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スーパーカブおっさんの家ごと異世界転移スローライフ〜「燃費」良すぎて物流無双しちまったわ〜  作者: 池田大陸
第十二章 東区開拓編

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613 観光大使だ!

 あ、そういえばそうだな。


 俺はついこの間ミルコと話をしていたスーパーカブメールの新事業、“辻馬車”のことを思い出す。


「カイト。そういえばギルドにミルコ君が来てね、嬉しそうに話してたよ。人を乗せて都市間をカブで行き来できるようになりました! ……って」


「うおお、もう承諾されたのか! 動きが早えな」


 セシルは笑って付け加えた。


「カイトに助言をもらってその通りに提案したら上手くいったんだって。凄く感謝してたよ」



 ふはは、俺も我がことのように嬉しいぜ。


 今までは人の長距離移動といえば、貴族や一部の大商人が馬車を呼ぶぐらいだった。それも庶民にはとても手が出せないような金額で。

 あと、もう1つの移動手段としてカブを模して造られた大排気量のガソリンバイク、“ギガーブ”がある。だが、これは国家専用の輸送車両だし、少しずつマシになっているとはいえまだまだ故障が多く量産できないからそもそもの台数が少ない。



 話を聞いていたエルドは泣き顔をこすり、俺に宣言した。


「じゃあ僕達、今度そっち行くよー!」


 セシルも笑顔で頷く。


「うん、私の仕事休みに合わせてキャットかサガーの営業所で予約しとく。荷車に揺られてちょっとした旅行気分だね」


「おう! 是非そうしてくれ」


 休みの日に自分で運転して往復400キロはただの修行だしな。



「じゃ、またな!」

「またねー!」


 お互いに手を振って俺とターニャは実家を後にした。



 ちょっと走って、少し寂しそうな顔のターニャが聞いてきた。


「おじ、またすぐ会えるよね?」

「ああ。ミルコ達に感謝だなターニャ」




 ――ドコドコドコドコ、ドゥルルルルーッ。


「うおおぉぉ……!!」


 俺としても久々に乗るアフリカツイン。その強力な馬力に体が持っていかれそうになる。


「むむ……」


 で、もちろんカブは自走だが、しっかり俺の乗っているアフリカツインに嫉妬のような目線を送ってくる。お前のライバルはハンターカブだろ!?



 ……。



 しばらく山を下ると、そんなカブもようやく機嫌を直して笑顔で言った。


「じゃあこのまま領主館に帰りますかカイトさん!」


 カブよ、そうしたいところだが1つやることがあるぜ。



「本部にメッシュとシャロンがいるはずだ。帰るついでに奴らを東区へ連行していくぜ!」


 すると、ちょっとワクワクした感じでターニャが聞いてきた。


「おじ! 二人をどうするの?」

「ウチの村の地域調査員、兼、()()()使()に任命する!」


「なんか凄そう! でも要は温泉でしょ、おじ?」


 そうなんだよな。しかしもっと奥深いんだ。


「ターニャ。お前はまだ温泉の爆発力を知らん」

「うん。知らん」

「ふふふ。本部に行って奴らの前で説明してやろう」



 そうして本部に到着すると、待ってましたとばかりにメッシュとシャロンの兄妹が待ち構えていた。


「あ、カイトさん。待ってたんだ!」

「こんにちわー♪ 私達が観光大使になるって本当ですかー!?」


 やる気満々だなお前ら。


「おう、二人共よく引き受けてくれたな。お前達の使命は1つ。東区……特にマグナ村付近の温泉の魅力を存分に他区の人間に宣伝することだ!」


 俺は両手を広げて渾身の演説をかます。



「今のシグナス区(東区)のマグナ村は木こりの需要で移住者がどんどん増えている。東区じゃ木はそこら中に生えまくりだし、建設ラッシュで需要が途切れない。木こりは職業としては非常に魅力的だ! ……それは良いんだが、それだけじゃ今1つ足りない! マグナ村全体に関心を持ってもらうために、もう1つ何かが欲しい!」



 真剣な顔でメッシュは「それが温泉……」と声を漏らす。

 俺は人差し指でメッシュを指した。


「そうだ! だが道は険しいぞ!? 今までみたいに適当にブラブラしながら温泉発見してヒャッホー♪ みたいにはいかないぜ? その温泉地までの道、どんな温泉でどれくらい広いか? 安全かどうか? そこまでしっかり調査して報告してもらう必要がある!」


 言ってて自分でも結構大変な気がしてきたが、仕事でやる以上本気になってもらわねばならん!


「……」

「……」


 真剣な目で俺を見つめる二人。もいっちょダメ押ししとこう。


「ふふふ、上手くいったら村の領主館にお前ら兄妹の銅像も立ててやる」


 普段のんびりしたメッシュが滅多に見せないような笑顔をはじけさせた!


「カイトさん。やってみせる! 僕達に任せてよ。なあシャロン?」

「はーい♪ 私達の温泉に対する愛を見せてあげますよ!」



 そんな感じで話はまとまり、俺達4人は領主館まで帰ってきた。

 辺りはもうすっかり暗い。ちょうど夕飯時だな。


 門から倉庫までアフリカツインを走らせると、まだスーパーカブ運送(ウチ)のシルクとライアン、そしてクリスが待っていた。


「あー! カイトが帰ってきたニャー!」

「おかえりーカイト」

「おかえりなさい社長!!」



 俺は早速アフリカツインを降りて、ライアンに操作方法を紹介する。


「うっはー! す、凄いべこれは!! なんちゅー推進力だ!?」


 大型バイクに初乗りしたライアンの興奮は凄かった。気持ちは分かるぜ。



「あれ? カイトさん、この人……カイトさんが捕まえた怪盗猫じゃない?」


 一方、ポカンとした顔でそう問いかけるのはメッシュだった。


「なんだニャお前ら! ここじゃウチが先輩なんだから挨拶しろニャー!?」


 だからなんでそんな偉そうなんだお前?



 声を聞きつけて、本館の扉から家政長のリーナが駆けつてけきた。



「お帰りなさいませカイト様。ターニャ様」



「おっすリーナ! またまた帰りが遅くなっちまってすまねえな。もう飯は食った?」


「……いえ。用意は出来ておりますが」


「ウチらもまだだニャー! カイトが()()とかいうのを待って帰るって言ってたからお腹空かせて待ってたニャ!」


「よっしゃ分かった! ちゃんと持ち帰ってるぞ。寿司。皆で食おうぜ」



 俺は初対面の奴らも多いことだし、親睦を深めるために皆を夕食に誘った。



 ふふ、これからクッソ忙しくなるぜ。

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