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衣谷ユウの優雅な生活第二回と川本まこの満面の笑みの可愛さ

衣谷ユウの優雅な生活の第1回はわりと反響が大きく、プロデューサーの福井さんは大喜びだった。


だけど僕は複雑だった。 小栗栖まりんちゃんの熱烈なファンからの怒りのメッセージが多かったからだ。


やっぱり恋愛ドラマとはいっても、台本も無いリアルタイプのドラマである以上、想定の範囲内でもある。


福井さんはむしろもっと炎上して話題性を高めて欲しかったそうだ。 ホント、この人怖いです。


第二回は桜ガールズの川本まこちゃんが相手役だった。


ちょっと舌足らずな喋り方で、笑顔がかわいく足の細いスタイルの良い女の子というのが僕の第一印象。


簡単な自己紹介の後に、前回同様に4つのお願いが来るのかと思っていたのに、完全に予想を裏切られるカタチで番組は進んでいくことに…


まこ 私、えるむのファンなんです。


ユウ ありがとうございます。 えるむのお気に入りメンバーは誰ですか?


まこ 私の推しメンは衣谷さんです。 だから今日はとても楽しみです。(笑)


ユウ (ひきつり笑い)(ちょっと危険かも…)


   ありがとうございます。まずは僕の手作りケーキと紅茶をどうぞ。


まこ とってもおいしいです。


   このケーキと紅茶、アイドルランドの洋菓子店と同じ味がします。


ユウ バレちゃいましたか。 実はあのお店は、僕のお店なんです。


   僕はフランスでパティシエの仕事もしておりましたので。


まこ 凄いですね。 フランス仕込みなんですね。


ユウ ええ、まあ。


   今日は、福井プロデューサーから4つのお願いを言うように、言われてたりしませんか?


まこ いえ、4つのお願いではなくて、二人で即興劇をしてくださいと言われてます。


ユウ 福井さ~ん、聞いてないんですけど!


   また逃げられたか…


AD高橋 福井さんからの伝言です。 即興劇のタイトルは“バカップル”だそうです。


まこ え~ ウソ! (と言いながら顔は笑っている)


ユウ 女子との交際経験がゼロの男に与えるようなタイトルですか? あの悪魔め!


まこ えっ そうなんですか?


ユウ 何が?


まこ 女子との交際経験がゼロっておっしゃいましたよね?


ユウ はい。 彼女イナイ歴17年のモテナイ男なんですよ。僕は。


まこ 衣谷さんは絶対モテますよ。衣谷さんがこれまで女の子に見向きもせずに生きてきたからじゃない     

   ですか?


ユウ (この子意外と鋭いな…) 


   確かに… 僕の青春はいつも汗臭い男連中に囲まれていましたね。


   でも、ホモじゃないですよ!


まこ あははは! ははははっ… いきなり笑わせないでください。


ユウ (この子、よく笑う子なんだな。 笑った顔も可愛い)


   バカップルなんてタイトルの即興劇をさせるお詫びに、まこちゃんの似顔絵を描いてあげますね。


まこ えっ いいんですか? 嬉しいです。とっても。


   本当はまりんちゃんみたいに、衣谷さんに似顔絵を描いてほしかったんです。 エヘッ(笑)


衣谷は、まこの似顔絵を描き終わり、まこに渡しながら訊ねた。


ユウ まこちゃんお腹すいてないですか?


まこ 実は少し…


ユウ 何か作りますよ。何がいいですか?


まこ まりんちゃんが美味しそうに食べてたオムライスをぜひお願いします。


ユウ 了解です。


ユウが作ったオムライスを大事そうに一口ずつ口に運ぶまこ。顔はもちろん満面の笑み。


まこ とっても美味しいです。 美味しすぎます~。 衣谷さんのオムライスの味が忘れられなくなりそうです。


   どうしよう。 もう他のオムライスは食べれなくなりそう。 責任とってくれますか?


ユウ はい。次のまこちゃんとの収録日にも作ってあげますね。それでいいですか?


まこ はい。 とっても楽しみです。 (満面の笑み)


   ごめんなさいね。 おねだりしてしまって。


ユウ いいんですよ。まこちゃんは僕のファンなんですよね? ファンサービスということで。


まこが食べ終わると、


ユウ   それでは軽く即興劇の打ち合わせをしておきましょうか?


AD高橋 福井さんからの指示がでました。 即興劇は温泉旅行をテーマにしてくださいとのことです。


ユウ 温泉旅行をテーマにバカップルを演じろということですね。


   福井さん、完全に遊んでますね。 無茶ぶりがヒドイです。


   まこちゃんはこんなヒドイ即興劇でもいいんですか?


まこ 衣谷さんと共演できるなら、私はかまいません。 (ニコッと笑う)


ユウ (なんていい子なんだ… こんないい子になんて劇をさせるんだ! あの悪魔め~)


という感じで、今回も福井プロデューサーの悪だくみに乗せられてのスタートとなった。


ユウとまこ 湯船を思わせるような木製の囲いの中で、温泉の湯船に浸かっている様子で座っている。


      二人とも肌色のTシャツを着せられている。


台本無し、事前打ち合わせ無しの即興劇が始まった。 ここから先はすべてアドリブの世界である。


ユウ 記念すべき初めての旅行がこんな鄙びた温泉旅行でごめんね。


まこ ううん、まこはとっても嬉しいし、楽しんでますよ。


ユウ まこはやさしいね。 大好きだよ!と言いながら後ろから羽交い絞めにするように両肩を抱く。


まこ (キャッと小さく叫び声をあげた後、満面の笑みを見せてから)まこもユウが大好きだよ!


ユウ ありがとうまこ!(さらに両肩をギュッと強く抱きしめる)


まこ (さらに満面の笑みで)ありがとうユウ。まこは今、とっても幸せだよ。


ユウ 商店街の福引で当たったこんな寂れた温泉旅行なのに、こんなに喜んでくれるなんて。


   (ユウはまこから体を離しながら)僕なんかについてこなければ、まこはアイドルとしてもっ

   と幸せでいられたはずなのに。


まこ 違うの! まこはユウの傍で生きられることが一番の幸せなんだよ。


ユウ 朝からスーパーで働いて、さらに夜遅くまでファミレスで働いていて、辛くないわけがないよ。


   僕みたいな売れない漫才師についてきたばかりに… (漫才師の皆さん、ゴメンナサイ)


まこ でもね、まこは後悔していないし、とっても幸せなんだよ。だってユウの傍にいられるんだもの。


ユウ この~ 可愛すぎるぞ~ ペロンッ(といいながらまこの右腕を撫でる)


まこ キャッ(と可愛い声をあげながらユウに満面の笑みを向ける)


ユウ 笑顔が可愛すぎる~ ペロンッ(といいながら再びまこの右腕を撫でる)


まこ キャー(とさらに嬉しそうに大きな声を出す)


ユウ まこ、ちょっと待って! (と言いつつ、風呂桶を握ると、スタジオの端でニタニタ笑いながらユウを見

   ていたアキラと一真の方に向かって思いっきり投げつける)

   この出刃亀め!思い知ったか~

   まこの裸を見ていいのは僕だけなんだぞ!(と言いつつ、まこを後ろから抱きしめる)


まこ キャッ そうよまこはユウだけのものなんだから!


ユウ (ひきつり笑い。そして冷や汗)


エンドロールが流れて番組は終わる。


この日、アキラと一真の演劇初出演作はバカップルという作品名で、出羽亀を演じたことがウィキに記載されたことを二人が知るのはまだずっと先のことである。


 

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