カか?」

「そうだけど、大丈夫?」

「これが、大丈、夫にみえるなら、お前...の目は、どうかしている...」


そう言ってから魔王は倒れた。

そして気付いたらキリアス、シルヴィ、スタリーが私の後ろに。

魔物の殲滅戦は終わったようだ。

...魔王という犠牲を残して。


「...死んで、ないからな。ぐふっ」

ぶっちゃけ合体ネタやりたいがためにこのイベントを挟んだと言っても過言ではない。

ちなみに、リンカが以前魔王に負けそう的な発言をしてますが、万が一にあるかどうかというところです。ただ、その万が一を恐れるのがこの主人公。

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