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再召喚された英雄の過去めぐり  作者: Pinekey
1章 魔王国家スタートってマジですか
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魔王様、もしかして阿呆ですか。

神聖魔法に統合されている、光魔法で目くらまし光を発生させる。

更に、暗黒魔法に統合された影魔法で、敵の視界を防ぐ。

クリスタルドラゴン・バーサークは困惑しているようだ。

その隙を逃さない。

動きが止まった瞬間に神聖魔法と暗黒魔法のLv.5で使えるようになる魔法『セラフィックコール』と『デーモンズコール』を起動。

本来は、召喚スキルとの同時使用でしか使えないと言われるスキルだが、使い慣れてる私ならエネルギーだけを抽出できる。


それに、この世界で魔法を使うと、ゲームで使うより応用の幅が効きそうだ。

質が柔らかいから形を変えやすい...みたいな?

うまく表現出来ないけど、これならゲームの時よりもっといい動きができそう。


「やぁ!」


光と闇の魔法を纏わせて刀を振るう。

クリスタルドラゴン・バーサークを鑑定してみると、HPが2割を切った。

ゲームだとレッドゾーンと言われる範囲内だ。

つまり、ここからは行動パターンが変わる。


「ギュォォォオオオアア!!!」


目が赤く光り、動きが早くなる。

更には、今まで使ってこなかったスキルを使ってくるようになる。

具体的には、『ステップ』と『剛腕』。

ステップはいいとして、剛腕は一定時間自身の物理攻撃ステータスを上げるスキルだ。

上がるのは物理攻撃だけだから、攻撃を全部躱してる私には関係ないね。

さて、そろそろ...


「ギャァァアアアアア!!」


来た。ドラゴンと名のつく敵モブに共通して使ってくる"ドラゴンブレス"。

この技を待っていた。


「ワープゲート!」


空間魔法で自分の目の前の空間とドラゴンの頭上の空間をつなげる。

するとどうなるか。

なんと、ドラゴンは自分のブレスで潰れてしまうではありませんか。


「ギ、ギュォォ...」


クリスタルドラゴン・バーサークのHPは0になった。

流石アホドラゴンと呼ばれるだけあるね。

まぁ、呼んでるの私とギルメンだけなんだけどね。


そうか...これはゲームじゃないから素材としてドロップしたりしないのか。

解体とかめんどくさいな。


「ねぇ。」

「...」

「おーい?」

「...」


魔王が反応しない...アホドラゴンの死体を見て茫然としている。


「聞こえてますかー?」

「...はっ!な、なんだ。」

「いや、クリスタルドラゴン・バーサーク倒したけど。」

「そ、そうだな、見ていたぞ...うん...」

「どうかした?」

「いや、予想以上の実力に驚いているだけだ...気にしなくていい。」


あれで、予想以上?

うーん...ルスタとかならもっと早く倒しそうだけどね。

あ、でもルスタの場合は自分が攻撃受けるのを無理矢理無視して攻撃するから基準に出来ないか。


「あ、そうそう。あのドラゴンいらないから欲しかったら国の為にでも使っていいよ。」

「な!本当か!」

「うん、私は部外者だしね。あと...」

「あと?」

「いや、何でもないよ。朝から動いたからさ、お腹空いちゃった。」


素材を持っているって言いそうになっちゃったよ、危ない危ない。

なんか、この誤魔化し方だと私が食いしん坊みたいでなんか嫌だなぁ。


「そ、そうか。では朝食にしよう。セバス、頼む。」

「かしこまりました。」

「影、アイツを解体できる人員とアイツを運ぶ人員を呼んでくれ。」

「かしこまりました。」


シュバッ!と影の人は消える。

あの人強そうなんだよなー、こんどこっそりステータス見てみようかな。

そう考えながら、館の中に戻る。

朝食はとても美味しかったです、まる。


ーーーー


「それで、君はすぐにアルツ王国に行くのかい?」


朝食の後に、魔王が聞いてきた。


「できるなら、早く行きたいけどその前に土地とを買いたい。」

「土地と家?それは何故?」

「家を買っとけば、旅の途中でもワープですぐ戻ってこれるし、旅が快適だから。」

「......もはや、驚くことに疲れたよ。」


そんなに驚く事かな?

あ、でも魔法の使用感がほとんど同じって事は空間魔法使える人自体が少ないのかも。


「そういえば、ここからアルツ王国までどのくらいの距離がある?」

「歩きで約2ヶ月ほどだ。あくまで、アルツ王国の領土までの距離だがな。」

「つまり、王都まではさらに時間がかかると。」

「そういう事だ。」

「え、じゃあ影の人はどうやって勇者の情報を?」

「教えるわけがないだろう。」


そりゃそうか。そんなすごい事国家機密だもんね。

まぁ、大方遠距離通信系の何かだろうけど。


「うーん、よし。考えていても始まらないし、まずは家を探そう。」

「待て、その前にその角をなんとかしないと駄目だ。」

「角?」


魔王と同じ見た目にしたから問題ないと思うんだけど。


「気づいてない、というより知らないだろうが、私の角は特別だ。

この形の角を持っている魔族は私の血縁以外にいない。」

「つまり魔族じゃないとバレる訳ね。」

「そういう事だ。」


えー、せっかくいい感じの性能になったのに。

なんか、勿体ないなぁ。

あ、そうだ。


「生き別れの妹ってことにすれば...」

「生まれてから妹と生き分かれるような事は無かったが。」

「そこは...なんとか情報操作とかして...」

「無理だ。」

「うっ。」


きっぱりと言い切られると困る。


「はぁ、仕方が無い。この館を使え。」

「え、いいの?」


この館かなりのお値段すると思うんだけど。


「どうせ、また数カ月は魔王城で書類と戦わなければならないからな。」

「王様って大変だね。」

「本当にな...」


表情が陰る魔王。なんか、可哀想だ。


「それじゃ、有難く使わせてもらうよ。」

「あぁ、だが何かを壊したりしたら、その分はきっちりと代金を請求するからな。...というか、金はあるのか?」

「大丈夫、召喚される前に持ってたお金がちゃんとこの世界用に変換されてたみたい。」

「そうか、なら安心だな。私達は昼頃に帰るが、どうする?」

「じゃあ、そのタイミングで私もここを出るよ。

あ、でも街をちょっと見てみたい気分もあるなぁ...」

「まぁ、好きにするといい。

...最後に、この国の王として頼む。

何としてでも戦争を回避させてくれ。」

「うん、多分なんとかなると思う。」


あれ?そういえばなんで戦争になったんだっけ?


「ねぇ、アルツ王国と戦争が起きそうなんだよね?」

「あぁ、そうだ。」

「なんで?」

「わからない。3カ月程前にアルツ王国に使者を送ったんだ。

今までの事を水に流して、交易とかをしたいとね。」


ふむふむ。でも、それで戦争になる?


「どうやら手紙の内容を勘違いして受け取った様でね。

それで、戦争とかいう話になってるらしい。」


えぇぇ、外交問題に対して適当すぎじゃない?


「ちなみに、どんな文章を送ったの?」

「えーっと...確か

『今まで続いてきた魔族と人族の因縁を取り払いたい。』みたいな言葉を少し盛って文書に書いて、後は宝物庫にあった宝石のついたナイフを交渉用に渡すように使者には言ったかな。」

「...ちょっと待って。」


ナイフ渡して、因縁を取り払いたいって言ったんだよね?

それって...


「それだと、捉え方によっては戦争しようって捉えられるんじゃ...」

「え?」

「少なくとも、そういう話を聞いたことがあるってだけなんだけどね。

私がいた世界だと、ナイフを送り付けるっていうのは脅迫の意味を持つの。

つまり、今回の手紙をそういう風に解釈すると、『いままでの態度をやめて、大人しく従え。さもなくば国を滅ぼすぞ。』って言ってるように聞こえる訳。」

「そ、そんな...」

「え、本当に気づいてなかったの?」

「そ、そんなこと知らなかった...」


阿呆か!?

というか、そんな事のために私は駆り出されるのか。

なんと不憫な事だろうか。

これで、戦争止まんなかったらいろいろと酷いことになるよ...


「す、すまない!私のせいで尻拭いをさせてしまう形になってしまった!

私に出来ることならなんでもする!

だから頼む!戦争を止めてくれ!」

「わ、わかったから!はぁ...」


だれがどう見ても、これが魔王のとる態度とは思えない...

私の中の魔王像が崩れ去っていったのを私は感じた。

ドジッ娘属性の魔王(男)って誰得...

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