花の塔
記憶が
あいまいになっているのだけど
螺旋していく根の
吐きそうなイメージが脳でこだまする
たゆたう無価値の
具体として
わたしがある
喉のうちをかきむしるように
存在が宇宙の水で反射して
閉じ込めていく、とじこめていくの
花の塔をのぼり
有と無の境界線にふれたい
親指を噛む
痛みが
存在の証明になる
などという錯誤
痛みが痛みとして正しくそこに在るのなら
わたしは両腕をめいっぱいにつかって
抱きしめるの、つよく
痛みが、痛みとして
正しくそこに在れば
根差す花の
塔、たたずむ影の
獄よ、これほどまでに
赦しを請うたことがあるものか