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189 ★ターニャの冒険


 わたしはおじの顔をじっと見て、りかいした。

 うーん、おじは寝ている。かんぜんにちんもく!


 ――ガチャッ。


 わたしは部屋からでてとなりの部屋にはいった。

 ミルコがいるハズ……でもたぶん寝てるんだろーな。


「ZZZ……」


 あ、やっぱり寝てる!

 すごい疲れたんだ……。


 ――ガチャッ。


 ガスパルも同じように寝ていた。わー、へんなかっこうで寝てる!

 ここでわたしはおもった。たぶんみんな、なかなか起きない……と。しかたない。



 なんだろ、久しぶりだなー、一人になるの。


 わたしはおじに拾われてからずっと誰かといっしょにいた。

 話すあいてがいないのってつまらん。とってもつまらん!


 ……でもしょうがない。どっか行こ。


 わたしはおじに、ちゃんと言っとこうとおもった。この前、何も言わずにどっかいったらおじはすごーくしんぱいしてたし。



「おじ、ターニャ、外いってくる!」



 ――ガチャッ、バタン。タタタッ。


 おじといっしょに色々なところに行ってわかった事が一つある。


 それは、「みんなけっこうやさしい」ということ!

 このまえ、あのかいしゃ……キャット(だっけ?)の中をウロウロしてたら芋をもらえたのだ!


 よし!今日もだれかに芋をもらおう。



「うぇーーい」



 わたしはこの建物の外にでて、カブに会いに行った。


「カブ!」

「お、おや?ターニャちゃん。珍しく一人ですかー?」


 カブは笑ってこたえてくれた。

 カブはにんげんじゃないけどにんげんにちかい何か!それがカブ。うん。


「みんな寝ちゃったよー。すごいたいくつ!カブ、どっか行こー?」

「えっ、い、いやー、それは……」


 カブがなんかこまったような笑ったような顔をしている。あ!これは何かをしんぱいしている時の顔!


「カブ、だいじょーぶ!ターニャはしなない!」


 するとカブはなんかびっくりしていた。


「こ、怖いこと言わないで下さい!死なないのは基本ですよ。僕がターニャちゃんを連れ回して何かあったらカイトさんに合わせる顔がないですー!!」


 よく分からん。せきにん……というやつ?まあいいや。



「じゃあターニャ一人で行こーっと」



 そしたらカブがあわててとめた。


「ああー、分かりました!!一緒に行きましょう!!」


 わたしはにっこり笑って「うん!」と答えた。



「でもあんまり遠くに行っちゃ駄目ですよー。カイトさんが起きてターニャちゃんが見つからない!とかなったら……多分あの人発狂します!」


「うん!それは分かってる。がくしゅうした!」


 わたしがそう言うと、カブは安心したように「ふーっ」と息を吐いて笑った。


「一応あんまり人の多そうなところは避けて自然の多いところに行きましょう!誘拐とか怖いので」


「ういーー!いこーいこーー!!」



 わたしはカブのあの足をかけるステップに立って、すぐ前のカゴ(インナーラック)を手でもって体をささえた。いつもはおじが後ろにいるから安心だけど今はちゃんと自分でささえないとおちる。しんちょうに!



 ――ドゥルルルーン。


 カブがえんじん?をかけてくれた。こうなると前にすすめるみたい。


「じゃ、じゃあ行きましょっか」

「しゅっぱーつ!」



 そうしてちょっとだけ道を走ったところでカブがきいてきた。


「ターニャちゃんはどこに行きたいとかありますか?」


 わたしは大声でこたえた。


「芋畑ー!」


 するとカブは吹き出すようにわらいながらこたえた。


「ターニャちゃんらしいですね!じゃあ畑を見に行きましょう!」

「ういーー!」


 わたしはよろこんで右手をあげた。




 ――ドゥルルルルルー。


「あ!あれ、畑だー!カブとまってとまってー!」

「はいはい」


 キキッ。


 わたしは知っている。

 あの葉っぱは芋の葉っぱだ。あの土の下には芋がいっぱーいうまっているのだ!


「うぇーーい!芋まつりー!!」


 ――パッパー。


「タ、ターニャちゃん!勝手に掘り起こしたらダメですよ!農家の売り物なんですから怒られますよー!」


 ハッ……!!そうだった。


 のうかの人はこれを売ってお金をかせいでるのだ……。うぎぎ……。


 目の前にかくじつに芋があるのに取れないなんてかなしい!!

 おじみたいにお金で買うこともできない……わたしは泣きそうな顔をした。



「あれ?あんた何してんの?」



 後をふりむくと、ケイと同じぐらいの背たけのお姉ちゃんがいた。のうかかな?


「……芋食べたい」


 すなおに今したいことを伝える。


「お金は?」

「ない!」


 ニヤリと笑ったそのお姉ちゃんはよく分からない事を言い出した。


「じゃあその体で払ってもらおっか!」


 ――ドゥルルルン!


 わっ!カブがおおあわてでこちらに向かってくる!うわっ、す、すごい顔してる!?


「あ、あのっ……農家の方ですか!?うちの子が何か失礼を?」


 お姉ちゃんはカブを見てビックリしている。カブはふつうはしゃべれないもんね。


「ええー!?耕運機が喋った!?う、うちの子って……!?」


「あ、いえ。もちろん血縁関係はありません!ウチで預かってるという意味です」


「だよねー。あはは。ねえ、この子芋欲しいんだって。ちょっと畑の手伝いしてくれたら一本あげるよ?」


 お姉ちゃんは神だった。


「てつだうー!!そんで芋もらう!!」

「ああ。そういう意味でしたか。安心しました!」



 ――ザックザック。


 わたしとお姉ちゃんはちょっとはなれた別の畑をたがやした。


「はぁっ。はぁっ……」


 すごいしんどい……でも芋のため!



 ふぅ……はあっ……。


 わたしはつかれすぎてその場にしゃごみこんだ。これが疲労か!

 おじ達があれだけ寝こむのも分かる気がしてきた。



「お疲れさん!もういいよ。じゃ、芋あげるね!」



 ――ガシッ!


 そう言ってくれてわたしは思わずお姉ちゃんにだきついた!


「あはは。凄い嬉しそうだね。どれか一つ苗を選んでいいよ。2〜3本持っていきな」


 おお!きまえがいい!

 わたしはさっそく大きく葉っぱを生やした苗を見つけ、グイッとひっぱった!!



 ――ボゴオッ!!


「おおー!やったー。いっぱいついてる!!」


 その苗は4〜5本の芋をぶら下げていた!やったー!


 ……ん?


 よく見るとそのうちの1本は黄金色をしている。あれ?これ、どっかで見たような……。

 するとカブがおどろいて言った。


「あー!?これ、プ、プギャ芋じゃないですかー!?」


「あ、ほ、ほんとだー!プギャ芋ー。すごいー!!」



 わたしは大よろこびだったけどお姉ちゃんは反対に困った顔をしていた。


「ええっ。ウソでしょ……よりによってウチの畑から……」


 ん?


「なんで?プギャ芋はすごい芋でしょー?」


「いや、ウチの国じゃ違法穀物なんだよね……意味分かる?」


「分からん」


「普通にお店に売れないし。それどころか黙って持ってたら罰則まであって国に提出しなきゃなんなくて面倒くさいのよね。自分で食べると()()()()()()になってすぐバレるし。あちゃー」


 カブがお姉ちゃんにといかけた。


「僕達の国、スズッキーニでは普通に流通してたと思いますが……僕達も運んだ事ありますし」


 するとお姉ちゃんはハッとしたようにこう言った。


「あ、あんた達スズッキーニの人なんだ!?良かったら貰ってよ」


「い、いいんですか!?」

「ありがとー!お姉ちゃん」


 わたしは大喜びでお姉ちゃんにだきついて感謝した!おじも喜ぶにちがいない。



 という感じでプギャ芋をもらい、のうかのお姉ちゃんと別れてまた宿にもどった。


 ――キキッ。


「いやー。しかし思わぬ収穫でしたねターニャちゃん」

「うん!これでおじもみんなも喜ぶ!じゃ、部屋に行ってくる。カブまたね」

「はい。また明日!」


 わたしがおじの部屋に入ると、お昼になってもおじはまだ寝ていた!


「まったくーしょうがないなー」


 きれいに洗ったプギャ芋をテーブルにおいて、しばらく部屋でボケーっとしていたら、ちょっと眠くなってきた。


 うん、わたしも寝よう。


 おじのとなりでベッドに横になる。……すぐに目がとじられて……いしきが……きえた。


「おやすみなさい……zzz」


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