期末考査
大変なテストの期間です。
高校時代のテストとか懐かしいな~。
4話です。
「ふあ~……」
(眠いな)
期末テスト期間に入り、クラスの皆はあまり穏やかではない。一週間くらい前からテスト勉強を始めたが、日頃勉強してないのが祟って、僕はここのところ徹夜が続いている。
クリスはと言うと……、机に項垂れて沈没していた。
数日前から放課後に彼女と一緒にテスト対策をしていた。
「あ~、difficult、difficult!! 難しいわーっ」
「本当になぁ」
「問題文がすべて日本語だから理解するまでが大変よ~」
「そうだな」
「国語なんて全部日本語じゃないっ。読むだけでも大変!」
「そうだな~」
「物語じゃない方? 全然面白くないし文字ばかりだし、何が言いたいのかさっぱりだわっ」
評論なんてそんなものだ。
「……とりあえず解答の暗記だけでもしたらどうだ?」
「……文章がよく分からなさすぎて、頭に残らない。違いもいまいち分からないし」
「英語はどうだ? 得意だろ?」
「それは屁の屁のカッパよ♪」
(どこで覚えたんだそんな言葉?)
「問題文さえ読み間違えなかったら大丈夫よ」
「そうか」
「数学と理科はまだ数式の理解だから、向こうにいた時に基礎は習っているから、日本語を書くところは“だから”とか、“つまり”で誤魔化せるから、まだ大丈夫なんだけど……」
「国語か」
「えぇ……」
「……分かった。時間の許す限り手伝うよ」
「……Thank you,yuji」
とまぁ、こんな感じでテスト対策を行った訳だが、日頃ここまで自力で日本語を読む機会がないから疲れているんだろう。
そして3日目のテストを終え、明日の国語に向けてテスト勉強をした。彼女のアパートで。
なぜ彼女のアパートで勉強なのかというと、クリスが徹夜覚悟だからだ(3日間のテストはまぁ、赤点は回避したぐらいの点数は取ったみたいだ)。
とは言うものの、僕は立て続けの徹夜続きで疲労困憊していた。つまり、
(眠い……)
「これなんだけどね、優司。この文章……」
「……うん」
「これなんて読むの?」
「……『所得』」
「どういう意味?」
「……ある人の……稼ぎ」
「あ、なるほど……」
「……」
「……優司、これ……優司、大丈夫?」
「大・丈・夫……」
「眠いの?」
「……うん」
「……どうしよう」
「……やっぱり少し寝かせてくれないか?」
「……え、でも貴方が寝たら私誰に国語教えてもらうのよ?」
「1時間で良いから……」
「……分かったわ」
そして僕はストンと眠りに落ちた。しばらくして、僕はハッと目が覚めた。カリカリと音がするので、クリスの方を見ると真面目に勉強していた。今何時だ? 17時!? 3時間も寝てたのか!? 僕はおもむろにガバッと起き上がる。
「! 起きたのね」
「済まん、3時間も寝てたのか」
「ううん、大丈夫よ」
見ると机の上に国語辞典を開いていた。それと何か感触があるなと思ったら、僕の身体の上に毛布を被せてくれていた。
「? どうしたの?」
「ううん。さあ、勉強するか」
「うん、そうね」
「で、分からないところは辞書で調べたのか?」
「えぇ、それでも分からないところはmarkしたから」
「そうか、どれ……」
マークがごちゃごちゃあり過ぎて、どれがどれやら分からなかった。
「……どのマークだ?」
「この○の所」
ほとんどの漢字が○だった。
「お、おう……」
それから意味と文章の説明をして、(定期的に休憩も挟んで)はや5時間が経った。
「もう22時か。早いな~」
「夜食いる?」
「太るぞ」
「! まだ大丈夫だもん」
彼女は怒り気味に言う。そして僕達二人は軽く夜食を食べた。
「疲れるなー、テスト勉強」
「えぇ、本当に」
「まぁ、けどテスト分の国語の文章はある程度理解出来て良かったよ」
「まぁ……ね」
クリスは伸びをする。彼女はシャツの状態でいるからか、ブラが透けて見えた。
「……」
僕は目線をそらす。
「……ん~っ、くっうん、気持ち良いわ~」
エロい声を出すな。エロい声を!
そして一応の勉強のキリが着いた時にはもう深夜を過ぎていた。
「帰るよ」
「大丈夫? こんな暗いのに」
「大丈夫だよ」
「じゃあ、気をつけて帰ってね」
「はいはい」
彼女の心配そうな顔を見てから、僕は帰宅した。
翌日。4日目のテストが始まり、国語のテストが始まった。
(おっ、昨日、勉強したところじゃないか!)
僕はクリスのお陰でかなりやり込んだからか、開始20分で終わった。
(ふう、終わった~。クリスはどうかな?)
ちらっと見たら彼女は頑張っていたので、僕は机にうつ伏せになって休息した。
4日目のテスト終わり、クリスに聞くと国語はどうやらそこそこだったみたいだった。
そして5日目とテストを終え、テストは終了した。
「終わった~」
「疲れたわ……」
(散々勉強したから今日はしないので、そのまま)下校しながら、僕達は話す。
「本当に参ったぜ」
「えぇ」
「しかしこれでテストから解放されたな」
「そうね」
「もう少しで夏休みだ~っ」
「! そうね」
「やったーって感じだな」
「……そっかぁ、夏休み。summer vacationね……」
「そうだな」
「優司っ」
「ん?」
「二人で楽しいlong vacationにしましょうね♪」
「おう」
「Thank you for always being here for me!」
“Thank you for always being here for me. ”は“いつも側にいてくれてありがとう。”の意味だそうです。
恥ずかしがり屋なら大切な人に英語で言うのもアリかもしれません