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友達以上恋人未満ではないけれど  作者: 雲花エマ
高三の春
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付いて行く理由

 のこのこと付いて来ている。六月も中旬、買い弁を忘れたのは本当だ。紺野に「快便?」と訊き返されたが、それは違うと言っといた。購買で弁当を買い、職員室に行きやすい階段で鍵を持った白見に会った。何故か通学鞄を持っている。どこかに行くのだろうか。気になってしまった。


 *


 冬服だったブレザーから夏服のブレザーに全員がなった頃、紫桃くんに見つかってしまった。それも階段の途中で、うわ……と思ったが、それは驚いたからで決して嫌な意味ではない。

 なのに、付いて来ている。

 このままだと、あそこに着いてしまう。

 それでも「来ないで!」と言えなくて、黙って歩き続けている。遠回りをしようにも、目的地そもそもが遠いからそんなことは出来ない。そんなことをしていたら、あっという間に時間がなくなって、この昼休みが終わってしまう。行って、お弁当を食べて、帰るだけでぎりぎりの昼休みなのに。

 それでもまだ紫桃くんは付いて来ている。


 *


 高校一年生の時、廊下ですれ違った彼女の困った顔が、あの時の中学生だった子に似ていて、今年の文化祭前の噂でそれは確信に変わった。それからずっと密かに見守るように、流れるようにして生きて来た。

 いつも見ているわけにはいかなくて、よそ見をずっとしていたら気付かなくなっていた。

 だから、これからは君を見続けようと思った。出来れば教室でも声をかけたかったけれど、いじめがひどくなったのはきっと俺のせいだから、謝ろうと思った。

 だから、今日こそ付いて行く。

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