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願いは、彼女の家の夜空の下で  作者: 悟る世代
6/6

end-2人の思い出の味

付き合ってちょうど半年位。あの初デートからは、5カ月ほど経ったのか……。距離が離れたり、くっついたり。青春をヤマアラシのジレンマとは先人はうまく例えたものだ。

楓「どうかしたの?」

今までの事を思い返していた楓は僕に声をかける。

僕「なんでもない」

楓「本当に?」

楓は、顔を覗き込む。意地悪そうな顔と共に。

楓「今日バレンタインデーなのに? チョコ1個も貰えてない君が? 本当に言いたい事ないの?」

そういえば、今日は男女でチョコが交わされる日だった。色々な思惑が交わる日でもある。

僕「チョコ下さい」

楓は、僕の一言を待っていた。僕は楓に渡しやすい様に道を架けてあげる。

楓「トリュフチョコだよ。9個入り。味わって食べてね」

包装も凝ってあった。丸いトリュフチョコが食べて欲しそうに綺麗に並んでいる。一つを口の中に放り込む。甘い香りと味が口の中に広がる。しかし、様子がおかしい。中にとても硬い物が含まれていた。

楓「当たり。それは、生ニンジン入りだね」

楓の性格を考えてはずれが混ざっていると思ってたが、まさか一発目で当たるとは……。もう一つ、口の中に放り込む。口の中にはチョコとは全く違う味が広がった。

楓「当たり。それは、生レバー入りだね」

まさか、2つもハズレだとは……。ハズレを引きまくっている僕に、楓の顔は嬉しそうで仕方が無かった。……。余りにも嬉しそうな楓の顔。もしや……。

僕「ハズレ、楓の言うところの当たりはもう入ってないよね」

確認を取る僕。

楓「入ってるはず無いじゃん!」

今までの経験と楓の笑顔から推測する。これは、何かしらが混ざっている。しかも、9個全部に。

僕「それなら、後7個全部楓が食べれるよね?」

楓「えっ」

この言葉は楓が追い詰められた時に発する鳴き声だ。僕は1つ適当に選び楓の口へ運ぶ。

僕「はい。あーん」

僕は、逃げられないようにしっかりと楓の右手を掴んでいた。楓はしょうがなく口を開く。

楓「当たり……。わさび味」

楓が食べたチョコ。それは、初デートの時の思い出の味だった。


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