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鋼鎚使いの無能神官  作者: しらぬい
第2章 紅焔破刃の継承者編
36/45

EP 33 朝は元気に快活に!

遅くなりましたが、投稿です。

ひとまず、どうぞ




 翌日、朝食の時間を過ごしていると玄関の扉がコンコンとノックされた。誰か訪ねてきたようだ。こちらに来たばかりの俺たちに、誰か訪ねてくる人物は思い当たらない。恐らくソルの客だろう。


「あいよォー」


 ソルが椅子から立ち上がり、対応へと向かう。

 首をはて、と傾げる彼の様子を見るに、彼らの予定にもなかったことらしい。ギィと音を立てて、ドアが開かれる。


「どもー、皆さん! 朝から押しかけ、あなたのリズです」

「帰れ」


 扉の向こうに人影が見えたかと思うと、扉は一瞬のうちに閉じられた。その早さたるや横のルイーナが思わず声を出して感心するほど。扉の向こう側にいるリズはあんまりな対応にあっけにとられたのだろう。しばらく沈黙していたが、その内ドンドンと勢いよく扉を叩き始めた。


「ちょっと、ソル! あたしとルイーナの逢瀬を邪魔しないでよ!」

「うるせェ! おめェが訪ねて来たときに限ってオレがロクな目にあわねェだろうが!」

「お、逢瀬って……」


 ソルにしては珍しいことに全力で侵入を拒否している。向こう側から押されているであろう扉を体全体を使って抑えつけ、ギャンギャン騒ぐリズに応戦している。本気で嫌なのか、その表情は険しい。


「ソ、ソル。いくらなんでもその対応はどうなんだ?」

「ほらー! アレンさんもそう言ってるじゃん! ここを開けなさいよ!」


 一層強くなる扉の音。もうドンドンとかじゃなくてガンガンって鳴ってるあたり手甲か何かつけているんじゃないだろうか。


(あん)ちゃんはこいつの恐ろしさを知らねェからそんなこと言えんだよ! こいつは俺の稼ぎを丸ごと吹っ飛ばしたこともある超問題児だぜィ!?」


 対して扉を抑えながら叫ぶソルの表情は必死そのものだ。絶対に入れさせるものかという強い決意を感じる。昨晩のルイーナと比べていいものか分からないが、決意の強さだけで言えば恐らくそれに匹敵するだろう。

 が、その均衡もしばらくの後に一方に軍配が上がることになる。死闘の末に勝利を勝ち取ったのは家主たるソル……ではなく来訪者であるリズだった。物の見事に扉は破壊され、下敷きになったソルとともに無残な姿を晒している。ああ無情、彼にほんの少しでも寛容さがあればこんな事故は起こり得なかっただろうに。その場合は間違いなくソルの売り上げに何かしら影響があるのだろうが……。


「正義は勝つ……!」

「誰が正義だ、誰が……」


 転がる扉を踏みつけ、ガッツポーズ。彼女は下にいるソルのことを忘れてやしないだろうか。扉の下から聞こえる呻きのような声が、悟りきった感じだったのはあえて目を瞑ろう。後で修理を手伝おうと心に決める。


「ほっほ、元気なのは何よりじゃが何か用があったんじゃないかのぅ?」


 顎髭を撫でるブラド爺さんに言われ、ハッと我に帰るリズ。そうだそうだと呟きながら、彼女は俺たちの前まで近づいて来た。


「まずはお礼を、と思って」

「お礼?」

「うん! 私の代わりに依頼を受けてくれるんでしょ? これであたしも調査の方に専念できるからさ、ありがとう二人とも!」


 そう言ってリズは深々と頭を下げる。普段の依頼をこなしながら調査も、というのは彼女にとってもかなり負担だったようだ。気にすることない、と頭を上げさせると二パッと彼女は満面の笑顔を見せた。


「ったくよォ……、人の家の扉壊しやがって。今度レグナスに文句言っといてやるからなァ、リズ」

「でもあれは扉を開けなかったソルが悪いだけだもんね。あたしは普通に訪ねて来ただけだもーん」


 ベーッと舌を出すリズにひくひくとソルの口端がひきつる。最早何も言うまい。彼には彼の想いがあるし、リズにはリズの事情があるのだ。


「あー、それともう一件……、いや二件かな。念のため聞くけど、アレンさんたちは魔物討伐の証をまだ持ってる?」

「それなら確か……」


 腰に提げていた皮袋に入っていたはずだ。一応ルイーナの方を見てみると、悲しそうに眉尻を下げてふるふると首を横に振った。俺も皮袋が周囲にあった記憶はない。どうやら戦いと転移の最中で落としてしまったらしい。貴重な収入源であっただけに残念である。


「どうやら失くしてしまったらしい。多分、戦闘の時になくなったんだろう。派手な攻撃に巻き込まれたしな」

「なるほどなるほど。えーとその時は確か……」


 リズはポケットから小さな紙を取り出し、さっとその紙面に目を通した。続いてこれまた懐から小型の皮袋を取り出すと、その中から3枚の金貨を取り出して俺の手の平に握らせた。ルイーナにも同じことをする。


「依頼は残念だけど失敗ってことで報酬は本来なら出せないんだけど、情報提供料ってことで半分ギルドから支給されたよ。ギルドカードが本物だったし、信憑性も高いだろうってね」

「こ、こんなに貰っちゃっていいの?」

「いいのいいの! そのまま懐にしまっちゃいなー」


 さぁさぁと手でジェスチャーする。依頼が失敗したのにこんなにも貰えるのは申し訳ない気もしたが、正直なところありがたい申し出だ。遠慮なく受け取らせてもらうことにした。


「じゃあ一件目はこれで終わりね! じゃあ次、あたしが受けるはずだった依頼の引き継ぎをしておきたいの」

「ちゃんとまともな依頼だろうな」

「失礼ねソル! ちゃんと普通の依頼よ。ほら、これ」


 そう言って差し出してきたのは三枚の依頼書だ。ランクはCランクが二枚にDランクが一枚。難易度はそう高くない。内容にも寄るだろうが俺たちでも十分にこなせるものだろう。

 内容を確認してみると、依頼は次の三つだった。


・夜の影を追って!

・害獣討伐のお願い

・火山口の調査


 『夜の影を追って!』はCランクの依頼でハヴェッタに住む住人が依頼主のようだ。詳細は夜中に商品を盗む盗人を捕まえて欲しいというもの。二つ目の『害獣退治のお願い』は依頼ランクがCランク。ヒストルエ南にある農場からの依頼だ。近頃、農場を荒らすモンスターが出てきて困っているため、退治してほしいとのことだ。最後の『火山口の調査』はタイトル通り火山口の調査をするDランクの依頼だ。依頼主を確認すると、どうやら北の山岳の麓にある里にいるようだ。

 順番的には場所が近い火山口、害獣退治、夜の影、というのがベストだろう。依頼のランク的にもDから受けられるからリハビリにもちょうどいいだろう。そう考えていたが、リズから待ったが入る。


「それで依頼の順番なんだけど……、申し訳ないけど害獣退治を一番最初に、その後ハヴェッタに向かってもらえないかな?」

「何か理由があるのか?」


 俺の問いかけにリズは眉尻を下げ、ちょっと困ったように笑う。本当はこういうのはよくないんだけどねー、と人差し指を口元に当てるジェスチャー。


「実はこの害獣退治はあたしの知り合いの依頼でね。ホントはあたしが行ってあげたいんだけど無理だから、せめてそっちを先に解決してあげたくて……。ハヴェッタの方も結構困ってる人が多いみたいなの。たくさんのお店で被害があって代表者が依頼してきたって事情だったから」

「なるほどな。俺はこの順番でも構わないぞ」

「私も大丈夫。どのみち全部片付けちゃうしね」

「ありがとー! ルイーナも! さすがはあたしのルイーナ!!」


 感極まってリズは勢いよくルイーナに抱きついた。ルイーナはよろめきこそしたものの、なんとかその場に踏みとどまる。グリグリと頭を押し付けながら存分に甘えるリズに、ルイーナもしょうがないなぁと頰をぽりぽりと掻いていた。


「あはは……。それじゃ早いところ出発しないといけないね、アレン」

「ああ、歩いて行くにしてもヒストルエの南にあるなら数日はかかる。野営の準備もできるようにしておかないと」


 ヒストルエまで馬車で3日半かかるのだ。そこから農場までさらにかかる。依頼を解決したら一旦ヒストルエに泊まるのがいいかもしれない。そうなればしばらくここに帰っては来れないだろう。


「すまない、ソル、ブラド爺さん。俺たちはしばらく空けることになるけど……」

「なァに水臭いこと言ってんだよ、(あん)ちゃん。こっから送って迎えることくらいお安い御用ってやつさァ」


 ニヤッと笑うソルの表情はさも当たり前だと言わんばかり。


「農場近くまで送って依頼が終わるまで……」

「ソル、悪いけどあんたには別の仕事よ」

「はァ?」


 そう言うと、リズはルイーナにべったりへばりついたまま懐から新たな封筒を取り出し、彼に渡した。見たところ、表面に宛名の書かれた普通の手紙のようだ。

 ソルはそれを受け取ると、ピラピラと表裏を確認してどういうことだ、と目で問いかける。リズはそれに応えるようにピッと手紙を指差す。


「あんたにはそれを火山麓の竜族の里に届けて欲しいの。レグさんから頼まれたやつだから」

「あァ……、もしかして前に言ってた情報の通知ってェやつか」

「多分ね。それを里長に渡して欲しいんだって。だからアレンさんたちを送るのは構わないけど、送り届けた後は里に飛んでね」


 そうなればソルに送ってもらった後は、彼とは別行動ということになりそうだ。その後は自分たちでどうにかこうにかするしかなさそうだ。ずっと彼に甘えっぱなしというのもよくない。


「……仕事とあらばしょうがねェな。そういうわけだから、悪ィけど(あん)ちゃん、帰りは自分たちでなんとかしてくれ」

「いや、行きを送ってくれるだけでも十分助かる。ありがとう、ソル」

「いいってことよォ」

「さて、あたしからの要件はおしまい。後は出発の準備が終わるまでルイーナとイチャイチャさせてもらうよ」

「あの、リズ。私も準備があるんだけど……」


 ルイーナからの言葉にリズは残念そうにひっつくのをやめた。人差し指を口元に当て、じーっとルイーナを見ている。最初は視線を逸らし続けていたルイーナ。しかし、彼女からの圧に耐えきれなくなったか、やがてハァとため息を吐くとちょいちょいと手招きして自分の部屋に引っ込んで行った。それを見たリズもパァっと表情が明るくなり、浮き足立ってルイーナの後を追っていく。その様はまるで姉妹のようで微笑ましい。


「あいつ姉ちゃんにべったりだ」


 その口調は意外だ、という感情が大きそうだった。今まであそこまで甘えていたわけでもないんだろう。


「ほっほ、お嬢ちゃんのような姉っぽい女子はおらんかったからのぅ。リズも甘えやすいんじゃろぅ」

「アンナはどうなんだよ。あいつも年上っぽいぞ」

「かーっ、分かっとらんなぁソル。ありゃ甘えやすい姉のタイプじゃないわい」

「ほォん……。ま、よく分かんねェけどよ」


 熱く語りそうになるブラド爺さんとの話をソルは適当に切り上げる。ブラド爺さんは嘆かわしいとばかりに大きく肩を落とし、ため息を吐いていた。




§




 準備を素早く終えた俺たちはソルとシェーナの力を借り、依頼主のいる農場へと飛んだ。場所は事前にリズから教えてもらっていたので迷うことはない。俺たちを見送った後はそのままヴィーゼの方へ調査に向かうらしい。農場への空路を行きながら、彼女の安全を祈る。危険な調査になるだろうが、どうか無事で戻ってきてほしい。

 北のハウル村から眼下に見えるヒストルエを通り越して更に先をゆく。天候はやや雲が空に散っているものの概ね晴れ。雨が降る様子はない。今回の旅路では前回よりは幾分か気持ちに余裕がある。後ろに座るルイーナも気絶することなく、恐る恐るながらシェーナに掴まっていた。

 相変わらずシェーナでの行軍速度は速く、遠ざかるヒストルエを見送ってしばらく経つとすぐに大規模に広がる農場が見えた。あそこが依頼主のいる農場なのだろう。近くでは降りられないので、農園から少し離れた場所で降ろしてもらうことにした。


「じゃァ(あん)ちゃん、姉ちゃん、気をつけろよなァ。俺の方も届け物が終わったら合流するからよォ」

「ああ、ソルも気をつけるんだぞ」

「あんまり無茶しちゃダメだよ?」


 ソルはピッと人差し指と中指を重ねて額に当て、気障っぽく返事をする。そうしてそのまま北へと飛び去っていくのを俺たちは見送った。


「ひとまず依頼主に会おう。話を聞かなきゃな」


 農園に続く道は一本道。かなり向こう側に何かの家屋らしきものが見える。左右に目をやれば、あたり一面埋め尽くすように作物が植えられた畑がある。ところどころに畑を横切るための畦道があるとはいえ、向かい側の端が視認できないくらいに広い。ここまで広いと水を与えるにも一苦労だろうという感じだ。

 畑に傾斜はなく、ほぼ平坦。これじゃあ上から水を流すとかもできない。そんなことを思いながら道を歩いていると小さな川とそれを渡る石橋を見つけた。結構しっかりとした造りのようで、上に乗って足元を踏みつけてもビクともしない。僅かな距離ではあるが、随分と精巧に造られている。


「わぁ……、結構綺麗な水だね。川遊びするにはいいかも」


 橋の淵に手をかけ、ルイーナはひょいと下を覗き込む。隣で同じように下を覗いてみる。

 川底はそこそこ深いようだが、水深はさほどあるわけではない。川の周囲は土手になっているようで、氾濫しないような構造になっている。水が流れてきている方角を考えると、恐らくバスキー湖からそのまま伸びてきている川なのだろう。もしかするとこの川は水撒き用なのかもしれない。いずれにせよ大変な作業であることは予想がついた。


「ここが人さまの領地じゃなかったらそれも考えたかもな」


 行くぞ、と声をかけて先に進む。ルイーナは名残惜しそうに川を見つめていたが、ガチャガチャと鎧の音を響かせて追いついてくる。

 どれほど歩いただろうか。周囲が畑ばかりのずっと同じような道を歩き続けて、ようやく俺たちは道奥にある家屋へと到着する。二階建てのそれは一家族が住むには少々大きい。周囲が畑に囲まれたのどかな風景も相まって、白い壁と茶色い屋根のコントラストがよく景色に映える。隣に併設された木製の小屋は恐らく農耕道具をしまうためのものだろう。


「随分大きいね……」

「これだけの広さの農園を仕切ってるんだ。そりゃこのぐらい家が大きくても不思議じゃない。ひとまず中の人を呼んでみよう」

「あ! そういえばリズからの預かり物があったよ、アレン」


 玄関に近づこうとする俺はピタッと立ち止まり、ルイーナに向きなおる。彼女はごそごそとポケットを探して、紐に繋がった小さな金属製のベルを手渡してきた。うーん、見覚えのないものだ。


「これ、私たちの言葉と相手の言葉を共通語に直してくれる魔導器なんだって。今回はソルがついてこれないだろうからって渡してくれたんだ」


 なるほど。そういえばすっかり失念していたが、大陸共通語で話してもらわないと俺たちは相手が何を言っているかわからない。その辺りのフォローがしっかりしているあたり、リズは有能な冒険者である。


「使い方は好きなとこに身につけて呪文を言うの。例えばこうやって首に巻いて……"翻訳(アバサ)"」


 チリーンとベルが鳴り、魔力の余波がふわっと散っていく。ベルが若干光を放っていること以外は、別段ルイーナの見た目に変化はない。とりあえず同じように首に紐をかけ、呪文を唱える。


「"翻訳(アバサ)"」


 鈴の音とともに魔力の余波。変化の確認ができないのも考えものだ。一応これで言語は通じるようになったっらしい。扉のノッカーを鳴らし、中から人が出てくるのを待つ。留守ということはなかったようで、すぐにパタパタと誰かが駆けてくる音が聞こえた。


「はーい」


 中からはっきりと俺たちのわかる言語で返事が聞こえてくる。ガチャリと扉が開かれ、壮年の女性が姿を現した。彼女は見覚えのない俺たちを認めると、若干不審な目を向けてくる。


「どなた様かしら?」

「俺たちはギルドから派遣された冒険者です。リズが来れなくなったので、代わりに俺たちが引き受けにきました」

「あらまぁ、リズの!?」


 そう言ってリズから預かった依頼書とギルドカードを提示する。それを見ると、女性は先ほどまでの不信感が嘘のように消え、ニコニコと家の中へ招き入れてくれた。


「お二人とも中に入ってちょうだいな。あなたー、依頼の件で冒険者の方がいらっしゃったわよー!」

「それは本当かね!?」


 ドタドタと騒がしく階段を降りてくるのは恰幅のいい壮年の男性。口髭を蓄え、全体的に優しそうな雰囲気だ。きっと近所からの評判は穏やかな人物像に違いあるまい。


「おお、依頼を引き受けてくれるそうですね。ままぁ、立ち話もなんです。どうぞ中へお入りください」


 男性に連れられてとある部屋に通される。華美な装飾こそないが上品な調度品が並ぶ。壊したらいくらかかるだろうかと少し緊張しながら主人たちの対面に座った。


「改めまして、今回依頼を引き受けることになったアレン・ストライフと言います」

「ルイーナ・エレンチカです」

「これはご丁寧に……。私がこの農園を治めるパトム・ゾゾンと申します。隣が家内のターニャです」


 自己紹介も済ませて話はすぐさま本題の依頼の内容になる。

 彼らの話をまとめると、数ヶ月前からこの農園を荒らす害獣が出現しているらしく、その退治を依頼したいとのことだった。出現時間帯は主に夜で、以前リズが引き受けた時は撃退までで討伐はできなかったらしい。かなり警戒心の強い魔物のようで、リズの派遣からしばらくは影を見せなくなった。しかし、リズの派遣が終わり、敵たる冒険者もいないと悟ったのか、再び姿を現して畑を荒らし始めたとのこと。


「私たちも正体を暴こうと夜中に見張っていたのですが、なにぶん農地も広いもので……」

「姿が確認できなかったということですね」

「ええ、残念ながら。そこでストライフさんたちには今回、撃退ではなく討伐をお願いしたいのです。今を逃せば次は、もっと厄介なことになりかねません」


 パトムさんは渋い顔でそう言う。よほど煮え湯を飲まされてきた、といったところか。罠なども試したか聞いてみたが、彼は力なく頭を横に振るだけだった。


「あの害獣は狡猾な魔物ですわ。どうかお願いします、ストライフさん、エレンチカさん」


 懇願する二人に俺たちは頷いて応える。おお、とゾゾンさん夫婦は安堵の息を吐いた。

 さて、やることは決まった。ひとまず件の魔物の姿を確認せねば話になるまい。これまでどんな調査を行ったのか、詳しい話をパトムさんに尋ねながら、俺たちは夜の時間を待つのだった。



残念ながら今回戦闘まで入れなかったです囧rz

予想以上に長くかかってしまった。次回投稿は近日中にしたいと思います



2018/10/14 タイトルを修正しました。

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