127 アツい夜♡
さて、そんな訳でミルコを無事に送り終えた俺は今ちょっと興奮している!
「ふふーん♪」
「カ、カイトさん、どうしたんですか?鼻歌なんて珍しい……」
カブが奇妙なモノを見るような目で俺を見てくる。
「今日はセシルが初めてウチへ来た日だろ?」
「はい」
「夜は色々とお楽しみなわけだ」
「ああー!なるほど。カイトさん意外と欲望に忠実ですね」
「まあな、ただセシルも明日は普通に仕事だから、イチャイチャ出来るかは不明だけどな」
「そこはカイトさん、頑張りましょう。男を見せて下さい!」
「おう」
といった感じで俺は家へとカブを走らせた。
――そして玄関を開けるとセシルとターニャが迎えてくれた。
「おじ、おかえりー!おふろ入ろー」
「初めてお湯入れたんだけど……一緒にどう?カイト」
え、い、一緒に……!?その時、俺は3人で入浴している姿を想像した。
そしてちょっとマズいことに気が付いた。
「おおマジか。ありがてえなー!……で、でも3人で入ると狭いかもな。セシルとターニャで先に入ってくれ」
「えー!せまくても良いよ。おじも入ろ!」
「いやっ……ちょっ……と、とにかく二人で入ってくれ!」
俺は一人で焦っていた。
セシルと二人での入浴なら望む所なのだが……、ターニャがいるのがアレなのだ。
狭い風呂場でセシルが密着したりして、ターニャの前で俺の下半身が反応したらと思うと非常に恥ずかしい……。
ターニャには絶対そういった姿は見せたくないのだ!
ターニャは訝しげな顔をしてセシルに言った。
「セシル、なんかおじがおかしい!」
「いや、その、あの……」
慌てる俺の内心を察してくれたのかどうかは定かではないが、セシルが助け舟を出してくれた。
「うん、ターニャ。今日は二人で入ろっか」
「えー……!?……うん」
ターニャはやはり不可解な顔をしながら渋々納得した。
説明してやりたい気持ちはあるが出来ねえ、ターニャも大きくなったら理解する日が来るんだろうか……。
――そのとき俺の頭には大人になったターニャが嫁に行くシーンが映し出された。
……はあ?
何だと!?お、おい、許さんぞ!うぐおおおお!!
俺は猛烈な不快感に襲われた。
そんな渋い顔で妄想にふける俺を、ターニャは眉を顰めて見つめている。
……それからターニャは顔だけ俺の方を向けたまま、セシルと風呂場へと歩いて行った。
ちょっと勿体なかったか?……ま、いい。
二人が風呂から上がった後は、俺もゆっくり風呂につかり疲れを癒した。
「あー、そういや温泉があったな……。あそこなら広いし、おかしな事にはならないかもな……」
などと考えていた。
その後、風呂上がりでスッキリした俺はなんか猛烈にセシルに絡みたくなった。
台所にはエプロンを付けたセシルがターニャと何か夕飯を作っている。
すると、後ろ向きのセシルが目に入り、スラックスのようなズボンに覆われた形の良い尻が見えた。うおおおっ!!
俺はめっちゃくちゃ興奮した!
「カイト、この『コンロ』ってホント便利だね。シャッケのムニエルを作ったから食べて」
「シャッケ!?……鮭か!好物だ」
皿の上からは、焼き立てで柔らかそうなシャッケに絡みついたバターの香ばしい香りが漂ってくる。
「セシルにコンロの使いかたおしえたよー!」
ターニャは腰に手を当てて誇らしげだ。うん、偉いぞ。
「ありがとう二人共。セシルは明日は仕事だろ?皿洗いは任しとけ!」
「うん、分かった……」
そう言うとセシルは席に座った俺の横に歩いてきて、耳元でこう囁いた。
「ターニャが寝たらカイトの部屋に行くから」
俺は凄まじい笑顔で思わず拳を握った。
「……お、おう」
ターニャの手前控えめな返事だったが、内心は暴れ龍のごとく興奮状態だった!
うおおおおおっ!!
ターニャはそんな俺達をじっと見つめていたが、俺とセシルを両手で指差し、
「なかよし!」
……となんとも微笑ましい言葉を投げてきた。
「そうだな!仲良しすぎて合体しちまいそうだっ。あははははは!」
セシルは呆れたように笑っていた。
――夕食が終わり、俺とターニャが床を転がって遊んでいると、ターニャは転がったままの状態で眠気がきたのか、瞼を閉じてそのまま床で寝てしまった。
俺はターニャを布団に運び、後はお楽しみが残るのみとなった。
それからまたしばらく経って、楽しみにしていた夜の逢瀬の時がやってきた。
セシルは向こうからこっちに来ると言っていたが、こっちからセシルの部屋に乗り込んでやるぞ!
何事も積極性が大事だ。ふっふっふ。
――コンコン。
「入ってカイト」
ノックにすぐさま返事がきた。
言われた通り中に入ると、セシルは大量の書類を整理している所だった。
「……ふぅっ。資料が多すぎて困るね」
「お、おお……確かに多すぎるな。なんの書類だ?」
「色々。仕事の依頼書とか業者の登録書とか、あと住民の所在地情報、他にも価格に関するモノとか色々ね」
「……頭痛くなるな」
俺はそう答えながら、椅子に座ったセシルのキレイな首筋を眺めた。
「慣れたらまあまあ楽だよ」
「そうか……」
俺は立ったまま後ろからセシルの上半身に腕を回した。
セシルはあえて何事もなかったかのように机の上で手を動かし、書類を片付けている。
その状態のまま、俺は首筋から耳に向かって息を吐きかけた。
セシルの背中がビクッと跳ね、やっと俺を振り向いた。
「もぉー……」
俺は振り向いたセシルの顎を左手でクイッと持ち上げ唇を合わせる。
――ドクン、ドクン……。
胸が高鳴ってくる。
ああ……。
しばらくその状態が続き、ようやくお互いの口と口が離れた。俺もセシルも息が荒くなってくる。
興奮した俺は椅子に座っていたセシルを掬い上げてベッドまで運んだ。お姫様抱っこってヤツかな?
そこからはお互い本能のままに体を求め情欲をぶつけ合った。邪魔する者はいない。
ベッドの上からは、俺達の荒い息遣いが絶え間なく聞こえてくる。
そうして最高の夜はふけていくのだった……。