プロローグ
何故か修正箇所が元に戻ってたので再度修正。
リングとリンカの名前が似てたのでリング→シアンにしました。
VRMMO「レジェンド」
そのゲームは名前の如く、爆発的な人気を誇った。
それは、ゲーム界の伝説となる程に。
そして、そのゲームのトップギルド「六盟の絆」
たった6人しか居ないにも関わらず、トップギルドと呼ばれるそのギルドのギルドホームには五人のプレイヤーがいた。
「また、あいつは遅刻か...」
強面の男(PN:ガンド)が、痺れを切らしたように口を開く。
「あー、昨日の夜ちらっとログインしたら魔潜の森で、アレやってたから、たぶん寝坊してるんじゃないかな。」
その隣に座る糸目の男(PN:アレン)はそれに対して前日にみた事を話す。
「アレか...」
「アレはあの人にしか出来ないからなぁ...というより、アレはゲームシステムを疑いますねぇ。」
「それ言ったらあいつの存在自体がバグか何かですよ。」
遠い目をしたガンドに対して巨大なハンマーを背負った優しそうな男(PN:レイミス)と弓を背負った細身の男(PN:シアン)が補足をする。
「お、来たぞ。フレンドリスト見てたらアイコンが光った。」
腰に2本の短剣を刺した男(PN:ルスタ)がようやくだ。と言った感じで言う。
「さて、それじゃ俺らも準備を......!?」
「地震!?」
「ゲームの中だぞ!?」
ガンドが、準備をしようと、言おうとした瞬間に、それは起きた。
急にギルドホームを謎の揺れが襲った。
そして...
「うわっ、眩し...!」
それは、誰が発した言葉だったのか。
わからないまま、彼らの姿はゲームの中から、そして現実からもかき消えた。
ーーーー
「はっ!寝過ごした!」
ギルドホームから5人が掻き消える5分ほど前、彼女は目を覚ました。
彼女の名前は 神無月 凛。PNはリンカ。
彼女こそ、ギルドメンバー達が話していた最後のギルドメンバーである。
素早い動きでゲームを起動させると、IDとパスワードを高速で入力する。
彼女は今メンバー達を待たせている身である。少しの遅れも許されないと急いでいるのである。
ゲームにログインすると、ゲーム内での男の身体に満足するように頷き、そしてギルドホームへ転移しようとする。
転移アイテムである、転移結晶が砕け、光が彼を包み浮遊感を感じる。
そして、目を開けるとそこには...
「なんで...」
古びた館があった。
どう見てもギルドホームでは無い。
ましてや、ゲームにはこんな場所は無い。
そして何より...
「建物の情報が...無い?」
鑑定を使ってみた所、情報無しと表示された。
情報が表示出来ないではなく、情報がない。
何らかの異変が起きているのは明白だった。
そして...
「こんな所でどうしましたか?」
「っ!」
いきなり話しかけられ飛び上がる。
話し掛けてきたのは執事服を着た白髪の老人だった。
「貴女のようなお嬢さんがこのような古ぼけた館に何のようですかな。」
「お嬢...さん......?」
そう言われ、自分の姿を見てみる。
ゲーム内の男の身体ではなく、細い腕。
身に付けている服はイベントでドロップした姫系の服。
そして、控えめとはいえ少し膨らんだ胸。
先ほど口から出た女性特有の高い声。
「な、なんで現実の姿に...」
「どうか致しましたか?」
「あっ...すいません...ここは、何処ですか?」
「ここですか?ここは、魔国アルスター。その王都の外れですが...貴女はどちらから?」
「魔国...アルスター、知らない名前...もしかして、異世界...そんな、そんな事ある訳...」
「あのー...」
ほとんど無視され、悲しそうに話しかける老人。
「つかぬことをお聞きしてもいいでしょうか?」
「え、えぇ、私で良ければ。」
「貴方は日本という場所を知っていますか?」
「ニホン、ですか...いえ、知りませんね。」
「そう...ですか。」
勝手に自己完結してしまう彼女。
その前には、何も理解していない老人が立っていた。