美味しいとこは貰った!
「見えた...」
「やっぱり"死触龍"か...」
ガンド達5人は目撃情報のあった山の麓まで馬車で来ると、そこからは歩きで山を登り始めた。
そして、ようやく探していたそれは見えたのである。
「まだこっちには気付いていないか...よし。」
ガンドが、振り向き全員に尋ねる。
「『竜血薬』と『鱗柔薬』はいくつある?」
「俺は『竜血薬』が12個と『鱗柔薬』は無しだ。」
と、ルスタ。
「『竜血薬』が20に、『鱗柔薬』は16個。」
アレン
「どっちも0個だ。」
レイミス。
「『竜血薬』が0で、『鱗柔薬』が23個ですね。」
最後にシアン。
と、それぞれが答える。
「すまん、俺は両方0個だ。ちっ、これで戦うしかねぇか。」
「ダメージは一応通るし、どっちも少しずつ使っていけば良いだろ。
作戦はゲームの時と同じでいいか?」
「あぁ、構わない。俺とルスタ、レイミスであいつを直接攻撃する。
アイテムは迷わずどんどん使っていけ。
それと、危険な状況になったらユニークスキルの使用を。」
「「「「了解!」」」」
「よし、行くぞ!」
「「「「おうっ!」」」」
五人は"死触龍"がいる場所へと向かって行った。
ーーーー
「グルルル...」
目の前には、ゲームで見た奴と同じ龍。
"死触龍"『アバドン』
それは、初登場時の攻略率1%以下という驚異の難易度を誇った。
かく言う俺達もリンカの用意したアイテムでのゴリ押しだった為、誇れるような勝利では無かった。
リンカはそれでも「勝ちは勝ちなんでいいと思いますけどね。」と言っていた。
今回はそのリンカもいない上に、アイテムもこころもとない。
だが、俺達には新しい力がある。
勝てる筈だ。
「スゥ...」
「ブレスくるぞ!避け...ダメだ!」
俺は、覇盾『ゼッカイ』を構える。
後ろには街がある。ここで止めないと、街にまで即死属性のブレスが飛んでいく可能性がある。
『ゼッカイ』の機能により、範囲防御がかのうだが、一瞬で『ゼッカイ』が侵蝕されていく。
「くっそ!『神精錬』!」
俺のユニークスキル『神精錬』は、つぎ込んだMPの量だけ、武具を強化できる。
さらに、神聖属性の付与が無条件で可能という破格スキル。
それでも、耐えれるか分からない程のブレス。
即死属性というのは本当に厄介だ。
「ガンド!」
「こっちは大丈夫だ!今の内に攻撃しろ!」
「わかった!」
4人は攻撃を仕掛ける。
まだ、ブレスは止まらない。
侵蝕された端からひたすら『神精錬』をかけていく。
MPがものすごい速さでなくなっていく。
「グ、ガァァ!」
4人の攻撃が効いたのか、ブレスがとまる。
今の内にMPポーションを飲む。
「そいつの向きを変えろ!こっちにブレスが来たら街に被害が出ちまう!!」
「「「「了解っ!」」」」
4人は継続してダメージを与えている。
だが、敵のHPはなかなか減っていかない。
元々、全員が『竜血薬』によるパワーブーストと、ドラゴン特効の効果を上乗せして『鱗柔薬』による防御ダウンした所に総攻撃してようやく敵の体力が減ったのだ。
さらにそれを1時間。
今回は何時間かかるというのか...
いや、諦めてる場合じゃねぇな。
「行くぞ!『天薙』!」
仲間と同じように、攻撃を仕掛けに行く。
『鱗柔薬』は鱗を柔らかくする液体アイテムだ。
当たった部分にしか効果が掛からないが、その効果は劇的。
そこにさらに、『天薙』での防御ダウン効果を掛ける。
「ゴァァ...!」
「っ!」
攻撃を1発当てても、敵の魔法ですぐさま引き剥がされる。
そうしてる間に、『竜血薬』の効果も『鱗柔薬』の効果も切れてしまう。
また、高防御・高攻撃力の化物に戻っちまう。
めんどくせぇな...
「『星砕光波』!」
「!」
そこに、アレンの魔法が入る。
名前からして、ユニークスキルを使ったんだろう。
見た事のない属性の魔法だ。
「ギ!?グギガガァァァ!!」
"死触龍"は気味の悪い声を上げる。
だが、効いている。
「『四聖突滅』!」
「『龍滅覇撃』!」
「クグギギギギィ!!」
あれは、シアンとレイミスのユニークスキルか。
だが、元から刺突属性・打撃属性が効きにくい事からあまりダメージは入っていない。
「『紅蓮双蛇:火呑龍』!」
ルスタの双剣から火を纏った龍が生まれる。
その龍は敵にまとわりつき、ダメージを当たえているようだ。
「ガァァア!?」
思っていたよりも、俺達の攻撃が効いている。
俺達がゲームでコイツを相手にした時よりもレベルが上がっているからか、それともユニークスキルが他の武技やスキルなんかと比べ物にならない程強いのか。
ともあれ、このままなら押し切れる。
「よし、このペースでいくぞ!」
「「「「おう!」」」」
ーーーー
"死触龍"との攻防を繰り返すこと、約1時間ほど。
そこには、息も絶え絶えになった俺達と、瀕死の"死触龍"がいた。
ここまで追い込んだが、決定打が無い。
おまけに、アイテムはほとんど使い切った。
...たが、トドメをさせていない
「グ、グルル...ルァァ!!」
「なっ!」
"死触龍"が翼を広げて、飛ぼうとしている!?
あの方向は不味い!
「待、ちやがれぇぇぇえ!!!」
「グァァア!!」
ちくしょう!届かねぇ!
「アレンッ!シアン!遠距離攻撃をっ!」
「MPがもう無いんだ!」
「すまん、俺もだ...只の矢ではダメージが...」
チッ!このままじゃ...
そう思った時だった。
バッシャアアアアア!
「っ!?」
上から大量の液体が"死触龍"にふりそそいだ。
更には
ザクッ!
「ギャァァァァァアアアアア!!」
「あれは...刀?」
薄く光る透明な刀が"死触龍"に刺さっていた。
ザクッ!ザクザクッ!ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク!
上から無数の透明な刀が振ってくる。
「グ、ギィアガガ!!グォォアアアァ!」
"死触龍"が死にそうな叫び声を上げる。
それと同時だった。
「おやすみ。」
ズバァン!
呆然とする俺達の目の前で"死触龍"は真っ二つになり、その前に1人の女性...いや、少女と言った方がしっくりするような人物が降り立った。
そして、彼女は口を開いた。
「みんな、遅れてごめんね。」
「「「「「...誰?」」」」」
明日は多分投稿できないと思います。
日をまたいで投稿の可能性はありますが。




