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 会話は大いに盛り上がり、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。



 意外にもヴィンセントは話し上手で、人懐っこい印象だった。とても人が苦手だとは思えない。エレノアは気になったものの他人には触れられたくない何かがあるのだろうと思い、その事はあまり考えないようにした。



 それに年上だが笑顔だと幼く見える。立派な筋肉とのギャップがエレノアの無いと思っていた母性本能をくすぐった。




「(もう少し話したいが、暗くなる前に帰らねば。)では、そろそろお暇いたします。」




 ヴィンセントはハッとし「気が付かなくて申し訳ございません。名残惜しいですが…。日が暮れると危ないですからね。」少し残念そうに言った。




(今、名残惜しいと言った?!)

(ヴィンセント様も楽しいと思っていた?)

「次は三日後に薬を取りに来ます。」



「はい。よろしくお願いいたします。」



「では失礼いたします。」



「…エレノア殿!」

「今日はとても楽しかったです!また業務以外でも来てくれますか?」



「是非!またお邪魔します!」エレノアは満面の笑みで馬に跨り帰っていった。




 エレノアが帰った後、すぐにヴィンセントは手紙を書き、伝書鳩を飛ばした。




ーーーーー



 鼻歌混じりで寮に帰ったエレノアはすぐに食堂で先輩騎士たちに絡まれた。よくエレノアを可愛がってくれる気心知れた二人だ。



「エレノア。どこに行ってたのだ?ご機嫌じゃないか。」ニコニコしながら四つ上の先輩であるルシルが言った。



「秘密です。」



 もう一人の二つ上の先輩のリネットは「いつも休みの日はゴロゴロしてるだけなのに何か良い事があったのかしら?」とこれまたニコニコしながら言った。



「何でもありません。」



「顔に書いてあるが?」ルシルが言った。



 エレノアは「そうなんですか!」と両手で顔を覆い隠した。



「ふふっ。本当に可愛いわね!」リネットはエレノアに抱き付き「これはもしかして…理想の筋肉を見つけたんじゃないの?」と言いエレノアの頭を撫でた。




 なかなか引き下がらない二人にエレノアは折れ渋々ヴィンセントの話をした。




「薬師で筋肉質って信じられない。」二人は声を揃えて言った。



「団長も同じ事言ってました!これだから言いたくなかったのに!」



「ごめんごめん!」少し考えた後ルシルは「薬師ってもしかして医師のご子息か?」と聞いた。



「そうです。」



「確か貴族学校で同級生だったな。」



「え!そうなんですか?!」



「ああ。しかし休みがちだったから話した事はないが。」



「その時はどんな感じでしたか?」エレノアは興味津々で聞いた。



「見た目は筋肉質では無かったような気がするな。」



「そうなんですね。(という事は薬師になってからあんなに筋肉が育ったんだ…。)」エレノアがヴィンセントのことをぼんやり考えていた。



 するとルシルは「ちょっと挨拶がてら薬師の所へ行ってみないか?リネットも一緒に。」と言った。



「ダメです!!」すかさずエレノアは叫んだ。



「エレノアを夢中にさせる筋肉を見てみたいと思ったのだがな…。」ルシルは口角を上げて言った。



「ヴィンセント様の良さは私だけが知ってれば良いんです!絶対に誰にも見せたくありません!!」



「あらあらあら。意外とエレノアは独占欲が強いのね。」リネットは呟いた。



「はは。冗談だ。見たいとは思ってないぞ。」



「もー!揶揄うのはやめて下さい!」



「はいはい。だが可愛い後輩だ。何かあったらすぐに報告するように!」とルシルは言い、二人はそれぞれ部屋に戻っていった。




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