閑話 正月の少女の憂鬱
皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
ということで番外編です
Happy New Year!!
目の前にはホログラムの文字が浮いている。
12月31日からゲームでひたすら狩りをしていた私は、いきなりその文字が出てきたのを見て、あぁ年が明けたのかと実感した。
現在ギルメンはいない。
オフ会をするらしく、一人暮らしのガンドの家に集まってみんなで年を越し、泊まり込みで遊び、そのまま初詣に行くらしい。
私は女なので流石に泊まり込みは不味いと思い、適当にはぐらかした。
いつかは、ちゃんと伝えたいとは思っている。
ぶっちゃけ、男キャラにした事に大した理由はない。
ただ、ここまでやってきて実は女だったというのも後味が悪いわけで...
そんなことを考えながら目の前の敵を倒していく。
気付くと、吸魔の角の効果が切れ、クールタイムにはいっている。
そのせいで、魔物は寄ってこない。
「ふぅ...転移」
転移結晶を使い、ギルドホームに戻ってくる。
予め転移等ができるアイテムがあるなら使う。
わざわざこんな事に転移魔法を使って、SPとMPを消費する必要は無い。
「細工」
アクセサリーを作る。
このゲームでは大概イベント毎の効果を持つアクセサリーが作れる。
その効果が出る確率はかなり低いが、私なら関係ない。
『新春の腕輪が完成しました。』
目の前にメッセージウインドウが出てくる。
性能をチェックすると、予想通りお正月限定効果がある。
「細工」
『新春の腕輪が完成しました。』
「細工」
『新春の腕輪が完成しました。』
「細工」
『新春の腕輪が...』
.........
新春の腕輪が問題なく6個揃う。
それを机の上に起き、考える。
このゲームを初めて約8ヶ月、共に戦ってきたギルドメンバー達だが、自分はちゃんと出来ているだろうか。
役割を果たせているのだろうか。
また要らないと捨てられるのではないか。
その恐怖に怯える毎日。
それを考えると、体が震えてくる。
自分しかいないギルドホーム。
いつもなら、アレンが騒ぎ、ルスタがそれに乗っかり、私が手を加えて、他の3人がそれを止めている。
そんな騒がしくも楽しい毎日が続いている。
いつかこんな日も無くなるのだろうか...
「何を暗い顔してんだ、正月だぞ!福が逃げちまうぞー」
「っ!アレンさん...」
気付くと、目の前にはアレンの姿。
それだけじゃない、みんなもいつの間にか来ていたみたいだ。
「俺らばっかりリアルで騒いじまってすまねぇな。
もしかしたら、と思って全員にVRギアを持って来るように頼んであったんだよ。」
「というわけで、今はガンドの家からログインしてんだよねぇ。」
「本当にひとりで寂しくしてたんですか。全く...」
「皆さん...」
「ま、そんな湿っぽい話はよしてさ!騒ごうぜ!せっかくなんだしさ!」
「うん、そうですね。」
良かった。
私は、ちゃんとやれてたみたいだ。
virtualreality略してVR
この仮想の現実では、私はちゃんとやれてる。
この世界が、私を私でいさせてくれる。
ずっと、ずっとこの仮想世界が続けばいいのにな...
ちょっと暗い話になってしまいましたが、リンカの過去が少し出てきました。
まぁ、あくまで閑話です




