絶対に異世界転生させたい女神ちゃんVS絶対に死なない男!
神様が殺しちゃった系の異世界転生は大体がお決まりの展開である。
これは、異世界転生に最も適していない男と、絶対に異世界転生させたい女神の激闘の物語である――!!
「あーあ、暇だなぁ〜。
あっ、そーだ! 人間を殺して異世界転生させよう!」
突如、奇抜な発想からそう言い出した女神は、先ず異世界転生に最も適している人物を探した。
そこに焦点を当てられたのが、日本に住処を宿す十六歳の高校生、鶫志太郎である。
鶫のスペックは大したものでもない、いわゆる凡夫と言うやつだった。
頭脳、運動、好物、趣味……どれをとっても普通の男子高校生。雑誌などに掲載されているランキングを見れば大抵一位に輝いているのが彼の好きな物や趣味というと分かりやすいだろう。
そんな訳で、女神的には至って殺しても問題ないという倫理観の下彼が選抜されたのである。
否――彼には一つだけ、それも今から異世界転生をさせようという女神ならば絶対に避けては通れない特性があったのだ!!
「よーし、じゃあ先ずは定番の自動車事故からいってみよーー!!」
◆◆◆
俺の名前は鶫志太郎。普通の高校生である。
普通とはいっても、そこらの人間とは少し違うところもあって、俺はある事件に巻き込まれたのをきっかけに、危機管理能力が以上な程に発達し、それはもう未来視とまで呼べるんじゃないかというくらい、自身の死が近づくような事があれば、自然と避けられる身体になっていたのだ。
それで、何で俺が自分の特異に気づいたのかと言うと、まぁ単純な話、警察の眼に掛かったからに過ぎない。
なんでも、俺が関わった所での事故や事件が頻発しており、それで自ずと白羽の矢が立ってしまったという訳だ。
全く命を救われるのはありがたいのだが、それはそれで不便である。まぁ命あっての物種って言うし、ここは素直に感謝するべきなんだろうな――っと。
ドカーーーーン!!
噂をすればなんとやら。また自動車と自動車の衝突事故だ。
ココ最近は特にこういうのが目立ってきている気がする。
まるで誰かに操作されてるみたいに、至る所で俺の身の回りで事故や事件が起こるのだ。
「……気の所為か。
さーて今日も一日頑張りますか」
まぁそんな訳で、俺は今日も変わらず平凡な毎日を過ごしているのだ――。
◆◆◆
「ムキーーーー!! なんで!なんで死なないの!?
くっそーー! 私は絶対諦めないんだからね!!」
女神はそれからも、彼を殺すために齷齪動いた。
在り来りな交通事故をはじめ、鉄道、航空、船舶、落下、建造物崩壊、食品事故に、火災、電気、爆発、群集、スポーツ、医療……更には自然災害まで。
その闘いは二年という長い年月を経たのだが、依然として彼が死ぬ事はなく、それどころか、彼の身体には傷の一つも負っておらず、結果女神の全敗であった。
「ガックシ。
何度も、何度も……何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も頑張ってるのに……何で死なないのよ!!!!」
一時の暇つぶしのつもりで始めた女神の異世界転生 (させる)娯楽は、いつしか恋する乙女のそれへと変貌していたのだ。
キューーーーン!!
彼の顔を見る度に、女神の心は締まっていく。
「何なのよ、この男〜!!
こうなったら、絶対、ぜーったい殺して、ここに連れて来てやるんだから!!」
女神の闘いは終わらない――。
短いですが、読了ありがとうございました!ノシ。
二人の闘いは永遠に――。




