7/145
空き教室
「一人で使ってるのか?」
「ううん、アカネちゃんも一緒」
「アカネ?」
「うん、彼女も同じ学年なんだよ。でも科が違うから、修学旅行の場所も違くて」
「白見、修学旅行行かないの?」
「うん、行かない」
何で? という目で見られた。
「先生や他の人の迷惑になっちゃうから」
過保護な親は納得してくれている。だから、紫桃くんに迷惑もかからない。
「私はそれでも学校に来るよ。休ませてはくれないから」
苦笑するしかなかった。
「だったら、来れば良いのに」
「そうしたら、皆にとって嫌な思い出になっちゃうよ」
お前は……と言う口が見えたけど、遮った。
「私はね、ほら、車酔いとかひどいから。皆に迷惑かけたくないだけ」
本当は車酔いではないけれど、彼からの誘いを断る為には無理な理由でも言わなければならなかった。