雨:*:・'゜
いつだって貴方に会いたいよ
いつだって貴方を感じていたいよ
そんなこと解りきっているはずなのに
つい強がりを言ってしまったの
あの日 雨が降り出した時
傘の花が咲いたね
歩道橋から見下ろしていた
街の風景が色彩々に変わって……煙ってた
涙顔 見られないように
そっと傘で隠した あの日の午後
さっき「さよなら」と告げたばかりの
愛しき人が
今はもう隣にはいない実感が
突き刺さる
こんな雨の日は
相合い傘で歩いていたから
隣に空いた空間が
一人歩きしていた私を責めている
「どうしてその手を離してしまったの?」
雨の日って やっぱり苦手 思い出すから
でも本当は雨の日って 好きだった
傘の中で貴方と寄り添えるから
あれから傘をささなくなった
ずぶ濡れになっても 雨の中を歩いている
だって雨の雫が涙を隠してくれるから
あの日を思い出して ひとり泣いていても
雨の雫が隠してくれるから
あれから
傘も嫌い
雨も嫌い
こんな雨の日が嫌い
でも……
雨の雫だけは好き
貴方を思い出す涙は隠してくれるから
「さよなら」と言っても
いつものように追いかけてくれると思ってた
「いつものワガママ」だって
思って欲しかった
出逢った頃のように
どうして笑っていられなかったの?
どうしてフザケ合えなかったの?
いつから?
こんなに苦しいのなら出逢わなければよかった
こんなに愛しいのなら微笑んでいればよかった
最後に見た貴方の瞳には
私は映っていなかったね
涙で見えなかっただけ?
せめて そう思いたい
その瞳に恋をしたのに
その瞳を曇らせてしまった
それは私のせい
困らせてばかりいた私のせい
最後に言わせて 最後のワガママ
「大好きです」
別れの予感は雨の予報
雨の予報は……やっぱり雨
fin.