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「こちらは伯爵からです。」ヴィンセントの父である医師から託された紙袋を手渡した。

「そしてこちらは私が見繕ってきた物をお持ちしました。」布の袋を手渡す。




「ありがとうございます。開けても良いですか?」



「はい。苦手な物は無いと伯爵からお聞きしました。」



 ヴィンセントが袋を開けると、牛乳や沢山の乳製品が入っていた。



「…。」



「もしかして!苦手でしたか?!」



「いえ。何故…乳製品なのかなと。」



「それは…きんに…とても体に良いのです!栄養豊富です!」



「(ふふっ。筋肉って言いかけたな。)そうなのですね。実は…こちらに来てから乳製品はほとんど食しておらずどのように調理すれば良いのか…。」



「牛乳は日持ちしませんので早目に飲んでいただくか、野菜や肉などと一緒に煮込むと良いです。乳製品は涼しいところで保管いただき他の素材と合わせて焼くと美味しいと思います。」



「なるほど。」ヴィンセントは感心し「…お恥ずかしながら実は調理が苦手で…。」と呟いた。




「よろしければ、お作りしますか?」エレノアは大雑把なように見えて実は調理が得意なのである。令嬢といえど騎士でもあるので野営の訓練がある。その時に初めて調理をしたのが楽しく、自分の好きな味付けで作ったものが騎士団でとても評判が良かったので調理が好きになった。




「良いのですか?!そうしていただくと助かります!素材を調達するのは苦ではないのですが…。」ヴィンセントは頬を掻き苦笑いをした。




「素材を調達出来ることはとても素晴らしいです。さらに薬の研究開発もされていて頭が下がります。」エレノアは心からそう思った。




(何て裏表が無い人なのだろう。)

 先程からずっとエレノアの心の声が聞こえているが、発している言葉と違いがほとんど無いのだ。筋肉好きなのは少々変わっているとは思ったが嫌悪感は全く無い。喜んでいるようなのでむしろ見せつけたいくらいだ。心の声が聞こえるようになってから初めての経験で感動していた。



(手料理が食べられるなんて!)

(嬉しすぎる!!)

(エレノア殿ともっと話がしたい!)




 急に黙り込んでしまったヴィンセントを見て、エレノアは思い出した。そういえば伯爵から人が苦手と聞いていたのだが普通に会話をしていたのですっかり忘れていた。



(押し付けがましく迷惑だったかも…。)

「あの…今度調理した物をお持ちします!ではこれにて失礼いたします!」エレノアは急いで立ち上がり城に戻ろうとした。




「待って!押し付けでも無く迷惑でもありません!出来ればここで作って欲しい…。」




(ん…?)エレノアは会話に少しの違和感を覚えたが明らかにしょんぼりしているのを見て「ヴィンセント様が大丈夫なのであれば…」と言い終わらないうちに「是非お願いします!」とヴィンセントは忽ち笑顔になり喜んだ。




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