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捨てられる?

その日は突然きた。


いつもなら母親が、昼飯を持ってくる時間だったが、今日は違った。


その日は、母親ではなく父親が何も言わずに扉を蹴り倒し破ってきた。


父親は、もともと名の知れた武闘家だったようで、今でも筋肉ムキムキだった。


俺が12年も引きこもり、全く運動していなくても太らず平均的なスタイルをしているのはおそらくこの親の遺伝によるものだ。


「ちょっと?! おとうさん?!」


俺がそう問いかけるが、少し怒ったような無表情な顔で、何も言わずに俺を無理やり馬車にの中に放り込んだ。


「今からこの馬車は、とある学校に行く。その学校で結果を出してこい。お前が結果を出さない限り俺達の前に帰ってくるな」


父親が殺気のこもった声でそういうと馬車が走り出した。


「とうとうこの時が来たか」


もともとこうなることは、とっくの昔に感じていた。


親からしたら、3歳から15歳まで引きこもっていた息子など面倒を見る価値もないのだ。


身長もこの12年で身長も70センチ以上伸び声変わりも果たした俺は、もはや他人だ。


両親と12年間一切会話しなかったし


トイレも自分の部屋に、ぜひ引きこもってください!と言わんばかりに何故か置いてあったし


街で偶然、両親に出会ったとしても、両親は恐らく自分の息子であることなど気づかないだろう。 


「この世界ってこんな感じだったんだな」


俺の家は森の中にあった。いわゆるポツンと一軒家ってやつで、隣の家まで30キロぐらいある。


現世だったらテレビの取材が来てもおかしくないような立地だ。


その立地のせいで俺はこの世界をほとんど知らなかった。


電気がないことや我が家の形、両親が着ていた服などから中世のヨーロッパぐらいの科学技術だろうとは予想していたが、どうやら想像どうりなようだ。


だが12年ぶりに出る外は変な感覚を俺に与えてくる。


そんなことを考えていたら馬車が止まった。


結構大規模な街、いや都市の南側にある近くの山のひらけた土地に馬車が止まると馬車を運転していた高齢の執事と思われる男が無理やり俺を外に放り出した。


「いってぇなぁ、何すんだよ!!」


「黙れゴミが」


どうやら相当お怒りのようだ。


そういうと執事は服と靴を置いて帰って行った。


「マジかよ」


だが、夜中に謎解きホラーゲームを世界トップクラスの速さでクリアしてしまうほどの冷静さを持っている俺は、すぐに何をするべき考えた


「まず父親がとある学校で結果を出せとか言ってたよな、その学校ってどこだ?」


とりあえず俺の着ていたみじめな服を脱ぎ、執事が置いて行った服と着て靴を履いた。


「こうやって普通の服装になると俺って意外とイケてるな」


ドヤ顔でそんなことを言っている自分に羞恥心を抱きながら俺は近くの都市にいった。


「うゎー...」


街に行き通行人を見て俺は思った。この世界は美男美女しかいないのだ。


現世でいうなら住民、全員がアイドルの街に来た気分だ。


「学校のこと聞かなきゃいけないのに、長い間、世界をまたいでも引きこもりだったこのスーパーヒッキーにこんな美人美女に話しかける勇気は湧かんですよ」


俺は長い引きこもり生活をすることによって無事に、コミュ障を獲得していたのである。


「そんなことも言ってられねぇか」


俺は覚悟を決めるとい同い年ぐらいの金髪ロングの美女に声をかけた


「すい...ません...あの〜...そのー...」


「ん?何ですか〜?」


厳しそうな見た目とは違い優しく笑顔で聞き返してくれた。


「この...近くに...学校とか」


「あ〜学校...もしかして超常学園の入学希望者〜?」


「た、多分そうです!」


よかった!通じた!


「でも〜...君、本当に入学希望者なの〜」


「多分...そうです」


「ん〜少し信じられないな〜」


「...何故ですか?」


「超常学園は国でもトップの異能の学園で数多くの人間国宝を排出している学校なんだよ〜」


「...異能?人間国宝?」


「そんなことも知らないの〜」


3歳の頃から引きこもりの俺に常識ですけど、みたいな感じで言われても分かるわけない。


「異能っていうのは魔法と神通力まとめている物のことだよ」


神通力とは、魔法よりも上位のものであり、神通力は言うなら神に与えられた力のことだ。


そして魔法では神通力にはどう足掻いても勝てない


神通力も魔法と同じで生まれながらにして使える物は決まっている。どんなに修行しても使える神通力は増えないのだ。


俺も一応神通力を1つ持っているが、引きこもり生活で使うことは1回もなかった。


「そして、人間国宝は、その力を世界に認められて、何をやるにも国がサポートしてくれる権力者のこと」


「なるほど?」


「余り理解できてないようだね〜」


「はい...すいません...」


「別にいいよ〜、簡単に言うなら国で最強な人のことで、その力を恐れた世界が、何でも言うこと聞いて、どうしても敵対されたくない人の事」


「は!!」


「何?急に」


僕は人間国宝のことを聞いて全身に電撃が走ったような感覚になった。


人間国宝になれば国から合法的に引きこもり生活を送ることができる!!


そうすればもう家に帰る必要もない!!


「なるほど、人間国宝!!理解できました!」


「お〜急にグイグイくるね〜」


「...すいません...」


「良いよ別に〜、それでね〜その超常学園は人間国宝になるための学園だから入試とか超絶厳しいのね〜」


「な、なるほど」


「噂によると去年の入試には死者も出たらしいし〜」


「マジすか」


「だからもし受験を受けるつもりなら、やめたほうがいいとおもうよ〜君の体を見るに戦いなれてるわけでもなさそうだし」


「ギク」


確かに俺はここ12年まともに動いていない...


でも俺は...国から認められたレジェンドヒッキーになりたい!


「それでも構いません!その超常学校について教えてください」


「お!気合い入ったね〜良いよ〜!超常学園はこの都市のど真ん中にあって受験日は明日、1次試験と2次試験があって1次試験はモンスターと戦うの〜そして2次試験は対人戦だよ〜」


「はい!」


「ちなみに私も今年受験するんだ〜」


「...同い年...だったんですね」


「そんなに意外かな?」




胸もそれなりにあるし、背も173センチある俺とそこまで変わらないので絶対に年上だと思っていたがどうやら同い年のようだ


「あとビビらせたいわけじゃないけど倍率は3000倍!つまり3000人に1人しか入れないよ〜」


「マジすか」


「あれ〜ビビっちゃった〜?」


確かに3000人に1人は、ヤバい。


だが俺のレジェンドヒッキーあの欲求はその程度では止まらないのだ。


「そ、それでも俺は受けます!」


「お〜、じゃあ互いに頑張ろうね!」


「な、何から何まであ、ありがとうございました。」


「良いってことよ〜、そんじゃ後は自力で頑張れ!」


そういうと金髪ロングの美女は帰って行った。


「これで俺がこれからもヒッキーする道は開けた。明日が試験なのは苦しいけど、その程度でスーパーヒッキーである俺様は止まらないぜ!」


大声で喋り、周りの人の視線が怖くなったので、その場をすぐ離れた。


そして俺は、昼に馬車から降ろされた平地に行き、

野宿して翌日の入学試験にのぞむのであった。
































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