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お茶の準備は整っている。
聖主であるレドモンド様の席があるのを分からない訳もないだろう。
「「…」」
もしかして許可を出さないと座ってくれないのかな?ここは神殿内なのに?レドモンド様の家みたいなところではないのかな?
あ、私が挨拶する?
いや、もうした。
ああ、この国の挨拶かな?
立ち上がってレドモンド様のように流れる所作を目指してゆっくりと挨拶をする。
「そ、そのような事は不要です!」
不要なのか。
「座らない?」
「は?」
棒立ちのレドモンド様は一体どうしたら座ってくれるんだろう?
挨拶をしても、声をかけても座ってくれない。
「本神殿というのは?」
「神殿の」
どうして立ったまま話そうとするんだ?
「座らない?」
「………私に問いかけておりますか?」
「うん」
どこからレドモンド様に対しての問いではないと思い込んでいるんだろう?告白も?告白も違う誰かに言ったと思われている?
「聖主様こちらに」
「あ、ああ…」
クーパー!なんて出来た側仕えなの!?さすが、レドモンド様に仕えていただけあるね!
困ったらクーパーにお願いするよ!
ぎこちなく座った後、何故か立ち上がりキョロキョロと周りを見渡すレドモンド様に何度かクーパーが声をかければ座った………か?
立ち上がらないでね?
出来れば死ぬまで側に引っ付いていたいんですけど、叶いますか?
「し、……、んんっ、神殿は各地にあり、崇めている神様への祈りを主としていますが、実体は魔物討伐に必要な戦力、魔力が長けた者が神官となり各地の討伐を行う者の集まりが神殿であり、本拠地のような場所が本神殿なのです。各所では騎士団も滞在している事が殆どでございます」
騎士団と変わらないな、内容に差異はあれど神官という名の兵士らが集う場所か。
騎士団預かりか神殿預かりになるのは、正しいだろう。聖女の浄化には戦力が不可欠だ。
そして神に近しい神殿預かりになったのは、神の啓示を受けた聖女。という書物の内容に沿った行動なのか、騎士団というのは当然、肉体を鍛えなければならない。その肉体は“美”から外れる為、私を神殿預かりにしたのか…
憶測だけれど、後者だろう。
レドモンド・ウォーカーと名乗っていた。
つまり、全て王族主体で国を動かしている。という事か。
神殿の長であるレドモンド様と、国の長である王が手を取り仲良く?してるのかもしれないな。
「神官達と騎士の違いは?」
「治癒の遣い手が神官、騎士は肉弾戦を担っております」
レドモンド様は騎士にしか見えない。
でも、鍛えなければ魔物にやられる。だからこそ鍛えているのかな?
「治癒は戦闘中に?」
「数は少ないですが…あとの者は野営地で待機し、怪我をした騎士を治癒する役目です」
「どうして数が少ない?」
「魔物討伐に出向ける者は僅か…鍛える事を嫌う者達も多いのです」
色白と華奢というカテゴリから外れるからか。
となると…クーパーもかな?
控えているクーパーを見ると、魔力量は少なくないが並程度。肉体を鍛えてもいなければ、肉体強化を行っているような魔力の流れも見えない。
ん?でもそれはレドモンド様も同じだ。
レドモンド様の体を確認しても、肉体強化や魔力の流れも私にとっては“正しくない”
ここまで弱いか…
「「…」」
立ち上がった私を見て立ち上がるレドモンド様…
「座って」
「は、は、い」
対面に座るレドモンド様の元へ行く…
「「…」」
何故かな?近付けば近付く程、ソファの端に寄っていくレドモンド様は何故かな?
「伴侶や恋焦がれている者は居る?」
「いえ、私のような者に相手も、近付く相手もおりません…」
「…」
「…」
言質は取れたから近付いても大丈夫だろうと、一歩進んだらレドモンド様も大きくソファの端に腰を動かした。
「「…」」
さあ!どうする!?
もう寄れるソファの残りはないよ!どうするかな!?
ジリジリと詰め寄る私をとうとう見ないようにぎゅっ!と目を瞑った…
少しショックだよ…
「な、な、な、」
これ以上動くと立ち上がりそうだったから横に転移した。もちろん足がぴたっとくっつくように座ってる。
「…」
「レドモンド様?」
固まっちゃった…
お陰で伏せていた顔が見れるな。と、じーっ…と眺めていた私と目が合った…
起きたのかな?
「なにっ…!な、な、なにっ、をっ、」
「魔力の流れ」
「は………」
大きくて剣ダコが出来ている手を握って魔力操作を教えようと思ったんだけど、また固まっちゃったレドモンド様の手を両手で握ってみた。チャンスだし、今しかなさそうだから。
「「…」」
襲ったら罪になるかな?
ここで上半身を剥いたら二度と会えなくなる?
ちょっとだけ見たいだけなんだけど…いい?
「はっ!?」
「レン」
「レン…?」
「レドモンド様の事、駄目?」
「い、いえ!お好きなように!」
「キスしてもいい?」
「はっ!?」
固まったレドモンド様改めレンは、固まる事で私の好きにさせてくれるからこの瞬間も好きになった。抱き着きたいけど、さすがに我慢するね?
レンの魔力を勝手に操作したら気持ち悪いのか意識を取り戻したレンから反発される。気にせず魔力を整えて全身に流れるように、細かく動かしていくと、私の動きとは違う動きをするレンを感じたから魔力操作を止めて、間違った動きをしたら正しい流れを作れるように誘導するを繰り返していたらクーパーから声をかけられた。
「昼食のお時間です」
それは当然…
「お二人分整えてあります」
クーパーは一瞬で仕事の出来る側仕えに変化したみたい。
柔軟って素晴らしいよね。
「レンご飯一緒」
「………」
声をかける前から固まっていたレンからの返答はない。
「かっこいい…」
「「「「「「「………」」」」」」」
もう伴侶ですか?まだですか?いつですか?




