第四話
第四話
僕は母さんの叫び声で目を覚ました。
「どうしたのこの血の量!? 何があったの!」
言い訳を何も考えてなかった。
素直に言っても信じてもらえないだろうし……いやこの親なら信じるな、うん。
でも面倒ごとになるのは目に見えてるのは確実だから言うのはやめよう。
「演劇で被害者役をすることになって血のりをたくさん使っただけだから、安心してよ母さん」
よし、これでいこう。
「何言ってるの、この匂い本物の血じゃない!」
そうだった母さん呪術で死体を使ってるから血の匂いに敏感なんだった。
これだと乗り切れない、どうする。
魔法を使うか、ダメだ。
僕が知ってる魔法だと殺してしまう。
回復魔法なら殺さずにすむ……もし体内の血液を増やせるのなら気絶させることも出来るんじゃないか。
しかしそのためには変身しないといけないのが問題になる。
僕が思考を巡らせているとアイツが現れた。
「ヘマやらかしたみたいだな、おい。特別に助けてやるよ」
アイツは部屋の血液を綺麗に無くし、母さんの記憶を消したように見えた。
こいつのことだ、後々恩を返せとか言われるんだろうな。
「これで面倒にはならないだろうが、風香が家でここまで練習するような阿呆だとはな。こうなることぐらい理解出来るだろ」
さすがにこれは反論しようがない。
僕は渋々こいつに謝った。
僕の謝罪にこいつは相変わらずの上から目線で接してきた。
「集合時間に間に合いさえすれば謝罪など、どうでもいい。学校行くならとっとと行け」
僕はこいつと離れるためにすぐに学校に向かった。
学校の景色はガラッと変わって見えたことに多少の驚きはありつつも利根島さんがいることに安堵した。
「風香ちゃん、どうしたのそのクマ!!」
「眠れなくてね。これ買ってきたからあげる」
僕はコンビニで買った本を渡した。
利根島さんは本を渡す際に僕の腕のことに勘づいた。
「風香ちゃん、その腕どうしたの? 昨日と腕の位置が違うけど……もしかして襲撃されたとか!?」
「違うよ、回復魔法を覚える際に自分でつけた傷だからなんともないよ」
嘘は言ってない、最終的には自分で腕を切断したから。
「風香ちゃん、回復魔法覚えたんだぁ。私も使ってみたいなぁ」
「出来る限りはやめた方がいい。使うためには魔を取り込まなきゃいけないから……朱莉に何かあったらいけない」
「それだと風香ちゃんの傷を私が治せない。私だって風香ちゃんにばっかり負担させたくないんだから、ちゃんと教えて!」
利根島さんはこうなったら止まらないのは、魔葬少女になって僕は身をもって知っている。
「分かった、教えるよ。でも約束して、無理だけはしないって」
「約束するけど風香ちゃんの方が私より無理するじゃん」
利根島さんに指摘されては僕は否定が出来ない。
僕は話を逸らすようにコンビニの件を話した。
「先輩魔葬少女がコンビニでバイトしてたって、その腕絶対最初はその人にやられたでしょ」
「ほんと朱莉って勘がいいよね」
「当然だよ、風香ちゃんが好きだからね!」
利根島さんがこういう発言ばかりするから付き合ってるって勘違いされたわけだけど、まあ嫌な感じはしないかな。
僕が時刻を確認すると、午前十一時五十七分だった。
「朱莉そろそろ学校を出ないと間に合わないっ!」
「早くいこう風香ちゃん!」
僕と利根島さんは先生に帰ることだけを伝えてすぐにアイツの下に向かった。
一時間十三分後
「二人ともよく間に合ったね。間に合わなかったら学校の人たち殺されちゃうところだったよ、良かったね」
こいつは何度僕の神経を逆撫でにすれば気が済むんだ。
だけど、我慢しないと……今何かしたら僕だけじゃなくて朱莉まで殺される。
それだけは絶対に避けないといけない。
「僕たちを呼んだ理由を教えて」
こいつが僕たちを呼んだ理由は別に驚くようなことでもなかった。
「呼んだ理由は魔法について教えようと思ってね」
「案外まともな理由なんだな」
こいつは僕の言葉が気に入らなかったのか、少し表情を歪めた。
「まともって風香は僕のことなんだと思ってるの?」
「なんだと思うか答えてみて」
「話にならない。僕が魔法を教えなかったら二人がどうなるかぐらい想像つくだろ。これ以上口答えするなら教えないよ」
僕はどう答えるべきか考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「まあまあ、ナルミ、二人が困ってるやろ。その辺にしとき」
「今日はバイトじゃなかったのか香澄」
「シフト送ったやろ、見てへんの? 見てくれへんなんて寂しいな」
こいつと親しそうに話しているのは、コンビニの店員さんだった。
「店員さん、どうしてここに」
「そんな警戒せえへんでええって、ウチ行動で味方やって示したやろ」
店員さんは、ここにきた理由を簡単に僕たちに教えた。
「ナルミがアンタらに魔法を教えるって小耳に挟んでな、そんならウチの出番やと思うたわけや、簡単やろ? それにせっかく出来た後輩やで可愛がったるから覚悟しとき」
店員さんの笑みを見て利根島さんは信じたみたいだけど、僕はまだ信じられない。
「香澄さんでしたね。魔法を教えてくれることには感謝しますが、信じた訳じゃないですから」
「そんなもん当然やろ。一日、二日で他人を信じられるわけないやろ。ウチのことはこれから信じてくれればええ」
「おい香澄、普通に考えて僕の出番だろ。奪うなよ」
「拗ねてんのかナルミ? もうウチらはナルミの雛ちゃうんやで、そこんとこ理解してへんのか?」
「言われなくても分かっている」
「分かってんなら褒めて~な~、ウチら正式な魔葬少女なったんやから」
置いてけぼりの空気感に僕は利根島さんと話すことにした。
これぐらいの反抗はいいだろ、別に。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来るときにしますね




