指輪 :*:・'゜
:*:・'゜
いつも見ていたはずの
その俯き加減の横顔に
不意に触れたくなった
そんなにまつ毛が長かった?
そんなに優しい顔だった?
好きな音楽に夢中になって
足でリズムを刻みながら
小さな歌詞カードを覗いてる
聴いていたのは
「指輪」という曲
出逢ってすぐの頃
私に唄ってくれた
ギター1本で語りかけるように
「君の欲しがっていた指輪を
見つけた…」
こう口ずさんで
笑いかけてくれた
そんな夜が
未だ記憶に新しい
同じ光景
同じ横顔
同じ夜
特に何もない日だけれど
特に大きなこともないけれど
普通の時間が流れるだけの
普通に過ごすだけの時間だけれど
二人で過ごすことが出来る
こんな幸せがずっと続いたら
何もいらないと心から思った
いつか何処かで読んだような
目にしたような 耳にしたような
そんな言葉だけれど本当にそう思った
本当に大切にしなければいけないものが
そこにあったから
それに気付いたから
初めてその唄を聴いたあの夜の
あの時と同じ月明かりと一緒に
その優しいメロディと貴方の唄声が
よみがえる
そんな貴方を見つめていた
私の視線に気付いたの?
少し目を上げこちらを見ると
少し笑った貴方がいた
そして……
「今度 指輪を買おうね」
もう一度
貴方に恋をした
fin.