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転生王女の異世界観光日記  作者: 天城ナノ
6/8

現実

 朝日が差し込み、小鳥がさえずっている気持ちの良い朝のとある屋敷の一部屋。


 「ん、ん…」


 もぞもぞとベットの上で動くなぞの物体の正体は…小柄な少女だった。


 「あ、…あぁー…まぁ、そうだよね…」


 いつもの癖で早起きしてしまったが、ここが異世界なのを忘れていた。まぁ、起きたら私達の世界にいる…なんて都合のいい話なんてあるわけがないけど。


 「さて、どうするか…」


 この世界ですることいったら何があるのかさっぱり分からない。


 ゲームや漫画では異世界に行った場合、勇者だったりなんだったり悪役令嬢だったり没落した貴族だったりするけど、俺の場合は王女だ。


 王女って何をするんだ?政治?でも政治なんて知らないし。


 「…それよりも、お腹すいたな…」


 すっと、ベットを降りたところで自分の服装が変わっていることに気付く。


 「?…いつ変わった?トイレに行ったときは変わっていなかったし、夜起きたときかな。確認してなかったけど、それしか考えられないし」


 だれに下着まで着替えさせられたかとても気になるところだが、考えても何も得られそうにないのでとりあえずご飯のことを考えるようにする。


 ドアまで歩こうと一歩ふみだすと、ドアがノックされ開けられた。


 「おはようございます…おや、もう起きていらしたのですね。お着替えしていただいてご朝食を…と言いたいところですが、御髪が乱れてしまっています」

 「そうですか…では、とくのをお願いしても?」


 自分で髪をとくなんてしことがないから、手馴れてそうな人に頼むのが最適解かな。一応結構前にやっ

たことはあるけども。

 鏡のところまで移動して椅子に座る。すると、どこに持っていたのか櫛を手に持ち、髪をとき始める。


 「お嬢様の髪は本当にお綺麗ですね。キラキラしていて、さらさらです」

 「ありがとうございます。私の自慢の髪なんですよ?」


 髪をさわさわと触られるとくすぐったくて背中がむずむずしてしまう。


 手馴れた感じでぱぱっと癖がついてしまった髪を直してもらい。いつもの綺麗な感じに仕上がったところで、シンプルな星の髪飾りをつけてもらった。


 「はい、お可愛くなられましたよ。…そしてこちらが着替えになります。おひとりで着替えられますか?」

 「ええ、おそらく一人でできると思います」


 取り出された着替えは青と紺を基調とした上着とスカートと、中に着るシャツだった。


 なんだ、すぐ着れそうじゃないか。…貴族とかの子供って一人じゃ何も出来ないんだっけ?その辺よく覚えてないや。


「………いや、なんで…どうしてこっちをずっと見てるんですか?」


 着替えをもらったあたりから一歩も動かずに俺を凝視してくるメイドさん。


 少し怖い。…悪気はないんだろうけど、というか一人で着替えられるって言ったのに、なんで部屋から出て行かないんだ?


 「…はっ…すみません、今出て行きます!終わったらお呼びください」

 「はい」


 ガチャッとドアが閉まり、部屋が静寂に支配される。


 「…よし、着替えよう」


 スカートをはくことが難しかったが、余裕をもって着替えることができた。


 「おお…我ながら美少女…!」


 鏡の前でくるくる回ったりポーズを取って一通り楽しんで、ドアを開ける。


 「お待ちしておりました。お嬢様。では、参りましょう」

 「ええ、よろしくお願いします」


 このネカマプレイ(ロールプレイ)もすぐに馴染んで素ですらすらと出てくる自分に少し驚きつつも、歩いて食堂らしき部屋に行く。


 メイドさんの歩きについていくと、この身体の2倍以上はありそうな大きな扉が廊下に鎮座していた。


 「いつ見てもで…大きいですね」


 役作り(ロールプレイ)の仮面がはがれそうになったがすぐに取り繕う。…よかった、ばれてない。


 「お入りください」


 と、メイドさんが扉を開ける。すると大きなテーブルにはすでに料理が並べられていて、若そうな男性…領主のニーティアスがすでに食事を取っていた。

 「おお、殿下、体調が良くなられたのですね!」

 「ええ、おかげさまで」


 少し会話して、メイドさんにすぐついていく。


 「お嬢様はこちらにお掛けください」


 案内されたのは、いかにも一番偉い人が座る席だった。


 俺なんかじゃなくて領主さまが普通この席に座るんじゃないの?…あ、俺王女だった。


 「いただきます」


 手を合わせて、食べ始める。フォークとナイフの使い方は普段から家でしつけられていたため、何の問題もなく使えた。領主様も自分の世界と同じ作法で食べているし、この世界でも同じ作法なのだろう。


 パンを一口。…硬…。日本のパンみたいにふわふわしてない。スープは、程よい塩味とトマトの味がマッチしていて美味しい。少しサラダを食べると、思っていたよりも瑞々しかった。


 もっと食べよう…と思ったが、腹にもう入りそうにない。この小柄な身体じゃそりゃそんなに入るわけもないか。


 「ご馳走様でした」


 口を拭いて手を合わせると、横で待機していたメイドさんがすぐに近づいてきた。


 「本日はどうなさいますか?」


 何かすること…いや、みつからない。全部は回れてないけどこの屋敷?家はゲーム世界と一緒だと思う。だとしたらニーティアス領も同じかな?そこのところはどうなっているんだろう?


 「このあたりの散策、ですかね。もしかしたら私の記憶が戻るかもしれませんし」


 記憶が戻ることはないと思うけどね。散策してどれだけ()()()()とにているのか確認したい。


 「わかりました。では準備をしてきますので、お部屋で少々お待ちください」

 「?、はい」


 準備?一体何をするんだろう。いや、化粧品とか、汚れたとき用の着替えか?

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