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108 魔法使いを自宅へ招待


「え!?いいの?ってゆーかおじさん達そんなにいっぱいこの芋持ってるの!?」


 ケイは不思議そうな目で俺とターニャを見ながら聞いてきた。


「持ってるっつーか町でいっぱい売ってるからな。値段も安いし」

「へぇー……」


 ケイは心底羨ましそうな様子だ。


「ケイもウチきてあそぼー?」


 ターニャがケイを家に誘っている。まあ初めて出来た友達だし気持ちは分かるが――。


「ね、ねえ……そっちの世界に行けば今のお芋、いっぱい食べられるの??」


「たべられるよー!おじが買ってくれるー」


「ケイよ、芋ぐらいは買ってやるぞ。お前に土魔法で作ってもらう石板の対価として」


「本当!?じゃあ私そっち行くね!おじさんが欲しがってる石だって私がそっちで土魔法使えばいいだけだしね」


 ケイは明るい笑顔を見せ、ターニャと一緒に喜んでいた。


 俺はちょっと考えた。2つ程注意点があるのだ。


 ドゥルルン!

 そのときカブが会話に入ってくる。



「でも大丈夫ですか!?ケイさん、あっちに行ったら魔法使えなくなったりしませんか??」


 そう、それだ。こっちでは魔法やら異世界パワーが使えたのに向こうに戻ると一切使えなくなったのだ。


「え?……魔法が使えない!?えー、それめちゃくちゃ困るー!」


 ここでターニャが一言。


「おじ、木の実があるよ。あれ食べればまほー使える!」


 そうかアレがあったな。俺は木の実を入れたカブのリアボックスをチラッと見た。

 そしてもう一つの問題点の話をした。


「あともう一つ、俺達の世界からこっちに来るには、あの世界樹が光ってないとダメらしいんだ」


「そうなの?」


「ほら、俺達も最初ケイと別れてからすぐにはこちらに来れなくて、今日やっと木が光ってここの王城に――!?」


 その時、俺はハッとした。木から木へとワープするのは分かるとして、何故俺達はいつも王城で目が覚めるんだ?誰かが運んだのか??


「なあケイ。確認だが、あの世界樹みたいな木に入ると、別の世界の世界樹の前に出てくる――って認識でいいんだよな?」


「え、うん。そうじゃないの?私まだ入った事ないんだけど」


「いや、……俺達がこっちに来たら何故かいつもお城の中で目を覚ますんだよ。さっきの理屈だとあの世界樹の前で寝てるハズだろ?」


「多分それ、木を守るモンスターが運んでるんじゃないの?知らないけど……」


「あー、なるほど。あのゴーレムか!」


 一回俺とカブでぶっ壊したのにまた別の奴が用意されたみたいだな。

 いや、って事は前と同じように……。


「俺達が帰るにはまたそのゴーレム倒さにゃならんのか」

「そうなんじゃない?」

「だいじょーぶ。おじもカブもつよいから!」

「わ、私だって強いんだからねターニャ!」

「うん。ケイもつよい!」


 ケイは相変わらず自分の強さアピールに余念がないな。でも確かに魔法は凄いとは思う。


 ま、俺とカブもゴーレムを簡単に倒せるぐらいには強いがな、ふっ。


「僕、元々戦車みたいに敵と戦うような乗り物じゃないハズなんですけどね……」


 ちょっと照れながらそういうカブだった。まあ強いに越した事はない。……というかゴーレム倒せないと自宅に戻れねーし。


「話しを戻すがケイよ。木の光具合ですぐに戻って来れないかも知れねーぞ?それでも大丈夫か?」


「ふふん。全然問題ないね!私、元々一人で修行中だったし、毎日この村に帰らなきゃいけない訳でもないし」


 ふと気になったので聞いてみる。


「その歳で一人で修行って……親とかは心配しねーのか?」


 ケイは得意げな顔で胸を張った。


「だって私普通の大人よりずっと強いもーん!」


 俺の隣にはターニャの魔法で出した土の塊が塔のようにそびえ建っている……、たしかにこんな事出来たら一人旅も余裕かも知れんな。


 あ、あとこれも聞いとこう。


「ちなみに魔法ってずっと使っててしんどくならねーのか?お前、水魔法と土魔法使っても全然疲れてなさそうだけど」


 するとケイはニヤァと笑った。あ、コイツまたなんか自慢するつもりだ!


「そりゃあなんたって私はそこらの魔法使いと違って生まれつき魔力貯蓄量がすっごい多い体質だしー、あれぐらいの魔法で息切れするような半端な鍛え方してないっていうかーまあ天才っていう言葉で全部説明できるっていうかー」


「おう、分かった。で、結局お前ウチの家……っていうか向こうの世界行くんだな?」


「行く!お芋食べに!」


 ケイは目を輝かせて答える。


「ケイは芋だいすきー!」


 お前もな。と俺は心の中でターニャに突っ込みを入れた。



 ――さて、そうと決まれば善は急げだ。世界樹の元へ急ごう!


「行くぞ、カブ!」

「はい。カイトさん!」

「ういーー!」

「ええええ!またその喋る馬に乗るのー!?私怖いんだけどー!」

「え、僕馬じゃないです!?」

「ケイ!俺がしっかり持っといてやるから行くぞ!」



 ――ガギャギャギャギャ、ゴオォォォゥウウウウウン!!


 ガシッ。


 俺は怖がるケイを左腕で脇に挟んで固定し右手でアクセルを捻った。

 クラッチレバーがないのを最大限活用していくぜ!!



「ぎゃあああああ、やっぱり怖いーー!!」



 耳元で叫ぶケイ。何というやかましさだ!


 でも前みたいにベトナムキャリアの上で暴れられるよりはマシか。



 ガゴゴウゥゥウウン――、


 やはりカブはホーネットやランボルギーニのような爆音を響かせて走っていく。


「それにしてもパワーありすぎるなカブよ。50ccから隼に乗りかえたみたいな感覚だ……いや、もっとか」


「カイトさん、これでも結構力を抑えてる方なんですよ。世界樹まで耐えて下さいね!」


「おう」


「カブもつよくなったー!あははっ、ういーー!」


「ぎゃああああ死ぬうぅぅぅ!!」


 などと各々の感想と共にカブは走ってゆく。そして世界樹の根元までたどり着いた。




「アレだ!なんか前のゴーレムよりデカくね!?」

「関係ありません。破壊するのみです!」


 おお、なんかカブがカッコいいぞ。顔のイラストも俳優みたいだ!



 ――ギャギャギャッ!!


 カブは若干ホイルスピンさせながらウイリー状態で突っ込んでいく!



 ドガッ!!


「グォォオオオオ……」


 断末魔と共にいつものようにゴーレムを一撃で粉砕した!どうやら俺達はこの世界でほぼ敵なしなレベルで強いらしい。


「よし、じゃあ行くか!我が家へ」


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