彼女と彼
投稿期間が開いてしまいました。すみません。
多分また開きます。ご了承ください。
T県I区。
住宅街の中に、一つ、かなり大きな家がある。
そこがメイア…いや、瑠夜野澪愛の今住んでいる家だ。
そして、ケイト…嶺命慈慧翔の住んでいる家でもある。
澪愛はなんやかんやあって、嶺命慈家の使用人として住まわせてもらっている。現実世界では、当たり前だが雇い主である慧翔のほうが立場は上だ。
前当主に、慧翔の専属使用人に雇われた…という建前で、実際はただ家事をして、慧翔と遊ぶという役割を任されたのだ。
嶺命慈家の現当主は、慧翔で、前当主は今隠居生活を送っているらしい。前当主制度というものがあり、もし現当主になにかあれば、前当主が臨時の当主として職務を果たす。そういう制度があるらしいのだが、はっきり言って意味の無い制度だ。
澪愛は職務として、慧翔に暇をさせないという仕事があるので、一緒にゲームをする。夜、就寝時などはさすがに一緒にできないが、昼は大体一緒にやっている。
NWOが発売される前は、たくさんのゲームを一緒にプレイしてプレイヤーと仲良くなったり、ランキングを荒らしまくったりした。
澪愛は、いわゆるネカマプレイというやつをよくしていて、慧翔の晒しスレによく登場する。
姫プだのなんだの沢山言われるのだが、突っかかってくる人にはしっかりと説明してあげた。
NWOが発売されてから、一年近くゲーム世界に降り立てなかった澪愛は降り立ったすぐにケイトによるパワーレべリングがあり、ハイレベルプレイヤーにも追いついた。
そして、なぜかパーティーリーダーがメイアになったのだが、ケイト曰くリーダーが可愛いほうがいいだろと。よく分からないことをいわれた。
そのままゲームを続けていると、かつてのフレンドたちからクランを作らないかと話があり、クランを作ることになった。
身内クランで、メイアとケイトが招待したプレイヤーでないと入れないため、人数こそ少なかったが、それなりにすごいプレイヤーが揃った。
そんなプレイヤーたちの投票でメイアはクランリーダーになった。
それと同時期くらいにゲーム内で、クランで王家の人間と仲良くなったため、クランリーダーであるメイアに爵位が授けられた。爵位と同じく領地も貰った。いきなり身の丈に合わない立場を貰い困惑していたが、システムはさすがでお助けNPC的なものを用意してくれていた。
領地を持っているものは領地を運営する必要があるのだが、マニュアル操作でやろうとすると非常に大変で、お助けNPCの助力がないと勝手に領地が崩壊していくところだった。
このころから動画配信をするようになって、ゲーム外の人間にもメイアという存在が認知され行くことになった。
動画配信は、基本雑談などで、館の庭で行っている。外から見られないように魔法を使いながらやっていて、残念がる人も多かった。
ゲーム内で、メイアとケイトは基本一緒にいることで付き合っているのではといううわさが度々流れるが、本人達はまったく気にしていない。
ケイトはメイアのリアルを知っているので、なんともないと思っている。それと反対にメイアはケイトが
出会い厨とあっても、ケイトが何か言って撃退しているが、そのたびその出会い厨が「惚気やがって」とはき捨てるようにどこかに去っていく様は非常に面白かった。
メイアは後衛職で、ケイトは前衛職なので、戦闘などはかなりスムーズに進む。ケイトの実力が高く、メイアのアシストが無くても一人で戦えるため、第三者から見ると近寄られた際に攻撃できていないメイアはかなりお荷物に見える。
しかしそんなことはなく、攻撃できてないのではなく、していないように見せているだけだ。
使っている魔法でいい感じに体力を削って、さもケイトが異常に強いように見せているだけだ。本気を出せばDPSだってかなり出る。
一応は主人であるケイトを立たせるために行っている演技だ。
ケイトのほうも薄々勘付いているが、足を引っ張っているわけでないし、かなりの美人であるメイアがバーサークしているところなんてほかの人に見せるべきでないと思っているので何も言っていない。
ケイトは数々の武器を使えるが、いつも片手剣を使っている。
現実で剣道を習っているが、その習っているとき、型に沿って攻撃を行うのではなく、状況状況によって柔軟に戦っている。
それはゲーム内の感覚を現実で磨くためである。
そのおかげで、ここ最近は師にも勝てるようになったとか。しかし、それは片手で扱える剣だけで、槍や薙刀、大きな剣などではまだまだ師に及ばない。
ケイトは、メイアと澪愛を同一人物として見ようと奮闘しているのだが、なぜか現実とゲームでまとう雰囲気が違うため、思わずメイアに惚れてしまいそうになる。
メイアと澪愛がまとう雰囲気が違う理由は推測できているが、伝える気はない。伝えることで、この生活が終わることに恐怖しているからだ。
いつも…かれこれ5年、以上になる付き合いの者との関係が壊れ、だんだんと離れていくことがどれほど恐ろしいものなのか、ケイトは知っているため、どうも一歩を踏み出すことができない。
自分がどれほど弱いのかをお互いが知っているからこそ、お互いに補い合い、支えあうことを前提として彼らは生活している。
…関係性が壊れることを恐れながら。
文章へったクソだなこいつ。
そう思いましたね?
その通りですスミマセン!