【短編】俺のマジカワ天使エリーちゃんに婚約破棄される件について!!クソキモ盗聴ストーカーヤローは今日も元気に婚約者をストーカーします!!!!
展開がちょっとアレ(指示代名詞)。
今日、俺の婚約者が婚約破棄してくるらしい。
なんで知ってるかって?
そんなのっ………………………………………………
俺が婚約者を盗聴ストーカーしてるからに決まってるだろっっっっ!!!!
俺の婚約者、エリザベス・ローズは公爵令嬢だ!
目つきは現公爵である父親似でつり上がっており、ブロンドの髪にルビーの瞳を持つまさに絶世の美女!!
おっと、まだ容姿、それも首から上しか説明してないんだから惚れるなよ? そもそも俺の婚約者だからな?
……いや、だから今夜フラれるんだった…………。
クッソ〜ッッッッ!!!!
え? 首から下はどうなんだって? 誰が言うかバーカ!
俺のエリーちゃんのプロポーション知っていいのは義母様と婚約者の俺だけだ!!!!
え? 義父様?
いや、それなら義母様のプロポーションを俺に見せてもいいんですか?
って聞いたらぶん殴ってくるに決まってんだろ!!
お互い様だね!!
………………ここだけの話、ここだけの話な?
俺のエリーちゃんは超絶美女なんだ。
だからいつどんな輩に付け狙われ、拐かされるのか心配で仕方がないんだよ。俺の気持ちわかるだろう?
だから前に、エリーちゃんの誕生日プレゼントで渡した髪飾りとイヤリングとネックレスとブレスレットと指輪と靴の踵にそれぞれ発信器やら盗聴器やらを仕込んで贈ったわけよ。どう? 俺賢い?
え? キモいって? ストーカー?
…………婚約者だからセーフ!! ってことにしておいて!!
まぁそんな訳で一昨日、エリーちゃんのあの伝説の人魚の歌声のようなとても美しいお声を聞くために、仕込んでおいた盗聴器から音を拾っていたら…………
『……はり、決断しなくてはいけないのね』
『お嬢様……』
『いいのよ、わたくしは何の後悔もないわ』
『…………』
『彼との婚約をはピーーーーーーーーーー──!!』
途中、急に盗聴器が機械音を発し壊れてしまったが、そんなことに思考を持っていかれることはなく、俺はただエリーちゃんの言葉に衝撃を受けていた。
……どう考えても、あのときのエリーちゃんの言葉の先は『婚約を破棄』しかない。
しかし、あまりにも突然なことで俺はそれを受け入れられず、昨日は一日ここ最近のエリーちゃんの周囲を調査していた。
そして手に入った情報は今日、俺がエリーちゃんをエスコートするパーティの最中にエリーちゃんが俺との婚約を破棄するということ。
なんで?
俺の何が悪かったの?
そんな考えで頭がいっぱいだったが、ふと急に壊れた盗聴器のことを思い出した。
…………まさか、気づかれた?
いや、でも盗聴技術なんてこの国は周辺国に比べかなり低い。
だから、わざわざ各部品を他国から取り寄せ帝国の『ストーカー対策その94564条』という百科事典をも超える分厚さの本を頼りに試行錯誤で作ったのだ。
もちろん、安全上の試作をしてからさ! エリーちゃんになにかあったら嫌だからね!! マジで。
そんなこんなで出来上がった爆発発火機械音防止の最高傑作のあの盗聴器が、そう簡単に壊れるとはどーしても思えなかった。
つまり、意図的に壊された可能性が高い。
…………まさか、盗聴器だと気づかれて『ナニコレキモクソ男、婚約破棄してやる』ってなったとか?
エリーちゃんはそんなこと言わない!!
というファン心は抑えて、婚約者として、いや人間としてどうなのか考えてみる。
うん、有罪だね♪
…………ーーーーーっゔあぁ〜〜〜〜〜〜!!!!!!
俺!!俺〜〜〜〜っっっっ!!!!
有罪だね♪ じゃぁねぇ〜よ!!!!!!!!
そりゃキモいわ!! 婚約も破棄だわ!!!!
エリーちゃん推しとしてもう神でも裁けないわ!!
いや、裁きだわ!! 裁きの時間だわ!!
…………でもなぁ、心配だったのも本音なんだよ!!
だってエリーちゃんあんなに可愛いんだぜ!?
この前なんて……
『うわ、エリーちゃんマジカワ天使』
『はい?』
俺が贈ったすべてのアクセサリーを身に纏い、その上で俺がパーティ用に贈ったドレスの試着を見せてくれたとき、俺はつい口を滑らせてしまった。
『っあ、いや、あまりにも君が美しくて……もしかして僕、言葉が漏れていたかな?』
『いえ、なんと言っていたのかよく聞こえなくて』
『ん? 君が美しいと言ったよ』
『…………そうですか』
どこか納得しきれないような表情ではあったが、そんな顔もきゃわいい!!
そう、エリーちゃんはかわいいのだ!!
どんなときでもマジカワ天使なのだ!!
それなら俺が盗聴ストーカーしたって合法だろ!!
え? 違う? うん、まぁ……うん!!
(字数の都合上誤魔化す、と己に言い訳)
閑話休題
そんなかわいい婚約者を放っておける男などいやしない。
そう、だから盗聴ストーカーという手段に手を出したんだ。
だがしかし、それはつまり俺が害虫であり、有罪判決にされてもおかしくないということ。
俺はなんて罪を…………!!!!
あー、エリーちゃんに婚約破棄されるなんて〜!
…………どんなふうに話を持ってくるんだろ?
そもそも何て言うんだろう?
『貴方との婚約を破棄しますわ!』
うん、かわいい。強気なとことか超ポイント。
『この婚約を白紙に戻します』
冷気を放つ瞳で言われたら震えちゃう!
『クソキモヤロー』
そんな汚らわしい言葉でもエリーちゃんが言ったら俺キュン死にしそう!!
あー、でもエリーちゃんそんな言葉使わないかな?
でも想像だけでも可愛い。タイトル『婚約者が可愛過ぎる件』に改名しちゃおうかな〜。
……いやっ、いやいや、今はそんなメタいことよりもエリーちゃんだ。
いや、そうだ、婚約破棄だ!
エリーちゃんとの婚約を破棄されたら俺死ぬ。
マジ死ぬ。
どうしよう……今からどうにか取り繕って……。
「無理ですよ坊ちゃま」
「……………………メアリー……」
急に背後からボソボソと聞こえてくる声に背中が震える。
後ろを振り返ればまるで幽霊のように影の薄い侍女が佇んでいる。
なんだろう。
見た目が無気力真顔で人形のような姿のせいかこう、その名前から一文字なかったらまさにそれのような気配がする。
「坊ちゃまがクソキモ盗聴ストーカーヤローであることは今更覆せません」
「…………」
「そもそも坊ちゃまは普段『現役王子』で通ってるんですから中身がそれだとバレた場合待っているのは社会的にも物理的にも『死』あるのみですよ」
「……いや、その『現役王子』ってそもそも何なの? 俺侯爵家の次男なんだけど?」
そう言えばまだエリーちゃんのことしか言ってなかったけど俺、侯爵家の次男。三人兄弟だから俺は一人っ子のエリーちゃんのところにオムコに行く予定です。終わり。
「坊ちゃまが自身がクソキモ盗聴ストーカーヤローであることをお隠しになられるために取り繕った外面が世間にとってはまるで王族のオーラかのようなものに見えてしまわれたんでしょう」
「……あのさ、ちょいちょい俺を貶すのやめてくれない? 一応俺お前の主だよ? 空腹のあまり倒れてたところを俺が拾ってやったんだよ? そうでなくても使用人としてどうなのそれ?」
「ならば主らしいところをお見せください坊ちゃま」
まさにぐうの音も出ない。
そうだね、俺が悪いんだね。ゴメンナサイ!
でもさ〜、せめてもっとシャキシャキ言ってくれないかな〜。ボソボソと言われるからさっきから背中がゾワワってする。
「……どうなされるんですか? 婚約破棄」
「…………」
メアリーにそう改めて尋ねられて俺は考える。
まぁ、己のツケが返ってきたってことだし、仕方がないんだろうな。
盗聴とかマジキモいし。うん、自覚あります。
「ま、こうなって当然だったんだから? なるようになるんじゃない? 衛兵に捕縛されたら流石に逃げるけど」
「逃げるんですか」
「逃げます!」
はい逃げます! 全力で!!
「…………なら、私も連れて行ってくれますか?」
「…………え?」
ふざけるように答えた俺とは正反対に、シリアスを帯びてる雰囲気が部屋に漂い始める。
急に俯いた彼女が、まさにメリーさんのようなシルエットを帯びた瞬間。
「私とともに、逃避行なさいますか?」
これは、あまりにも急だった。
だから、次のようなことを聞くのも仕方がなかった。
「お前って俺のこと好きなの?」
「…………はい」
びっくりだった。彼女の返事にじゃない。
その顔にだ。
彼女はまるで悍ましいものを見たかのように顔を(およそ女性のものとは思えないほど)顰めたあとまるで汚物を吐き捨てるかのようにそういった。
いや、顔!
「全然そんなふうに見えないんだけど」
「でしょうね」
即答された。なんなの?
「それで、連れて行ってくださるんですか?」
だが、彼女の言葉はどこか感情がこもっていて、本気なのだと俺は思った。
だから俺は、彼女の目から顔を反らすことなく答えた。
「返事はノーだよ。メアリー。俺は一人で逃げる。お前を連れて行く理由がないしな」
「私にこれっぽっちも気がないんですか?」
「ないよ」
これはない、メリーさん。だって俺は……。
「……俺は、エリーちゃん一筋だからね♪」
たとえ婚約破棄されても、国外逃亡する羽目にっても、俺はエリーちゃんが好きだ。
エリーちゃん以外は考えられない。
「……そうですか」
そう言って彼女はまた俯き、部屋から出ていった。
でもまさか、あいつ俺が好きだったのか。
なんだか酷く納得できない気持ちのまま、俺はこのあとのパーティに思考を沈ませた。
「……貴方に、お尋ねしたいことがあります」
パーティが始まり、エスコートするためエリーちゃんの横に立っていた俺に、彼女はそう声をかけてきた。
「なんだい? 君に聞かれるのならなんだって僕は答えてしまうよ」
「……貴方は、……わたくしのことがお好きなのですか?」
「…………」
あぁ、何ということだ。
これが尋問というやつだろうか?
エリーちゃんに尋問されるなんて、俺はなんて幸福なんだろう!!
「もちろんだよ。僕は君のことを誰よりも……」
「……ならば、何故そのように本音を隠すのです?」
「………………」
あぁ、彼女は怒っている。
簡単にわかる。手に取るようにわかる。
怒った顔もかわいいっ! と感じる俺は末期だろうか?
「本音? 僕はいつだって素直だよ?」
「貴方が先日贈ってくださったこの髪飾り、イヤリング、ネックレス、ブレスレット、指輪とそして靴、すべて気に入っていますわ」
「……それは嬉しいよ。全部君に似合うと思って選んだからね」
そう、それはもう君にしか似合わない一品だ。
君以外の誰にもに合わない一品。
……きっと、彼女も気が付いているんだろう。
普段通りに淡々とした、しかしその中に含む普段とは違う感情が垣間見える。
もう、言い逃れもできないようだ。
「ねぇ、正直に答えてくださる?」
「……君に聞かれることなら」
先程まで騒がしく感じていた会場が水を打ったように静まり返って感じる。
これは緊張というやつなのだろうか。俺はいつだって彼女に盲目なのに、今は周囲が気になって仕方がない。
……いや、逆だ。
彼女の存在以外を感じ取れない。
視覚も嗅覚も聴覚も、彼女という存在から離れることができない。
あぁ、俺はこれから彼女にこっぴどくフラれたあと、彼女なしでどうやって生きていけばいいんだろう。
こっそり影から応援とかできないだろうか。
いや、そうすれば彼女のこれからなるはずの婚約も結婚も邪魔してしまう。わりとマジでぶち壊しにしたい衝動が抑えられる気がしない。
あぁ、彼女を感じない生活を送るくらいなら、やはり俺は死を選んでしまうだろうか。
コトリと、持っていたグラスをテーブルに置き、彼女はまっすぐ俺を正面から見つめる。
そして、彼女は言った。
「……今の素直な気持ちは?」
「俺のエリーちゃんマジ天使カワ最強もうこれしかないこれ一択優勝世界一いや宇宙一宇宙をも超えるもはや女神ワイングラス誰よりも似合う傾国の美女俺の贈った髪飾りとイヤリングとネックレスとブレスレットと指輪と靴のすべてを見事つけこなしてそのうえ俺が選んだドレスを身にまとう姿は想像以上に絶世の美女もう女神の化身てか女神本体どんな美術でも表せない芸術最高峰永遠に目に焼き付けておきたい忘れることこそ罪有罪エリーちゃんは無罪もはや世界はエリーちゃんのものエリーちゃんのために存在するその世界で生まれた自分に感謝神に感激婚約者であることが何よりの至高マジ俺のエリーちゃん最強天使か……」
「っっもういいですわっ!!」
呼吸することさえ忘れ、いやそもそもこれこそが呼吸であるという思考に至ったところで彼女に無理矢理口を閉じさせられた。
……しまったつい本音で!!
これはマジでキモい俺を軽蔑するに違いない。
(いや、そもそも軽蔑はすでにされていただろうが)
ゆっくりと彼女の顔を盗み見る。
さぞ怒りで赤すらも超えた黒、いやもはや恐怖の青か紫かとまさに顔色をうかがうように見た彼女の表情は…………。
あっっっっっっっっっっか!!!!!!!!!!
あれ?! めっちゃ赤い!? かわいい!!
いや、そうじゃない。これはどんな色だ?
怒りか?
あ、でもめっちゃかわいい。動物でもないのに発情期が来そうなほどかわいい!! これこそ至上!!
やっべ〜〜!!!! 俺の天使マジ天使だったわ。
「俺のエリーちゃんマジカワ天使尊い」
「っもう!! やめてくださいと言っているでしょう!!」
あれ? これなんか……。
……テレじゃない? なんで?
「……こんな公共の場で口説くなんて一体どんな神経をしてますの?! わたくしが一言にまとめろと指示を出せばよかったんですの?! でもまさかこれほどまでなんて!!」
「あ、あのエリーちゃん?」
「もう!! 急に呼び方を変えてくれないでくださる?!」
あ、しまったつい本音が。
「ご、ごめんよエリーち、エリザベス? 僕一瞬気がおかしく……」
「別におかしいとは言っていませんわ」
「ええ??」
急に彼女の冷静な言葉に、今度はこちらが取り乱す。
一体全体どういう展開なんだ??
「……そもそも、普段一人称が僕なくせに本音は俺とかズルすぎません? これがあの聞いていた『ギャップ』ってやつなのかしら?」
「エリーちゃん?」
「そもそも!! なんですの急に『エリーちゃん』だなんて!! 普段は全然呼ばないくせに!!」
「えっ!? ええっ?!」
ボソボソと彼女らしくない小声で呟かれたかと思えば今度は大声で怒られた。
マジどういうこと?! こんな時でもエリーちゃんかわいいけど!!
「あ、あの、エリーちゃ、エリザベス! これは一体っ!!」
「その話し方やめてくださるかしら! 怖気が走るわ!!」
「えっ?!?!」
もう訳がわからん!!!!!!!!!!
後でわかった話だが、エリーちゃんは俺の素を元々知っていたらしい。
俺がエリーちゃんにべた惚れなのも、クソキモヤローなことも。
そしてもちろん盗聴ストーカーヤローってことも。
なぜ知っていたのかと問えば、『本当に気がついていませんのね』と呆れるように言われた。
そんなとこもかわいい!!
実は俺の侍女であるメリーさんことメアリーはなんと公爵家の送り込んだスパイだったらしい。
俺は元々根がこんなんだから社交の場ではある程度取り繕っていた。
それが公爵家にとってはどうも胡散臭かったらしく『大事な娘の婿が危ないやつかどうか判断せねばなるまい』と、メアリーを送り込んだらしい。
メアリーは普段の俺の素行やエリーちゃんに対する本音を記録し、公爵家に報告していたらしい。
これを聞いたとき俺は初めて気がついた。
そういえばメリーさん、いつも気がつけば俺の後ろにいるほど影が薄くてスパイにピッタリだったわ。
彼女が俺の前に現れたのも偶然ではなかったことを聞き『あんな典型的な罠に引っかかるとは流石に思っていなかった』と後に公爵からも呆れられた。
そうだね。空腹で倒れてるとか『いかにも』じゃんね。
うわ〜、俺なんで今まで気が付かなかったんだろう。
自分で自分に呆れていると背後からボソリと囁かれた。
「……本当にお嬢様以外に興味がないんですね」
「わっ!!??」
背中に走るのは寒気か怖気か。
後ろを急いで振り返れば、普段とは違う侍女服が見えた。
「……本当に公爵家の密偵だったんだな」
「よく今まで気が付きませんでしたね」
本当にそれな。
「……ん? じゃあアレは?」
「あー、アレですか」
そうアレ。
あのパーティ前夜の逃避行の話。
「嘘に決まってるでしょう。顔見てたらわかりませんか?」
「納得したわ」
そうだ、彼女は俺のことを好きなのか聞いたらあの醜いとも言えない女性であるまじき顔をしていた。
なるほどね。エリーちゃん側だったんならあの対応も表情も納得だわ。
俺はキモかったんだろうな。冗談にできないほど。
「坊ちゃまと逃避行に行くくらいならお嬢様とハネムーンに行きます」
「なにそれ俺が行きたい!!」
『はぁーーーー』
前後から同時に聞こえてきたため息。
もう片方のそれが誰のものであるかだなんて、俺にはすぐにわかる。
「エリーちゃん!!」
「『ハネムーン』とやらには先月行ったではないですか。……これ以上どこに行く気です?」
「エリーちゃん今日もめっさかわいい!!」
「聞いてます? しかも日に日に語彙が増えてません?」
「俺特技が読書だから〜♪」
「うちの書庫の本もすでに読み終えてしまったそうですね。特技にも限界がないんですか?」
「エリーちゃんのすべてを知り感じるためなら、俺はどんな書物だって熟読してみせるよ」
「その『現役王子』版に本音を混ぜる話し方はやめてくださるかしら」
「エリーちゃんがマジカワ天使であることを五感全てで実感したいからその感覚をより鋭敏にするために温故知新をモットーにしてるよ!!」
「フン!」
まさか俺の『現役王子』と世間では好評の話し方や姿勢が彼女にとっては全く興味がなく、普段の俺のほうが好ましいだなんてまるで天変地異の前触れかと思った。
あのストーカー行為である盗聴器にもものの数時間で気が付き、敢えて放っておいたらしい。
あの発信器や盗聴機器に気が付いてた上でスルーとか、俺のエリーちゃんマジヤベー。
それでいい加減俺の外面に嫌気が差して(近々本当に婚姻を結ぶ予定だったのもあって)盗聴器を使って俺の動きを見た上で決着を付けようとしたらしい。
が、思いの外俺の想いが強すぎたせいでキャパオーバーになり、あんな超絶かわいらしい姿になってしまったらしい。
なにそれ最強優勝。
「……あんな畏まった言葉より素の貴方の方が、……素敵よ」
はぁ〜〜〜〜〜わ〜〜わ〜〜〜わ〜!!!!
マジ俺のエリーちゃんマジ天使カワ最強!!!!
「お嬢様、また坊ちゃまを調子に乗らせましたね」
「……嘘ではないもの。それに調子があったほうが執務の仕事が早く済んで自由時間も増えるわ」
「つまり新婚ホヤホヤだからさっさと隠居した元旦那様達に押し付けられた公爵業務早く終わらせて愛する旦那とイチャラブしたいと」
「……〜〜〜〜っ!!!! だまりなさい!!」
「なんだかお似合いですね、お二人共」
未だエリーちゃんのデレにときめいていた俺には、残念ながら更なる(メリーさんことメアリーさんによって無理やり引き出された)デレを見せたエリーちゃんに気が付くことはできなかった。
まぁ、まだ新婚だし。供給過多は良くないからね!
俺たちのイチャラブ新婚生活はまだまだ続く。
また別の機会に語らせていただくわ!!!!
じゃ、俺は愛するエリーちゃんを愛でるため、ここでおさらば!! バァイ!!
最後までお付き合いくださりありがとうございます。
少しでも面白いと感じて下されば、評価コメントしていただけると嬉しいです。
……もう言い訳もしません。
ちょっと調子乗りすぎました。
主人公は悪くありません。
普段は真面目で誠実で良い子です。
好きな子のことになるとなりふり構わなくなるだけです。
周囲から『現役王子』って呼ばれるくらいは人気がある顔面偏差値も高い子です。
ただちょっと性格が本の読み過ぎでアレになっちゃっただけなんです。本の読み過ぎで。(どんな本かはご想像にお任せ)
主人公は全く悪くありません。
悪いのはちょっとアレな主人公に育ててしまった私。
指示代名詞をお許しください。